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» 2012年07月30日 11時00分 UPDATE

本当の1600万画素を見せてあげますよ:抜群に使いやすくなった唯一無二の超高画質コンパクト――シグマ「SIGMA DP2 Merrill」 (1/3)

使うに際しての注意事項は多いが、このサイズこの価格でこれだけの写真が撮れるカメラはほかにない。「空気感まで写す」と言われる、写真好きなら買って損はないカメラ。「SIGMA DP2 Merrill」はそんなカメラだ。

[荻窪圭,ITmedia]

 これが「美味しんぼ」(初期のころね)なら、「かわいそうに。本当の1600万画素を見せてあげますよ」と懐から取り出されてもおかしくなさそうなカメラの登場である。何はともあれ、これを見るのである。

photo

 上は同じシーンを2台のカメラで撮影し、等倍表示したもの。

 左がシグマの「SIGMA DP2 Merrill」(以下、DP2M)、右がソニーの「NEX-5N」。どちらも約1600万画素。どちらもセンサーはAPS-Cサイズ。どちらもF5.6で統一。どちらもRAWではなくJPEGで撮ったままのもの。

 NEX-5Nの方は単焦点じゃなくて標準ズームレンズなのでその分不利だけれども、左右を見比べればどっちがディテールまでしっかり表現されているか、一目瞭然(りょうぜん)だ。正直、ここまで差が出るとは、って感じである。この違いを生んだのが、撮像素子の差なのだ。

SD1と同じセンサーを搭載したコンパクト機

 シグマから発売されたDP2M。30ミリ(35ミリ換算45ミリ相当)F2.8の単焦点レンズを搭載したコンパクトデジカメだ。これを他社のカメラと違う存在としているのは、「Foveon X3センサー」という撮像素子の存在に尽きる。

photo 「SIGMA DP2 Merrill」レンズ周りにはフォーカスリングを装備する

 一般にデジカメの撮像素子は光の強さにしか反応しないので、いわば「モノクロ」なんである。そこからカラー画像を作るため、画素ひとつひとつにカラーフィルタをつけて色を割り当てる。1600万画素ならば、Gに800万、RとBにそれぞれ400万を割り当てるのが普通。そこから足りない色を補完して1600万ピクセルのカラー画像を作っているのだ。

 DP2MのFoveon X3センサーはRGBそれぞれ1600万画素の層を3層重ねてセンサーを構成している。1600×3で合計4800万画素を持っているのだ(カタログに約4800万画素と書いてあるのはそのため)。各色とも1600万画素分あるので、ディテールまで描写できるリアル1600万画素であり、色も豊かなのである。

 と書くとすごそうであり、実際にすごいのであるけれども、構造上、どうしても1画素あたりの感度は高くないので高感度には弱い。どのくらい弱いかはあとで。

 で、この1600万画素 APS-Cサイズ(23.5×15.7ミリ)のセンサーは2011年のデジタル一眼レフ「SIGMA SD1」で初採用され、当初は70万円というすごい価格だったものの、製造コストを抑えることに成功し、2012年に登場した「SIGMA SD1 Merrill」はボディの実売価格を20万円以下に抑えた。そして2012年のCP+で同じセンサーを使った「SIGMA DP1 Merill」と「SIGMA DP2 Merrill」が発表され、DP2 Merrillが一足先の発売に至ったというわけだ。

DP2Xより一回り大きいが、使い勝手は抜群に良くなった

 既存「SIGMA DP2X」に比べると、センサーサイズが少し大きくなった分(DP2Xのセンサーサイズは20.7×13.8ミリ)、ボディはひとまわり大きくなり、ストロボも内蔵しなくなったが、全体の使い勝手は驚くほど良くなった。

photo 手前がDP2X。DP2Mの方がひとまわり大きく、内蔵フラッシュもなくなっているのが分かる。でも使い勝手は格段に良くなった
photo 上から。電源と撮影モード。シャッターボタン周りのダイヤルは親指でも人差し指でも回せて、実に使いやすい

 液晶モニタも大きく見やすくなったし、操作のレスポンスも上がった。サクサク撮れるようになったのである。特にSIGMA SD15譲りともいえるシャッターボタン周りのダイヤル(コマンドダイヤル)がいい。起動は高速。レンズが沈胴式ではないため、電源を入れてすぐ撮れる。

photophoto 正面から。レンズは同社のマイクロフォーサーズ/NEX用30mmF2.8レンズと同等だと思われる。APS-Cサイズセンサーなので35mm換算で、45mm相当の標準レンズとなる(写真=左)、背面は旧モデルと同様。十字キーといくつかのボタンからなる。液晶モニタは大きく見やすくなった。右下の「7」はバッファの残り枚数。つまり連写可能枚数(写真=右)

 DP2Mは一般的なコンパクトデジカメと違って、撮影機能は極めてシンプル。シーン自動認識どころか、「シーンモード」も「フルオート」モードもない。あるのは、動画とカスタムを除けば「P/A/S/M」の4つだけ。MODEボタンを押し、電子ダイヤルを回して切り替える。レスポンスがいいのでさくっと変えられてよい。

 露出のコントロールは電子ダイヤルと左右キーで。ダイヤルが絞り値(やプログラムシフトやシャッター速度)で、左右キーが露出補正となっている。両者を入れ替えることも可能。ここがシンプルなので必要に応じてさっと切り替えられる。

 AFは多点AFとか顔検出とか、そんなこじゃれた機能はなし。AFは9点から選ぶか、十字キーで任意の位置に枠を移動して行う。AF枠サイズは変えられるが、ディテールの描写力を生かすにはピントが大事なので一番小さな枠がおすすめ。もちろんMFも可能で、鏡胴周りのピントリングで行える。拡大MFはなかなか使いやすい。速度はまあ速くはないが実用レベル。そもそも素早く動く被写体を追って撮るようなカメラではないので問題ない。

 撮影間隔も短くなった。7枚分のバッファ(画面右下にバッファの残り枚数が表示されてる)があるので、それがいっぱいになるまではサクサク撮れる。ただ、RAWデータだと1枚50MB以上あるのでデータ書き込みは遅い。

photophoto AFポイントは9つから選べるほか、枠の大きさ変更やフレキシブルなAF枠移動も行える(写真=左)、MFモードにしてセンターキーを押すとフォーカス枠周辺が拡大されるので、それを見ながらフォーカスリングで調整(写真=右)

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