富士フイルムからデカいコンパクトデジカメがでた。いや誰が観ても「コンパクト」ではない訳で、なんと呼ぼう。かつて同社はこのタイプを「ネオ一眼」と名付けたけれど、それも定着しなかったしね。しかも、「FinePix」じゃなくて「FUJIFILM X」シリーズである。レンズ一体型ハイエンド高倍率ズームカメラとでもするか。それが「FUJIFILM X-S1」(以下「XS-1」)だ。
「FUJIFILM X10」(レビュー)と同じ2/3型CMOSセンサーを採用しており、これはキヤノン「PowerShot S100」やリコー「GR DIGITAL IV」といったハイエンドコンパクトに使われている1/1.7型より大きい。では、本体はどのくらいデカイいか。さらに大きな撮像素子を持つマイクロフォーサーズ機と並べてみた。14-140ミリを装着した「DMC-G3」と比べてもデカイのだ。
こんなにデカいレンズ一体型カメラに需要はあるのか。
その辺を考えつつレビューしてみる。
何しろ、X-S1が搭載するのは35ミリ換算24〜624ミリ相当の26倍ズームである。F2.8-5.6と明るさも高倍率ズームとしては上々で、ワイド端ではレンズ前1センチまで寄れる。テレ端では2メートルだけど、実は500ミリ相当程度までならもっと寄れるので、テレマクロっぽい写真も撮れるのだ。何しろレンズ径が62ミリである。一眼レフなみ。
撮像素子は前述の通り、X10と同じ2/3型 EXR CMOSセンサー。もっと安くてコンパクトな35倍ズームレンズなんてコンデジもあるけれども、それらの多くは1/2.3型。こっちはハイエンド機に使われる1/1.7型より一回り大きな2/3型。
レンズの描写力が高いこともあり、超高倍率コンデジとは写りが格段に違うのがポイントだ。EXR CMOSセンサーは画素が斜めに並んでいて、通常撮影(HRモード)のほか、2画素混合でダイナミックレンジを上げたり(DRモード)、高感度時のノイズを減らしたり(SNモード)できる。裏面照射型ではないが、2/3型まで大きくなると裏面照射にするメリットがほとんどないので問題ないそうな。
画素数は1200万画素で、2画素混合を行うときは半分の600万画素相当となる。1200万画素というのはよい案配だ。
もともとの撮像素子サイズが大きいためISO感度やダイナミックレンジにも余裕があり、普段はHRモードで撮影すればいいだろう。DRモードやSNモードは、特にダイナミックレンジを広げたい、ノイズを減らしたいというというときだけ使えばよさそうだ。
ボディはエントリー向けデジタル一眼レフ並で、ボディのそこら中にボタンがあるんじゃないかというくらいボタンが多い。ここまで多くなくてもいいんじゃね、という気がするくらい。
EVFとチルト式液晶モニタ(LCD)はセンサーによる自動切り替えで、感度はちょっと微妙。メガネをかけてEVFを覗くと、メガネの隙間から入った光でEVFからLCDに戻っちゃうこともあったくらい。感度の調整ができるとよかったかも。
残念なのは、ボタンがたくさんあっても、操作のリズムがFinePix的なこと。例えば、連写後にデータを書き込んでいる間など、処理が終わらないとボタンやダイヤルを操作しても反応しないことや、メニューの構成だ。
もうひとつ、三脚穴の位置が光軸の直下ではなくズレていること。ここまで「一眼レフっぽい本格派デザイン」を前面に押し出すならば、三脚穴の位置にまで気を配って欲しかった。画竜点睛を欠いたかな。
では細かい機能や用途の広さは作例と一緒に。
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