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» 2012年03月05日 12時03分 UPDATE

矢野渉の「クラシック・デジカメで遊ぶ」:さくら町一番地の記憶――コニカ「Digital Revio KD-310Z」 (1/2)

コニカが写真事業から撤退して久しいが、紛れもなくKD-310Zは「コニカのカメラ」である。コニカのカメラを手にすると、僕はさくら町一番地にあったコニカ社内の昭和とも表現できる、暖かい、やさしい空気を思い出す。

[矢野渉,ITmedia]

コニカが最後に意地を見せた爆速起動

 今回取り上げるクラシック・デジカメはコニカのデジタルレビオ「KD-310Z」である。2002年7月発売、1.8型 334万画素CCDを採用したスタンダードなデジカメだ。新宿の中古カメラ店で良い出物があったので早速手に入れた。

photo 「KD-310Z」。スライドカバーと、グリップを兼ねた弓型のデザインが目を引く

 「コニカのデジカメ」と一口に言っても、一般的には『デジタル現場監督』以外はあまりイメージできないだろう。他社に比べて発売された機種の数が少ないし、他社からのOEM供給を受けた機種もあるので、これがコニカだというカメラは数えるほどだからである。

 なぜコニカがデジカメに注力しきれなかったのか。それは、コニカが日本で最初の銀塩フィルムメーカーであり、1970年代まではシェアがトップだった歴史にその原因がある。デジカメを推し進めることは、本業であるフィルムの衰退につながるからだ。フィルムでもデジカメでもトップを目指した富士フイルムとは対照的な対応だった。

 それでも、コニカはミノルタと合併する2003年8月までの約1年の間にこのデジタルレビオシリーズで「コニカらしさ」を充分に発揮した。他社のデジカメが起動に5秒ほどかかっていた時代に、310Zは1.4秒という爆速の起動時間を実現したのだ(上位機種のKD-500ZはさらにサブCPUを内蔵して1.3秒起動となった)。コンパクトデジカメは、原価を抑えるために既存のOSをソフトメーカーから買うことが多いのだが、コニカはレビオシリーズのためにOSをいちから自社開発をしたのだ。それも主に「起動時間の短縮」のために。

photo 前面のカバーをスライドさせると赤色LEDが流れるように光り、あっという間にカメラが起動する。このライトはセルフタイマーランプ、書き込み中の警告ランプとAF補助光を兼ねている
photo カバーを閉じた状態で96(幅)×56(高さ)×29.5(奥行き)ミリ、198グラムのボディは現在でも通用するコンパクトさだ

photo 背面。1.5インチ低温ポリシリコン液晶の発色は鮮やかだ。輝度も屋外で普通に使えるほど明るい。光学ファインダーは開口部が小さいが、アイポイントが遠いので使いやすい
photo 上面。フロントのラインはおそらく手の馴染みを考慮してゆるい丸みを帯びている。一見直線的に見えて、実は柔らかい線で創られた独特のデザインは秀逸だ

 感じた時にすぐに撮影できる起動時間に加えて、金属ボディのコンパクトさと剛性の高さ、光学ファインダーの見やすさ、正確さ、そしてフロントカバーの流麗なデザイン。そして伝家の宝刀、ヘキサノンレンズとくれば、これはもう高級コンパクトカメラ「ヘキサー」のデジタル版と考えていいだろう。

 いや、コンパクトさにこだわっているところは「Big-mini」に通じるところもある。つまりKD-310Zはコニカの歴史的資産の中から必然的に生まれてきたデジカメなのだ。実際にシャッター音はヘキサーRFのものを使っている。(コニカミノルタのホームページにも既に記述がないので「ヘキサー」「Big-mini」を知らない人は各自検索してください)

 ちなみにミノルタとの合併後も「ディマージュ Gシリーズ」としてレビオの系譜は続いた。しかし、ブランド名がミノルタ側のものとなってしまったので存在感は薄かったように思う。それでも最終型のG530では起動が0.8秒まで縮められていたのはさすがと言うしか無い。

photo レビオシリーズの最大の特徴は、このSDカードとメモリースティックのデュアルスロットだ。2枚差ししておいてどちらに書きこむかメニューで選択できる。それにしてもこの小さなボディによくこれだけのスペースを取れたものだ
photo バッテリーはリチウムイオンのDR-LB4。純正品は既にないが、日本のメーカーが保証付きで互換品を販売している

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