ここ数年、パナソニックのコンパクトデジカメがあまり目立たなかった大きな理由は、他社が主力モデルに次々と裏面照射型CMOSセンサーを搭載してその高感度と高速性を生かしてきたのに対し、ずっとCCDをメインに展開していたからだ。
でもそれも2012年から大きく変わりそうな予感。その第一弾が「DMC-SZ7」である。たぶん。今までのLUMIXとデザインコンセプトや基本的な操作系は同じだが、細かなところがいろいろと変化しているのだ。
SZ7はコンデジ界の主流であるスリムでコンパクトな高倍率モデル。厚みを21ミリに抑えながら、レンズは10倍ズーム。スリムで高倍率というトレンドにあった構成だ。しかも焦点距離は35ミリ換算25〜250ミリと広角側は25ミリを確保。明るさはF3.1-5.9と望遠端では暗いものの頑張っている。
そして撮像素子は従来から一部モデルで使われていた1/2.33インチで1410万画素の「高感度MOSセンサー」を搭載。パナソニックのMOSセンサーがソニーの裏面照射型CMOSセンサーと比べてどうなのかは気になるところだが、SZ7ではISO3200まで対応(高感度モードではISO6400まで)している。
さらに、iAモードの強化にも触れたい。このクラスのコンデジで重要なのは、フルオートでどれだけ幅広いシチュエーションに対応してくれるかなのだが、そこが強化された。デフォルトではオフになっているのが残念だが、iAモードでメニューを開くと、「ブレピタ」「i手持ち夜景」「iHDR」の3つが隠れてる。
ブレピタは被写体が動いていると判断するとISO感度を上げてシャッタースピードを速くする機能。これをオンにしないと、なかなかISO感度を上げてくれず、ちょっと暗いとシャッタースピードが遅くなるのだ。
「i手持ち夜景」は連写+合成でノイズが少ないきれいな夜景を撮りましょうという最近お馴染みの機能、「iHDR」は露出を変えた写真を連写し、合成することでダイナミックレンジの広い写真を撮りましょうという機能。
これらを全部オンにすると、夜には自動的に手持ち夜景に(その際は手持ち夜景モードになりましたと画面に解説がはいるので心の準備もできてよい)、逆光時は自動的にHDRに(このときも同様)なるので、iAモードだけでひととおりの撮影がこなせる。
これはすばらしいことだ。デフォルトでオンになっていればいいのにと思う。
iA以外の撮影モードにはプログラムオートやジオラマ、シーンモードがあるが、従来のLUMIXが搭載していたデジタルフィルター系の撮影機能はなくなり、それらは再生モードに搭載された。再生時に上キーを押すと、自動レタッチやトイカメラやソフトフォーカスといったデジタルフィルターをかけられる。
使っていて気になったのは液晶モニタ。正面から見ると十分きれいで、オートモードにすれば自動的に明るさを調整してくれる。でも、上下の視野角が狭い。カメラを目の高さに構えればいいが、ちょっと低い位置や高い位置から見ると急に見づらくなるのはかなり残念。ハイアングルモードにするとハイアングルでの見映えがよくなるのだが、普段使ってていちいち表示モードを切り替えるかというと、それはちょっとな、と思う。
なお、撮像素子や撮影機能は進化したが、基本的には極めてオーソドックスで、タッチパネルやWi-Fi機能はなし、電源と撮影・再生切り替えはメカニカルのスライドスイッチを踏襲している。何気なく従来機より高感度で手持ち夜景やHDRにも対応したよ、というところがポイントか。
ハードウエア的に新しくなったのは電源系。LUMIXはずっと充電器で充電してたのだが、SZ7ではUSB充電となった。付属のケーブルを使って電源を供給しているUSB端子に差し込んでやれば充電がはじまる。徐々にそういうカメラが増えてきたわけで、もう本体からバッテリを取り出して充電器にセットする、って時代ではなくなりつつあるのだろう。予備バッテリが必要な人は別売りの充電器を買ってね、ということで、それは歓迎してよいことだと思う。
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