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1.5型センサー搭載、実用性も高い高画質モデル キヤノン「PowerShot G1 X」(1/4 ページ)

» 2012年02月20日 10時29分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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 なんというか、ゴツいデジカメである。ゴツゴツしてて黒くて四角くてちょいとデカくて、かといって富士フイルムのXシリーズのテイストとは違う。あちらは趣味道楽のカメラという感じだけど、こちらは質実剛健な写真を撮る道具って感じがする。

 キヤノンの「Powershot G1 X」(以下 G1 X)である。デザインテイストは2010年に出たPowershot G12(レビュー)とほとんど同じ。あれが巨大化したものと思っていい。G12はいいカメラで、特別な高画質が不要な仕事なら、これ1台でこなせちゃうような実務的な仕事で使えた。

photo キヤノン「Powershot G1 X」 ストロボはポップアップ式に。光学ファインダーは健在だ

 そのテイストをそのまま受け継ぎサイズを大きくしたのが、G1 Xと思っていい。なぜデカくなったのか。撮像素子がデカくなったからである。

1.5型CMOSセンサーの威力

 とりあえずG12と並べてみたのでどうぞ。

photophoto G12との比較。左がG12、右がG1 X。基本的なデザインコンセプトは同じであることと、一回り大きくちょっとゴツくなったのがわかる。G12は現行モデルとして販売が継続される。G1 XはG12の後継ではなく上位モデルという位置づけだ

 G1 Xの方がひとまわりデカいのがわかる。一番の違いは撮像素子サイズだ。G12は一般的なハイエンドコンデジと同じ1/1.7型のCCDを搭載していた。G1 Xは1.5型のCMOSである。ちなみにニコンのミラーレス一眼「Nikon 1」は1型、オリンパスPENやパナソニックのマイクロフォーサーズは4/3型(つまり、1.25インチ)であるから、マイクロフォーサーズよりデカい。ミラーレス一眼クラスの撮像素子を搭載しているのだ。

 画素数があまり変わらない場合、撮像素子がでかくなるとダイナミックレンジと高感度時の画質で有利となる。

 とりあえず比べてみる。JPEGなので撮像素子+画像処理回路の性能ということになるが、ISO3200でPowershot G12と、パナソニックのDMC-G3で撮り比べてみた。絞り優先AEでF5.6に統一している。露出がちょっと違うのはカメラのAEのせい、「Gなんとか」って名前のカメラが並んだのはまあ偶然ってことで。

photophotophoto 左から「Powershot G12」「Powershot G1 X」「DMC-G3」

 G1 Xがちょっとオーバー目の露出になったけど、撮像素子が大きい分、G12に比べると圧倒的、G3に比べるても不自然さがなくていい。さすがである。ちなみにISO感度はISO100から最高12800まで選択できる。もうひとつ、被写界深度(ピントの合う範囲)が違う。マイクロフォーサーズに比べても前後のボケが大きい。

 撮像素子が大きくなった分、大変なのはレンズである。撮像素子面積が6.3倍になった分、レンズも大きくせざるをえないが、あまり大きくするとコンパクトデジカメとしての機動力が失われる。それを考えると、このレンズ径でとどめたのはすごい。

 搭載されたのは35ミリ換算28〜112ミリ相当の沈胴式4倍ズームレンズ。レンズカバーは着脱式。5倍ズームだったG12に比べると望遠側がちょっと弱くなった。明るさはF2.8-5.8。広角側のF2.8は死守したといっていいかも。

photophoto 正面から。左はレンズキャップをつけた状態。G12は自動開閉式のレンズバリアだったが、G1 Xではレンズキャップになった

 ただマクロ撮影を多用したい人は注意。G12はワイド端でレンズ前5センチ、テレ端で30センチまで寄れたが、G1 Xはワイド端でレンズ前20センチ、テレ端だと80センチまでしか寄れない。一眼レフの標準ズームレンズよりも寄れない。これは頭にいれておくべきだろう。

 画質はすこぶるいい。いわゆるコンデジだと思って使うと驚くこと請け合い。単に撮像素子が大きい分前後がボケるのみならず、ダイナミックレンジも発色もしっとり感もディテールの描写力もかなり高くて、下手なミラーレス一眼よりずっといい絵を撮ってくれる。「マクロから望遠まで1台あれば何でもかんでも撮れる」という良さはないけれども、守備範囲内なら極めて高品質な写真を撮ってくれるのだ。

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