ハウツー
» 2012年05月10日 11時00分 UPDATE

デジイチ初心者応援:「横構図」と「縦構図」を理解する

「被写体の形に合わせて「横構図」と「縦構図」を使い分けていませんか。横と縦、それぞれの構図にはそれぞれの効果があります。この2つを意識的に使い分けてみましょう。

[mi2_303,ITmedia]

 みなさんがよく使っている携帯電話やスマートフォンなどで写真を撮影する際、端末の構造上、無意識に「縦構図」で撮影していると思います。ではデジタルカメラというと、主として「横構図」で撮るように作られているため、普段は横構図で撮影することが多いのではないでしょうか。

 それでは、どんなときに携帯電話を横構図にしたり、デジタルカメラを縦構図にして撮影するでしょうか。多くの場合は、横では収まりきれない物を撮影するために縦構図、縦では収まりきれない物を撮影する場合に横構図として撮影していると思います。ですが写真表現としては「縦」と「横」では見る者の受ける印象が違うため、撮影者の気持ちを表現する手段として横構図・縦構図を使い分けることになります。

photophoto

 まずは、こちらの風景写真。左は横構図にして風景の広がりを表しています。横構図の場合は、普段見ている風景に近いため安心感や安定感を感じさせます。右の写真は同じ場所から縦構図にして撮影したものです。縦構図の場合は高さや奥行きが表現できるともに、世界を切り取ったような狭さからくる独特の不安定感や違和感を感じさせます。また、横構図よりも空が大きく写し込まれるので、圧迫感があるように感じる方もいるでしょう。

photo

 こちらの写真は、まっすぐな道を撮影したものです。この写真では、色々なものが漠然と写っているような印象を与えます。これを縦構図にするとどうなるでしょうか。

photo

縦にすることで余計なものが写り込まなくなり、視線が自然に道の奥へ行くようになりました。このように、縦構図は奥行きの表現に適しています。

 人物撮影はどうでしょうか。観光地などでの撮影は、横構図で撮影すると景色が広く写り込むため、どんな場所で撮影したのか、あるいは季節が分かるので、思い出を記録する記念写真としては効果的です。

photo

 この写真は、特徴的な背景があるわけでもない、ごく普通の写真です。普通すぎて何も伝わってきません、これは人物が立っているにもかかわらず横構図で撮影しているからなのでしょうか。

photo

 縦構図にしてみましたが、やはり何も感じられません。これは人物と背景に意味がなく、それぞれがただ写っている写真だからです。問題点を解消する方法として、背景選びと構図やモデルのポーズなどテクニックがありますが、それは別の機会に取り上げるとして、撮影の基本要素である何を撮りたいのかを明確にするために少し近寄ってみましょう。

photo

 こうすることで、先ほどより人物がクローズアップされるとともに、背景も木の枝の広がりのみとなり、写真としても分かりやすくなりました。ではさらに近寄ってみるとどうなるでしょうか。

photo

 いわゆるバストアップという構図になりました。こうすることで、モデルの魅力を引き出すことができるようになりましたが、上記からの流れで撮った写真であるためこの写真には「伝えたいこと」が込められていません。そこで、同じバストアップでも空間を演出できる横構図にして撮影してみました。

photo

 横構図にすることで窮屈な雰囲気がなくなり、見た目の印象が変わりました。違う印象を受けた理由は、単に横構図にしただけではなく、人物の横に空間を空けたためです。人物撮影には目線の先に空間を空けると良いと言うセオリーがあります。あくまでセオリーなので、毎回そのように撮影する必要はありません。また、あえて空間を設けないようにすることで緊張感を出すこともできます。

 このポートレートのフレーミングのセオリーを機能として備えたカメラも出てきました。ソニー「α57」(レビュー記事参照)の「オートポートレートフレーミング」は、カメラを人物へ向けるとオリジナル写真と、カメラが自動的にトリミングしたポートレート写真を記録してくれます。

photophoto ソニー「α57」による横構図(写真=左)とオートポートレートフレーミングでフレーミングされたカット(写真=右)

 誰でも簡単に、ポートレートに最適な構図となるようにフレーミングをしてくれる「オートポートレートフレーミング」機能は、こういう撮影方法もあるのかという発見につながる機能だと思います。

 このように、横構図や縦構図における空間の見え方や、心情の描き方などの撮影の引き出しを増やすことが大事です。そのほか、撮影テクニックとして縦構図を利用したトリミング的な撮影方法もあります。

photo

 この写真にはいろいろなものが写っており、その時なぜこの場面を撮りたかったのか、手前の建物が良かったのかそれとも遠くの夕景が良かったのか、心情の伝わりにくい写真となっています。

photo

 同じ場所からの1枚ですが、構図を縦にすることで余計なものが写り込まなくなり、結果として「この建物を撮りたかった」という心情を伝えやすい写真となりました。

 最後にこの2枚。

photophoto

 この2枚は広さと奥行きは出ていますが、何を撮りたかったのか伝わってきません。撮影時には何か熱を感じて撮影していますが、少し時間が経って見返してみると何を撮りたかったのかが伝わってきません。このように横構図・縦構図は、平凡な景色を変えてくれる魔法ではありません。

 まずは少し落ち着いて、今何を感じてそれをどう表現すれば良いのかを、カメラアングルを変えたり移動して、被写体の魅力を見つけ出すことが大切です。

(モデル:後藤琴実 オスカープロモーション)

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.