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デジカメ単価下落に歯止めか ミラーレスはニコンが躍進 BCN調べ

» 2012年04月12日 17時26分 公開
[ITmedia]

 BCNは、POSの実売データを集計する同社提供のサービス「BCNランキング」に基づいたデジタル家電の市場調査報告をまとめた。

 デジタルカメラについては、ここ数年、レンズ一体のコンパクトタイプを中心に単価下落が激しかったものの、2012年2〜3月には復調傾向となっているほか、超高画素製品やミラーレスタイプの新製品投入といった要素もあることから、同社アナリストの道越一朗氏は「まだ伸びしろがある」と状況を判断する。

 コンパクトデジカメの平均実売価格は2011年3月には1万7100円であったものが、12年1月には1万3300円まで低下したが、新製品の投入や卒業・入学、春行楽といったイベントに歩調を合わせる格好で12年3月には1万5700円にまで回復している。また、タイプ別の販売台数構成比では、8倍以上の高倍率ズームレンズを搭載した機種が12年2〜3月にその割合を高めており、イベント需要をキャッチした様子が見て取れる。

photophoto コンパクトデジカメは春モデル効果で販売単価が回復傾向に(写真=左)、2〜3月は8倍ズーム以上の高倍率レンズを搭載したモデルが人気(写真=右)

 ミラーレスを含むレンズ交換式の平均実売価格の傾向も、コンパクトデジカメと同様。過去1年では、2011年3月に7万1900円だったものが12年1月に6万3700円にまで低下しているものの、12年3月には7万円にまで戻している。平均販売価格そのものについては数年に渡って低下し続けているが、販売台数は増え続けており、2012年3月の販売台数はここ3年で最大の数値を記録している。

photophoto レンズ交換式も2012年に入ってから販売価格が上昇傾向にある(写真=左)、ミラーレスタイプのシェアではニコンが急伸(写真=右)

 東日本大震災やタイ洪水もあり、カメラメーカーにとって2011年はつらい1年だったのではないかとはBCNの道越アナリストは振り返るが、ミラーレスタイプは引き続き前年比増プラスの好調を通年で維持しており、デジタル一眼レフも生産体制の回復した2012年3月には反転して大きな伸びを記録している。

 ミラーレスタイプのシェアに目を向けると、ニコンの伸びが目立つ。発売時からの急伸はなかったものの、価格低下も手伝って2011年末からはシェアを伸ばしており、12年3月時点では約2割を占めるまでに至っている。ただ、12年3月時点の平均実売単価に目をやると、NEX-7がヒットしているソニーが7万4900円と他社を大きく引き離している。

 レンズ交換式全体としては、キヤノン/ニコンがデジタル一眼レフの中上級機を投入した影響もあり、デジタル一眼レフが復調傾向にある。ミラーレス/デジタル一眼レフの販売構成比は前者が伸び続けており、2011年12月には52.2:47.8とミラーレスが過半を占めるに至ったが、12年2〜3月には48.9:51.1、44.8:55.2とデジタル一眼レフが盛り返している。

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 ちなみにデジタルカメラ全体のメーカー別販売台数シェアという視点からすると、ミラーレスタイプを製品ラインアップに持たないキヤノンが2012年に入ってからシェアを伸ばし、トップを獲得している。ただ、Nikon 1を擁するニコンも同様に2011年末からシェアを伸ばしており、2強が市場を引っ張るという構図は続きそうだ。

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