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“小型化”と“スマホ連携”で新規ユーザー開拓へ――エプソン、2012年「カラリオ」発表会忽那汐里さんも登場

» 2012年08月29日 21時00分 公開
[池田憲弘,ITmedia]

ユーザーはプリンタの設置面積を気にする

 エプソンは8月29日、個人向けインクジェットプリンタ/複合機の2012年秋冬モデルを発表した。「カラリオ」のA4複合機が8機種、「カラリオミー」の小型はがき/フォト機が2機種の合計10機種、カラーバリエーションを含めた全14モデルを2012年9月20日に発売する。

photo 主力モデルの「EP-805」シリーズ。左からEP-805A、EP-805AW、EP-805AR

 製品発表会では、同社 常務執行役員 プリンター事業部長の奥村資紀氏が、新製品の概要を説明した。新製品の目玉は、A4複合機の本体サイズが小型化したことだ。染料6色インクを採用した機種のほとんど(EP-705Aを除く)が新デザインのボディを採用し、本体サイズが約40%小さくなっている(従来機の体積を100とした場合の削減率)。

photophotophoto 発表会の冒頭であいさつした同社 常務取締役 羽片忠明氏。年末商戦における同社のシェアが、2010年度の46%から2011年度は54%に上がったとアピールした(写真=左)。新製品の概要を説明した同社 業務執行役員 プリンター事業部長の奥村資紀氏(写真=中央)。新モデルのEP-805Aを左へ、従来モデルのEP-804Aを右へ並べた。EP-805AはEP-804Aと比較して体積が約40%小さい(写真=右)

 小型化の背景について、奥村氏は「ユーザー調査を行ったところ、プリンタ購入時に本体サイズ、特に設置面積を考慮することが判明した。売れ筋機種のEP-803A(2010年秋冬モデル)における満足度調査でも、設置面積の満足度が(ほかの項目と比べて)低いことが判明し、小型ボディの製品を開発することにした」と説明した。

 このほか、上位機種の「EP-905F/A」や主力機種の「EP-805A/AW/AR」では、フリック操作に対応するディスプレイを導入したことで直感的な操作を実現したことや、操作パネルや排紙トレイが自動で開く機能を紹介。「排紙トレイが自動で開くのは、特にWi-Fi Directなど無線印刷機能の利用時に便利」と奥村氏はアピールした。

photophoto 調査の結果、ユーザーは製品購入時に設置面積を気にすることが判明。従来モデルにおいては、設置面積の顧客満足度が低かった(写真=左)。奥村氏はカラリオのロゴになぞらえ、新製品の6つのポイントを説明した(写真=右)

スマホ、クラウド連携で新規ユーザーを獲得

photo 新製品の販売戦略を説明したエプソン販売 代表取締役社長の平野精一氏

 続いて、エプソン販売 代表取締役社長の平野精一氏が登壇し、新製品の販売戦略を説明した。新製品のキャッチコピーは「うちカラ、そとカラ、新!カラリオ」となっており、スマートフォン/タブレットを使ったリモート印刷機能の強化、Wi-Fi Directへの対応など、ワイヤレス印刷機能に注力した点をアピールする。

 平野氏は、2011年にスマートフォンの出荷台数がPCやフィーチャーフォンの出荷台数を上回ったことに触れ、「これから、プリンタはスマートフォンやクラウドサービスと合わせて使われるようになる」と述べた。既存のユーザーを維持しつつ、スマートフォンやクラウドサービスとの連携機能を強化することで、スマートフォンを持っているが、プリンタを持っていないという新規ユーザーを獲得する狙いがある。

photophotophoto スマートフォンの台頭に合わせ(写真=左、中央)、個人向けインクジェットプリンタ製品は、プリンタがPCやデジタルカメラの周辺機器だった時代を経て、スマートフォンや、クラウドサービスとの連携を目指す段階に入ったと平野氏は説明した(写真=右)

 この狙いはA4複合機の「カラリオ」だけではなく、コンパクトモデルの「カラリオミー」にも反映されている。PCなしでの年賀状作成が行える「宛名達人」シリーズの「E-830」については、フィーチャーフォンやAndroid搭載スマートフォンと、赤外線やBluetoothでデータのやりとりが行えるようになったほか、ドコモのらくらくホンとの連携機能を備えた。「販売台数と、アプリのダウンロード数から推測すると、スマートフォンとの連携機能を使っているユーザーは全体の約10%。この比率をもっと増やしていきたい」(平野氏)

photophotophoto 今回の新製品で、スマートフォンユーザーでプリンタ利用していない層を取り込むという(写真=左)。コンパクトモデルのカラリオミーでも、ユーザーの拡大を狙う。らくらくホンとの連携機能を備えた(写真=中央)ほか、宛名達人シリーズのE-830は、Bluetoothに対応した(写真=右)。これらは30代、40代の女性や、50代以降のユーザーをターゲットにした機能追加だ
photo エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏。発表会ではiPadを使い、プレゼンテーションを行った

 最後に、スマートフォンやクラウドとの連携機能の詳細を、エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏が説明した。

 従来からエプソンは、写真やドキュメントをメールに添付し、プリンタのメールアドレスに送ると印刷できる「メールプリント」機能や、スマートフォンに保存した写真やドキュメントの印刷などができる「Epson iPrint」機能を同社製のプリンタに搭載していたが、2012年秋冬モデルの発表を機に、ネットワークに接続しているプリンタと端末を結ぶ機能の総称を「Epson Connect」と名付け、認知拡大を図る。

 さらに新製品では、端末とプリンタが同一LAN内になくてもEpson iPrintが利用可能になったほか、Web経由で印刷指示が出せる「リモートプリンタドライバー」機能、スキャンした原稿データをクラウドストレージへアップロードしたり、別のプリンタ(メールプリント対応の機種)に送信してFAXのように印刷できる「メールdeリモート印刷」機能を加えている。このほか、スキャン原稿をPCレスでクラウドサービスに直接アップロードできる「スキャン to クラウド」機能にも対応した。

photophotophoto 中野氏は、Epson iPrintの新機能や(写真=左)、リモートプリンタドライバー(写真=中央)、メールdeリモート印刷(写真=右)の説明を行った
photophotophoto エプソンはプリンタと端末を接続する機能の総称を「Epson Connect」と名付けた。どのような場所からでも快適に印刷が行えることを目的としている(写真=左)。スマホ、クラウド連携機能の一覧(写真=中央)。2012年度は2011年度と比較すると、市場規模は大きくなるとエプソンは予想している(写真=右)

 発表会の最後に、中野氏は「スマートフォンの登場で、プリンタを使う機会や印刷数が減るのでは、という質問をよく受けるが、私は逆にプリンタの活用機会は広がると考えている」と強調した。

 Epson iPrint(リモートプリント機能)とリモートプリンタドライバーは、どちらも2012年8月30日にサービスを開始する。Epson iPrintはApp Store/Google Playから、リモートプリンタドライバー機能はエプソンのWebページからダウンロードできる。スキャン to クラウドとメール de リモート印刷については、製品発売日の2012年9月20日にサービスを開始する。

 製品発表会後には、新テレビCMも披露された。新CMの発表後、CMキャラクターの忽那汐里さんが登場し、CM撮影のエピソードや新製品の感想を語った。忽那さんは、新製品について「どんな人にも使いやすい製品。新しい技術と色々な楽しみ方を多くの人に体験してもらいたい」とアピールした。

photophotophoto 製品発表会後に、CMキャラクターの忽那汐里さんがゲストとして登場した。忽那さんは従来モデルであるEP-804AWの模型を持ち上げると、中から新モデルのEP-805AWが出てくるというデモを行った。新モデルがどれだけ小型化したのかよく分かる(写真=左)。その後、新製品を使用した感想を紹介するトークショーやフォトセッションも行われた(写真=中央、右)

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