富士フイルムの高級レンズ交換式デジタルカメラ「FUJIFILM X-Pro1」(以下 X-Pro1)にライカMマウントレンズを装着できる「Mマウントアダプター」が純正アクセサリーとして発売された。カメラメーカーが他社レンズ用のマウントアダプターを発売すること自体、珍しいことといえるが、Mマウントアダプターは既存X-Pro1ユーザー向け要素以外に、ライカレンズユーザーをX-Pro1へ誘導するための入り口としての役割もありそうな製品となっている。
それでは、さっそくMマウントアダプターの詳細をチェックしていこう。
Mマウントアダプターを介して装着できるライカMマウントレンズについては、同社サイトに装着確認リストが掲載されている。まずはマウントアダプター導入前に手持ちのレンズが利用できるか、こちらで確認することを勧めたい。また、マウントアダプターのパッケージには、レンズを装着できるか確認するためのチェックゲージが付属しており、リストにないレンズでも装着前の事前チェックが可能となっている。
このチェックゲージをレンズの後玉部分に当てて、径のサイズや飛び出しが範囲内に収まっていればそのレンズは使用できることとなる。ただし、チェックゲージによる確認はあくまで目安であり、サイズがギリギリのレンズに関してはトラブルが起きる可能性もあるので注意したい。
ボディメーカーによる純正マウントアダプターならではの特徴として、Xマウント側には電子接点があり、Mマウントアダプターに設けられたファンクションボタンを押すことでX-Pro1背面液晶に「マウントアダプター設定」が表示される(※要ファームウェア Ver1.11)。このマウントアダプター設定には、装着するレンズごとの歪曲補正や周辺光量補正、色シェーディング補正を6本分、記録できる。
歪曲収差補正や周辺光量補正に関しては、レンズの味として残すも良し、きっちりと補正して現代風のレンズ風として使うも良し、ユーザーの好みで設定できる。色シェーディング補正はレンズ四隅に発生するカラー変化を緩和するもので、先に説明した歪曲収差補正や周辺光量補正とは違い、味というよりは写真そのものの仕上がりに関係してくるものなので補正した方が良いだろう。色シェーディング補正は四隅それぞれ個別に補正することができ、例えばマゼンタに変色するようであればその逆の色相を強くして打ち消すよう、画面表示を確かめながら補正する。
登録レンズ項目の5番目と6番目は焦点距離入力に対応している。1〜4番目までは21ミリ、24ミリ、28ミリ、35ミリの焦点距離が登録されており、それ以外の焦点距離のレンズは5番、6番に登録する。焦点距離入力は単に設定の項目を分かりやすくするためのものではなく、設定した焦点距離に応じてOVF内のブライトフレーム表示が切り替わる。このようにOVF内の表示にも対応するので重宝する焦点距離設定だが、さらに裏技的に同じ焦点距離を複数設定して、補正設定あり/なしを切り替える使い方が便利だ。
これら補正を行う際にはカメラ本体の「MENU」ボタンから呼び出すほか、マウントアダプターのファンクションボタンからも呼び出せるので、使い勝手は良い。ただし、レンズ側と通信が行われる行われる訳ではないので、レンズ交換のたびに設定を変更する必要があり、これを忘れると他のレンズの補正データがそのまま適用されてしまうことになる。レンズ補正を行っていない場合、画像に影響はないが、Exif内の焦点距離情報に相違が出てしまうので、いずれにしても注意が必要だ。
Mマウントアダプター装着中は「レンズ交換をしたら設定確認する」をクセにすればいいといえばそこまでだが、撮影中には正直なところ、背面液晶かEVFに「現在設定されている焦点距離」の表示が欲しいと感じた。また、ファンクションボタンの位置がロックレバー付近にあれば設定変更に気が付く確率が上がると思う。それとも、もっとシンプルにレンズ着脱と連動してメニューが表示されるというのでも良さそうに思う。
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