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デジタルカメラのセンサーを知ろうデジイチ初心者応援(1/2 ページ)

» 2012年03月08日 15時35分 公開
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「センサーサイズ」を知る

 デジタルカメラのカタログには、そのカメラの仕様が掲載されています。表の中には、「1/2.3型」や「1/1.8型」、「22.3×14.9ミリ」と表記されている項目があります。これはそのカメラに搭載されているセンサーの大きさを表しています。

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 1/2.3型や1/1.8型などはセンサーの対角長を表しますが、1インチ(25.4ミリメートル)に対しての1/2.3や1/1.8という表記ではありません。古いビデオカメラに使用されていた撮像管とよばれる部品のイメージサークルを継承した表記で、多くのコンパクトデジタルカメラで採用されている1/2.3型の対角長は7.7ミリとなります。

 一方で大型のセンサー、フルサイズと呼ばれるサイズでは36×24ミリ/対角43.2ミリ、APS-Cでは23.4×15.6ミリ/対角29.3ミリ、フォーサーズおよびマイクロフォーサーズでは17.3×13ミリ/対角21.6ミリ、Nikon 1が採用する1インチセンサーでは13.2×8.8ミリ/対角8.8ミリとなります。なお、フォーサーズ/マイクロフォーサーズおよびNikon 1のように規格もしくは独自のものは別として、フルサイズやAPS-C、1/2.3型センサーの実寸について、そのサイズは厳密に規定されたものではないため、各社搭載製品によって多少の差異があります。

photo さまざまなセンサーサイズの例

 このように、センサーのサイズは様々ですがそれぞれ一長一短があります。小さなセンサーの場合はまず、カメラやレンズを小さく・安くできるといったメリットがあります。反面、大きなボケのある写真撮影が苦手になりやすいといったデメリットもあります。

photo キヤノン「EOS 5D Mark III」 35ミリフルサイズ(カタログでは約36×24ミリ)の大型センサーを搭載する

 大きなセンサーサイズの場合は、使用するレンズによって大きなボケのある写真撮影が容易となり、写真表現の幅を広げることが可能となります。また、フルサイズセンサー搭載機では、フィルムカメラで使用していたレンズ資産をそのままの焦点距離で活用することができます。反面、部品としてのコストが高く、光学的にレンズを小さく作ることが難しくなるため、製品は比較的高価かつ大型なものとなります。また、発熱や消費電力も大きい傾向にあります。

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 センサーサイズの大きなカメラがプロをはじめ多くのユーザーに支持されている理由は、得られる写真が高画質であるためです。とはいえ大きく・高価なカメラを普段持ち歩くのは大変ですので、気軽に持ち歩けるサイズのデジタルカメラにも多くの需要があります。

CCDとCMOS、バケツリレーと水道管

 デジタルカメラのセンサーの目的は、レンズから入ってきた光をフォトダイオードと呼ばれる受光素子を用いて電気信号に変えることです。

 カタログを見れば分かりますが、デジタルカメラのセンサーには、大きく分けてCCD(Charge Coupled Device)とCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)があります。どちらもフォトダイオードなど受光素子を使って光から電荷を読み出し、アンプ(増幅装置)を使って電荷を増幅することで、電気信号に変えて転送するという仕組みは同じです。

 CCDの場合は、バケツリレーと表現されるように隣の画素へデータを渡すように1列ずつデータを取り出し、アンプを通してメモリに転送されます。データの転送が終了すると次の露光が可能となります。CMOSの場合は、画素1つ1つにアンプが設けられており画素から直接データを転送することが可能です。このため同時に転送する回路を多くすることで、CCDよりも高速に読み出すことが可能となります。

 以前はCCDの方が転送速度が遅いもののノイズが少なく画質面で有利と言われていましたが、現在では製造技術の向上もあり、CMOSも低ノイズ化し、コスト面を含めてメリットが大きく採用されるカメラが多くなりました。

 CMOSの発展型として、光を受けるフォトダイオードの前面にあった回路を裏面に持って行くことで多くの光を受光できるようにした裏面照射型や、光の波長ごとに三層で受光するFoveon X3センサーなどがあります。特に裏面照射型は小さなセンサーサイズでも高感度(暗所でも撮影できる)なセンサーを製造できるため、コンパクトデジタルカメラや携帯電話・スマートフォンなど幅広く使われるようになっています。

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