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20倍ズームだけじゃない、快適機能搭載のサイバーショット「DSC-HX30V」(2/3 ページ)

» 2012年03月27日 11時00分 公開
[ITmedia]

実用的なスマホ転送

 HX30Vの無線LANでできることは3つ。テレビへの転送、パソコンへの転送、そしてスマートフォンへの転送だ。テレビについてはDLNAレンダラー対応のテレビが必要で、同社の「BRAVIA」シリーズならBGM付きスライドショーも楽しめるがちょっとここでは割愛。

 パソコンへの転送については、まず添付ソフト「PlayMemories Home」をインストールする。その後に、パソコンが接続されているLANに、HX30Vが参加すれば自動的に撮影画像がソフトのインストールされているパソコンへ保存される。Windows 7環境のデフォルト設定では「マイピクチャ」以下に、「2012-03-23」のような撮影日ごとのフォルダが作成され、そこへ保存される。

photo 無線LANを使ってのパソコン画像転送中。画面右下にダイヤログが表示される
photophotophoto HX30Vが既存の無線LANに参加する場合、アクセスポイントへの接続はWPSから設定できる。もちろん、アクセスポイントを手動で探して登録することも可能だ

 転送自体はほぼ自動だが、DSC-TX300Vのようにクレードルに置くだけというほどの手軽さはなく(そもそもクレードルが付属しない)、転送する際にはカメラの「MENU」から「パソコン保存」を選択するというワンアクションが必要になるほか、LANの速度にも影響するが、低速(802.11bなど)の無線LAN環境ではあまり転送速度が速いとは言えない。それにPlayMemories HomeはMac OS版がない。USBケーブルで直接、あるいはカードリーダーを使った方が結局は快適かもしれない。

 無線LANを使った機能で活躍の機会が多そうなのが、やはりスマートフォンへの転送機能だろう。準備としては、AndroidマーケットやAppStoreでファイル受信の専用アプリ「PlayMemories Mobile」を落としてスマートフォンへインストールする。

 HX30Vがアクセスポイントとなり、スマートフォンがそちらへ接続する形となるため、手順としてはHX30Vを再生モードにして転送したい画像を選んだ後に、「MNEU」-「スマートフォン転送」を選ぶと、HX30Vがアクセスポイントになるので、スマートフォンの無線LANをそのアクセスポイントへ接続、接続が完了した後にPlayMemories Mobileを起動すると画像が転送される。

photo iPhone 4Sへの転送中

 スマートフォン転送をする際には、画像が自動的に2Mサイズへ(1440×1080ピクセル)縮小されることと、スマートフォンの無線LAN接続先をHX30Vに切り替えることに注意が必要だが、外出先でカメラを使って撮影した画像をさっとSNSなどへ投稿できるのは便利。

 最近ではスマートフォンも大容量のストレージを搭載しているので、HX30Vで撮影した画像は全部転送しておくという使い方もよいかもしれない。ただ、新iPadなどタブレット端末については高解像度の液晶を搭載する機種もあるので、画像サイズが2Mに自動リサイズというのはちょっと物足りないかもしれない。欲を言えばもう少し高解像度の画像も転送できるよう、オプションがあればうれしかった。

快適高速になったGPS

 もうひとつの大きな付加機能がGPS。サイバーショット「HX」では、冒頭で触れた2年前のDSC-HX5VでもGPSを搭載していたが、あれから2年がたち、本製品のGPSは測位のスピードが相当に速くなり、感度も高くなった。衛星位置のデータを事前にダウンロードしておくことで測位を早くする仕組みは以前から採用されているが、コールドスタート(電源OFF状態からの測位)でも1〜2分、ホットスタート(スリープ復帰などからの測位)なら、周辺環境次第だが10〜15秒程度で測位を完了する。

photo 6つの衛星を捕まえた状態

 個人的にも2010年のHX5V、2011年のHX9Vを所有していたのだが、手放してしまったので並べての実測ではなく、体感での比較になってしまうが、明らかに測位完了までの時間は短くなり、アンテナの感度も高くなっているように感じる。HX5V/9Vでは窓際で測位しないという事も珍しくなかったが、HX30Vは高い確率で窓際の席なら衛星からの電波を捕まえて、測位を完了する。速度という精度といい、ようやくGPSの存在をさほど意識せずに使えるようになったと言っていいだろう。

 ジオタグ付きの写真は、添付ソフト「PlayMemories Home」の「マップビュー」で地図と合わせて表示させてもよいし、Google EarthやApertureなどで表示させてもいい。最長24時間のGPSログも取得できるので、あちこち立ち寄りながら写真を撮るときには、GPSログをONにしておくと後から見直すときに楽しい。ただ、GPSログ機能をオンにしておくと、バッテリー消費が早くなるのでその点には注意が必要となる。

photo 「PlayMemories Home」の「マップビュー」でジオタグ付き写真を表示
photo 同じく「PlayMemories Home」の「マップビュー」でGPSログを表示

 DSC-HX30Vは単に20倍という高倍率ズームレンズを搭載しただけではなく、無線LANやGPSによって、「撮った後の写真の使い方」まで新たな要素を提案するカメラだ。より付加価値を多くというならば、タッチパネルや非接触充電までも取り込んだ「DSC-TX300V」という選択肢もあるが、20倍ズームレンズがポケットに入ってしまうというのも非常に愉快。ちょっと厚みがあって胸ポケットに入れるとまではいかないのがやや残念ではあるが、それでも他のモデルでは味わえない体験を提供してくれるのは間違いない。

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