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» 2011年11月24日 11時00分 UPDATE

長期試用リポート:「Nikon 1 J1」第1回――仕事に使えるカメラか

ライトユーザー向けイメージの強い「Nikon 1 J1」だが、意外とニコンのスピリッツが詰まった骨太のカメラであることが分かった。条件の良くない屋内撮影では、どのような写りとなったか。

[mi2_303,ITmedia]

 さて「Nikon 1 J1」の長期試用リポート、第1弾である。本企画へ取りかかる前に上位機種である「Nikon 1 V1」を試用する機会があったのだが、フォーサーズよりさらに小さいセンサーなのにも関わらず、良く写るカメラだという印象を受けた。

 ミラーレス機は、APS-Cサイズのセンサーを搭載するソニー「NEXシリーズ」や、オリンパス、パナソニックのフォーサーズ/マイクロフォーサーズなど、センサーサイズでコンパクトデジカメと差別化をしたり、ペンタックス「PENTAX Q」のようにボディサイズで他機種との差別化を図るなどの個性を出している。

 で、センサーが大きいわけでも、ボディがことさら小さいわけでもない「Nikon 1」には違和感を覚えていた。なにかこう、消費者ニーズとのズレというか釈然としないものを感じていたのだ。

photo 「Nikon 1 J1」と標準ズームレンズ「1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6」

 上手い例えが見つからないが、人気のバンドが新しい音楽性を見つけるために、新しいジャンルの音楽をやるのではなく、ボーカルを変えてしまったような感じだろうか。利用する前には、「そこじゃないんだよなあ……」というため息がでそうな感じになるかと思っていたのだ。ただ、そんなイメージを持ちつつNikon 1 V1を試用する内に、その印象は前述のようにプラス方向へ変わったのである。

 そして、今回のNikon 1 J1となったわけだが、V1の持つ拡張性(スピードライト、ステレオマイクロ、GPSユニットなど)とEVF(電子ビューファインダー)、それにシャッターユニット、液晶モニターの解像度などの違いこそあれ、基本性能は同じ。同じ画素数で同じオートフォーカスモードで、同じフルHDの動画が撮れる。

 外観上ではEVFの有無でV1とJ1の好みが分かれそうだが、V1のEVFの側にあるアイセンサーはやや過剰反応気味で、予想外な場面で液晶モニターからEVFに切り替わったりする傾向があり、もう少しチューニングが必要かとも思う。そういった意味で、付加ハードウェアの少ないJ1はその割り切りを評価すべきなのかもしれない。

photophoto シンプルなデザインのJ1(写真=左)、望遠レンズを使っての撮影などでは欠かせないV1のEVF(写真=右)

 さて、そのNikon 1だが高感度特性に優れている印象を受けていたので、これならば発表会や取材用のカメラとしても使えるのではないかと思い、幕張メッセで開催されていたプロ用の映像・音響機材の展示会である「Inter BEE 2011」へ足を運んでみた。

 会場内はストロボなしで撮影する場合、標準ズームレンズでISO400〜800程度、ブースの展示によってはISO800〜3200まで必要な所もあり(この辺は個人的な感覚だ)、撮影には高感度が要求されるとともに、高感度でも破綻しない画質も必要となってくる。撮影は、ホワイトバランスの補正などをするためRAWで行ったが、確認用にJPEGの同時記録も行ってみた。

photo 4Kの解像度で動画をRAW記録するREDのデジタルシネマカメラ。ISO400でこの画質ならWeb媒体用(長辺800ピクセル程度に縮小)には綺麗すぎるほどだ(このデータは同時記録のJPEG)
photo ISO560、RAWデータに対してノイズリダクションの高画質化とアクティブDライティングをオフ、歪み補正をオンにして出力。照明は、電球とLEDライトだったが、その色に近いホワイトバランスとなった。
photo RAWデータは上記と同じ設定で出力している。写真では照明が当たっている右側の鍵盤が白く飛んでいるがRAWデータ上ではきちんとデータは記録されていた。黒に引っ張られて明るめの露出となっているので、基本通りマイナス補正で撮影すれば問題なさそうだ
photo こちらも同じ設定でRAWデータを出力している。ISO125なので、あと2〜3段絞って被写界深度を深くしても問題なさそうだ。

 ISO感度はISO AUTO 100-3200で行ったがISO感度の上がり具合が悪く、シャッタースピードが1/3秒なのにもかかわらずISO800のままという事もあった。ISO AUTO時にISO感度の上がり方を設定できれば、この様な挙動で困ることもないのだが、残念ながらISO AUTOはカメラ任せのオートのみとなっている。J1の性格上、仕方ないとも思えるがここはちょっと残念に思えた。

photo ISO720のRAWデータ、現像パラメーター設定は同じ。もう少し解像感が欲しいが、素材としての問題はない
photo 奧の照明や手間の黒に引っ張られることなく、見た目に近い印象。ISO1100だが、実用的なレベル。よく見ると黒い部分に横線が入っているのが気になる。JPEG、RAWデータともに見られた

 最後に、J1とD700を使用して同じ条件で撮影比較を行ったところ、測光のためのハードは違えど、露出パラメーターは全く同一という頼もしいデータが取れた。絞り優先オートでF5.6/ISO400/マルチパターン測光だと、シャッタースピードは両機種とも1/160秒と出た。

 とはいえ、これではアンダー過ぎる。そこでマニュアル露出でシャッタースピードを1/50秒に合わせて撮影した。ピクチャーコントロールはどちらもスタンダードで、見事に統一された発色となっている。同じメーカーの製品による連携が取りやすく、もう少し本格的な用途に使えそうな感触を得られた。

 どちらもRAWデータから歪み補正をオン(J1はノイズリダクションの調整も行った)にして現像している。

photophoto 絞り優先F5.6/ISO400/マルチパターン測光、1/160秒の結果。J1(写真=左)、D700(写真=右)ともに同じ露出となった
photophoto マニュアル露出F5.6/ISO400/マルチパターン測光/1/50秒の結果。J1(写真=左)はD700(写真=右)と比較すると流石にノイズでザラついている

 今回、実際に展示会取材という仕事場で使用してみて、オートフォーカスの使いこなし、ISO AUTOの使い勝手などに改善して欲しい要素などが見えてきたが、カメラとしては取り回しもよく、取材用として十分使えることが分かった。

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