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最強の広角系スナップコンパクトデジカメ――サイバーショット「DSC-RX100」(2/3 ページ)

» 2012年06月18日 10時39分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

コントロールリングの使い勝手

 シンプルなボディのDSC-RX100。使い心地はサイバーショットとNEXの中間な感じだ。モードダイヤルの他にはいくつかのボタンとダイヤル。内蔵フラッシュはオートポップアップ。タッチパネルはなし。

 その中で注目すべきはレンズ周りのリング。キヤノン「Powershot S100」、オリンパス「OLYMPUS XZ-1」が採用してる、アレだ。違うのはリングが「無段階」、つまりクリックがなく滑らかに回ること。電子ダイヤルと思うとクリック感が欲しくなるが、この滑らかリングを使ってみると重くもなく軽くもなく、ほどよい重さでけっこう心地よい。動画撮影時のズーミングに使えるよう無段階にしたそうな。

photo 上面。レンズ周りのリングがポイント。上面には電源、シャッターとズームレバー、モードダイヤルがシンプルに並ぶ
photo Fnボタンを押すと下に設定した項目が並ぶので左右キーで選択し、リングを回して(実は背面のロータリーダイヤルを回しても同じ)コントロール
photophoto 背面。この写真では電子水準器を表示させている。右側に円形のロータリーダイヤル兼十字キー。その周りに4つのボタンが並ぶ。右下の「?」は撮影ガイドで、撮影のコツを教えてくれる。このキーはカスタマイズできない。左キーと右キーはカスタマイズ可能。(写真=左)、おまかせオート時はリングがズームダイヤルになる(写真=右)

 標準設定では、おまかせオート、プレミアムオート時はリングがズーミングに(画面に焦点距離が表示されるのはなかなかよい感じ)、絞り優先AE時は絞りリングとして、シーンモードではシーン切り替えとして自動的に役割が変わる。

 Fnキーを押すと、あらかじめ設定した項目が並び、そこで項目を選んでリングで変更する。たとえばISO感度や露出補正、WBなど。この辺はNEXっぽい。その他、リング、左キー、右キーなどに(なぜか操作ガイドボタンはダメだけど)細かい操作のカスタマイズが可能だ。

photophotophoto カスタマイズの設定画面。リングやFnボタン、左や右キーなどに機能を割り当てられる。Fnボタンには最大7つ

 カスタマイズの豊富さはよいのだが、納得がいかない点もいくつかあって、たとえば、リングの機能を「ISO感度」に割り当てると、おまかせオートやシーンモードといった「ISOオートのみ」のモードで回すと「この機能は使えません」といわれるのだ。えっと、ですね、P/A/S/Mの各モード時にISO感度ダイヤルとして使いたいわけであって、おまかせオートやシーンのようにISOオートのみのときは普通にズーミングやシーン切り替えとして働いてもらって構わないんですけど……。

 もうひとつ、たとえば絞り優先AEのとき、リングは絞り値設定となる。まあ普通である。そのとき背面のロータリーダイヤルはというと、こっちも絞り値なのだ。えっと、せっかくふたつのダイヤルがあるのだから、両者を使い分けられた方がクールかと思うのですが……。

 この辺の感覚は人それぞれだろうけど、個人的には「あれ?」な点があったということで。

 DSC-RX100は動画機能も重視している。AVCHDだと60pで27MbpsのPSモードも使える(ただし、再生機器側が対応してる必要があるので注意)し、PSモード時以外は動画撮影中に静止画のキャプチャもできる。これはなかなかよい。

photo 動画撮影中の静止画キャプチャ。16:9の1600万画素で記録。ただ普通に静止画を撮ったときよりクオリティは落ちる

 細かいところで、今年のソニーのデジカメ全体にいえることだが、USB接続端子が標準的なmicroUSB端子になった。これは素晴らしい。USB充電も可能なので、本体付属のACアダプタとケーブルじゃなくても、市販のmicroUSBケーブルに市販のUSB電源出力機(それこそ、iPhone用のACアダプタや、USB出力の外部バッテリなど)があれば充電できるのだ。これは他社も追随して欲しいなあと願っております。

photo 試しに市販のmicroUSBケーブルと、三洋電機のエネループモバイルブースターをつないでみたところ、ちゃんと充電できた。これが可能だと実に便利。なお、今まで通り充電器でバッテリーを充電したい人には、別売りの充電器が用意されているので問題はない

高画質なスナップ用ハイエンドとして秀逸

 つまるところ、DSC-RX100は高級高画質なスナップ用コンパクトである。

 サイバーショットが搭載する(といっても、RX100もサイバーショットなんだが)、プレミアムおまかせオートなら自動的にHDRがかかったり暗いところで連写+合成機能が働いたりしてくれるし、ピクチャーエフェクト機能も凝っていて面白い(バリエーションが多すぎてリングを回して選ぶだけでも大変だけど)。

 ちょっとコントロールしたいときは、絞り優先AEやシャッタースピード優先AEにしてリング回しを楽しむのもいい。露出補正は下キーに割り当てられてるので背面で。画質優先で動いてない被写体を撮る時は、マルチショットNRにしておくと滑らかでノイズのない絵を撮れる。

 絵作りも露出もホワイトバランスも全部自分で細かくコントロールしながら撮りたいなると操作が煩雑に感じるし、広角端以外ではほとんど寄れないのも不満だけれども、スマートなボディでスナップを撮りたい人のカメラなのでこれはこれでいいのかもしれない。気軽に持ち歩いて気軽に撮れてこのサイズ、最も高画質な最強の広角系スナップコンパクト機である。

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