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デジカメ販売好調続く、交換レンズ市場は拡大顕著

» 2012年06月13日 15時49分 公開
[ITmedia]

 BCNは6月13日、POSの実売データを集計する同社提供のサービス「BCNランキング」に基づいたデジタル家電の市場調査報告をまとめた。夏ボーナス商戦に向けたこの時期、ミラーレスタイプを含むレンズ交換型カメラの販売が順調に推移しているほか、コンパクトデジタルカメラの単価下落にも歯止め傾向が見られるという。

 ミラーレスタイプを含むレンズ交換型については春以降、好調な販売を維持しており、2012年5月では販売台数/金額ともに前年比3〜4割増を記録した。同時期における販売台数別シェアはキヤノンが32.1%とトップを維持しており、ニコン(24.2%)、パナソニック(14.6%)、オリンパス(14.1%)、ソニー(9.7%)と続いている。

photophoto ミラーレスタイプを含むレンズ交換型カメラは震災やタイ洪水などの影響から立ち直り、順調な販売を見せている(写真=左)、販売台数シェアではキヤノンがトップ(写真=右)

 デジタル一眼レフの販売台数シェアでは、キヤノンが59.8%と大きく他社(ニコン29.6%、ソニー6.6%、ペンタックスリコー3.7%)を引き離す。ただ、ミラーレスタイプの販売台数シェアではパナソニック(31.7%)オリンパス(30.4%)が2強ながら、ニコン(18%)とソニー(13.3%)も肉薄しており群雄割拠の様相を呈している(数値はいずれも2012年5月時点)。キヤノンとニコンという2台カメラメーカーに関していえば、デジタル一眼レフ集中のキヤノン、両面作戦のニコンとそれぞれのアプローチを表現できるだろう。

photophoto デジタル一眼(写真=左)とミラーレス(写真=右)の販売台数シェア

 今春から大きな動きを見せているのが、交換レンズ市場だ。

 ミラーレスタイプやエントリー向け一眼レフに適する、比較的低価格な製品のバリエーションが増加したこともあって平均単価こそは前年割れの4万7600円になっているが、2012年3月には台数前年同月比で173.7%、同金額比でも165.5%と高い伸びを示し、5月でも同150.2/146.3%と高い水準の伸びを維持している。

 販売本数でのシェアではキヤノンとニコンがそれぞれ20.7%に18.6%と高い値を記録するが、サードパーティであるタムロンの検討(17.1%)も光る。タムロンについてはサードパーティの利点を生かして多数のマウントに適した製品を用意するほか、メーカー純正に比べると比較的低価格な価格帯も製品を多く用意していることがシェア獲得の要因といえそうだ。

photophoto 成長する交換レンズ市場(写真=左)、販売本数シェアではサードパーティのタムロンも健闘している(写真=右)

 レンズ一体型(いわゆるコンパクトデジカメ)については、2011年12月に平均単価が1万4000円を割り込んだのを底に上昇傾向を描いており、2012年5月には1万7000円台に回復している。その原因について、同社アナリストの道越一朗氏は「画素数アップやズーム倍率、ハイビジョン動画など高機能製品の投入が、好影響を及ぼした」と分析する。

photo コンパクトデジカメは1月を底に単価は反転しており、2012年5月には平均単価1万7000円台となっている

 道越氏が要因に挙げた画素数については1600万画素以上が6割、ズーム倍率については10倍以上が4割を占めるまでに至っており、スマートフォンでは実現の難しいスペックを備えることで差別化を図ろうというアプローチを各社が取っていることが分かる。

 なおレンズ一体型(コンパクトデジカメ)のメーカー別販売台数シェア(2012年5月時点)は、キヤノン、カシオ計算機、ソニー、パナソニック、ニコンと続く。ただ、上位6社でもシェアはそれぞれ10%台にとどまっており(トップのキヤノンでも17.7%)、販売台数シェアという観点では圧倒的に強いメーカーがない状況となっている。

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