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第155回 身近な虫と撮り方の関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2012年08月23日 11時26分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

マクロでバッタを撮る

 ではレンズをマクロレンズにつけかえて虫を撮ってみる。

 小さいものを大きく撮るときのポイントはレンズの「最大撮影倍率」。で、マクロレンズといわれるレンズはこの数値が「等倍」であることが普通。デジタルで「等倍」といわれてもピンとこないだろうけど、もともとはフィルム時代の概念だから。35ミリフィルムって36×24ミリのサイズ。等倍のマクロレンズというのは、36×24ミリの大きさのものをいっぱいに撮れるという意味。そうすると、1ミリのものがフィルム上で1ミリのサイズで写るから等倍。

photo この日に用意したのはこんなセット。ニコン「D7000」にシグマの105ミリマクロレンズ。近寄れなかった時のために、オリンパス「OLYMPUS OM-D E-M5」と100〜300ミリ望遠ズーム。マイクロフォーサーズはちょっと撮像素子が小さい分、被写界深度が深めなのでマクロは撮りやすい

 デジタルでもその考えを継承しているのだけど、等倍で撮ったものを24インチとか27インチのモニタいっぱいに映すとかなりの迫力なのだ。

 で、望遠系のマクロレンズは、同じ等倍でも、望遠なので「ワーキングディスタンス」(レンズ先端と被写体との距離)を広く撮れるので虫向き。今回はAPS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラに105ミリマクロのレンズをつけてみた(157.5ミリ相当の望遠になる)。

 なにしろマクロ撮影のおそろしさは被写界深度の浅さにあるのだ。絞り開放だと被写界深度は1ミリあるかないかというレベル。ほんの少し手が動いただけで、ほんのすこし風が吹いただけでアウト。

 ひまわりにカマキリがいたのが可愛くて撮ってみたのである。

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 こっちを向いたので寄ってみたのだが、F4.5だともうピントがズレまくるのだ。被写界深度が浅すぎるのである。

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 さらにちょっと風が吹いただけでこれである。

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 F8まで絞るとかなりましになる。

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 F16まで絞るとシャッタースピードは遅くなるが(あるいはISO感度を上げないときつかったりするが)、もうちょっとしっかり顔が撮れる。

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 というわけで、バレてにらまれた瞬間はこれ。

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 つまり本気で虫を撮るなら、きちんと三脚を用意し、じっと動かずに待ち、虫がこちらを警戒して逃げないことを確認して、風が止まった瞬間にしっかり撮るべし。まあ、普通に虫写真を趣味としている人は、ちゃんと三脚を用意して狙っております。

 次はバッタさん。

photophoto 左がF4、右がF8

 しっかり撮るなら多少ISO感度を上げてでも、絞り込んでってことで。それにしても食欲旺盛でした。

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 食事に夢中でなかなか逃げなかったので正面から撮ったり、逆光で透明感を出してみたりと、いろいろ遊んでみました。

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