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» 2011年12月20日 10時07分 UPDATE

長期試用リポート:「FUJIFILM X10」第3回――画質の要、レンズに注目する

富士フイルム「FUJIFILM X10」は、デザイン、機能のバランスに優れた本格的なコンパクトデジカメ。今回はレンズに注目した。

[小山安博,ITmedia]

ボケを楽しめる明るいレンズ

 富士フイルム「FUJIFILM X10」(以下 X10)が搭載する撮像素子は、2/3型 有効1200万画素で、コンパクトデジカメとしては比較的大型な部類に入る。もちろん、小さな撮像素子でも高画質になるよう各社は工夫を重ねているが、コストや搭載スペースを度外視すれば撮像素子のサイズは大きな方が画質面では優位なことが多い。

 もう1つ、X10で注目したいのがレンズだ。カメラの高画質化には、撮像素子、画像処理エンジンに加えて、レンズの高品質化が欠かせない。X10に搭載されているレンズは、35ミリ換算28〜112ミリをカバーする光学4倍“フジノン”ズームレンズで、F値はF2.0〜F2.8と明るい。

photo 「FUJIFILM X10」レンズは35ミリ換算28〜112ミリの光学4倍“フジノン”ズームレンズ

 レンズ構成は3枚の非球面レンズ、2枚のEDレンズを含む9群11枚構成とぜいたくな仕様で、同社サイトで公開されているMTFでもなかなか優秀な結果に見える。実写してみるとワイド端ではたる型の歪曲収差は残っているが、テレ端ではよく補正されており、ヌケのよい、クリアな画像が得られる。無理な広角/望遠化を図らなかった結果だろう、コンパクトデジカメとして優秀な画質が得られている。

photophoto ワイド端とテレ端の収差

 光学式手ブレ補正も搭載されており、なかなかの精度を持つが、開放F値が明るいのでシャッタースピードを極力上げられるのもいい。特に望遠端でF2.8という明るさは、最近ではあまり見られないレベルだ。

 コンパクトデジカメだと、絞り優先オートでもNDフィルターで明るさを調節する疑似的なモノになっている製品も散見されるが、X10では絞り羽根を備え、Aモードでは幅広く絞り値の調節ができる。調整できるのはF11まで1/3EVステップ。F11まで絞ると、回折の影響か画質が低下しており、F2.8までならシャープで高画質だが、F8ぐらいまでなら許容できそうである。

 暗所での撮影や人物撮影から風景撮影まで、絞りを変更できることで撮影の幅を広げられるのはやはり大きい。この辺りは携帯カメラや絞りが変更できないコンパクトデジカメにはできない芸当だ。背面ダイヤルの操作性も悪くはない。2つのダイヤルでシャッタースピードと絞りを操作できるので、素早く設定を変更できる。

photophotophoto
photophoto 左からF2/F4/F5.6/F8/F11と絞りを変更しながら。F2.0からF11まで、1/3EVステップで変更できる。リング上のボケが出るなど、高級レンズ並みのボケとまではいかないが、コンパクトデジカメとしてはよくボケている

 撮像素子が大きく開放F値が明るいとはいえ、やはり限界はあり、ボケ量はそれほど大きくない。その際、ワイド端でもっとボケを得たいときに有効なのが「ぼかしコントロール」機能だ。ピントの異なる画像を最大3枚連写して合成することで、よりボケ量の多い画像を生成する機能で、効果はなかなか高い。ただ、通常時よりも画角は狭くなるようで、あまり画面のギリギリに被写体を置くと、切れてしまう可能性がある。

photophotophoto 一番左の画像が標準の画像。背景ぼかしコントロールをオンにすると画角が狭くなる。コントロールの強度を変更することで、ボケ量の調整も可能
photophotophoto 連写した画像を合成しているが、フレーム内に動きのある被写体が入っていてもある程度は対応できるようだ

 レンズはテレ端が35ミリ換算112ミリ相当だが、「超解像ズーム」を使うことで、疑似的にズームを伸ばすことはできる。中央部を切り出しているのだが、輪郭を強調するなどの画像処理を行うことで、画質を維持しているようだ。通常のデジタルズームに比べて極端な画質の劣化は少ないように見えるが、劣化自体はするようだ。この辺りは状況次第で、とにかくズームが必要な場合は利用しても良さそうだ(※初出時、超解像ズームについての記載に誤りがありましたので該当箇所を訂正しました 2011年12月21日追記)。

photophoto ズームのテレ端と超解像ズーム

 X10は、画質の重要な要素であるレンズに力を入れており、撮影を楽しむための機能が十分に盛り込まれている。これまでも書いてきたように、ズームリングによるズーミングも、実用的で操作性もいい。その上画質もよく、絞りで自分なりのコントロールをして撮影できるということで、カメラの1つの楽しみ方を実現してくれるカメラに仕上がっている。

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