ダブルズームキットのレンズにも慣れ、そろそろ新しい交換レンズを購入したいけれど、種類が多くて何を選べばよいのか分からない。そういった方のため、これまでは売れ筋カメラ4機種ごとに高倍率ズームレンズと単焦点レンズについて、オススメを紹介してきました。
・ダブルズームキットからのステップアップ(3)――ニコン「D3100」&ソニー「NEX-5N」編
・ダブルズームキットからのステップアップ(2)――キヤノン「EOS Kiss X5」&オリンパス「E-PL3」編
・ダブルズームキットからのステップアップ(1)――高倍率ズームと単焦点のススメ
キヤノン編ではEOS Kiss X5にシグマ「18-250mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」、オリンパス編ではPEN Lite E-PL3にオリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」、ニコン編ではD3100にタムロン「18-270mm F/3.5-6.3 DiII VC PZD 【B008E】」、ソニー編ではNEX-5Nにタムロン「18-200mm F/3.5-6.3 DiIII VC【B011】」をそれぞれ紹介してきました。
おさらいになりますが、高倍率ズームのメリットはなんといっても、1本で広角から望遠までこなしてしまう利便性のよさにつきます。とくに旅行先などでは、広がりのある風景も撮りたいけど、出会えた人や動物も撮りたい、そんな写真欲をかき立てるシーンや被写体に出会ったときに、すぐさま構図を決めてシャッターを切ることができます。
ダブルズームの標準ズームと望遠ズームのセットでも対応できることはできますが、レンズ交換している間にシャッターチャンスを逃す、はたまた、レンズを落としてしまうといたトラブルも防げます。また、2本持ち歩くよりも1本の方が荷物も軽く済むので、旅先へ気軽に持って行けるのも大きなポイントです。
では、デメリットはどういったところでしょうか。
高倍率ズームはさまざまな焦点距離をサポートすることからも構造が複雑になり、改良が進んでいるとはいえ、単焦点レンズなどに比べるとどうしても画質は劣ると言わざるを得ません。また、レンズの明るさ(F値)が多くの製品が望遠側になるとF6.3ほどと暗くなってしまいます。
レンズが暗いと、シャッター速度を稼げなくなるので、手ブレ、被写体ブレの危険性が増します。撮影モードをシャッター速度優先でシャッター速度を固定しても、明るさが足りない場合は露光不足で暗い写真になってしまいます。その時は思い切ってISO感度を上げてしまいましょう。
最近のデジタル一眼は性能がかなり上がっていますので、ノイズも昔ほどは気にならないと思います。筆者の感覚ですと、ISO1600までなら許容範囲で、それ以上はそのカメラの性能と撮影シーンで選択します。ノイズをどこまで許容できるかは人それぞれですので、気になる方は一度、自分のカメラでさまざまなISO感度で試写してみて自分なりの基準を決めておくとよいでしょう。また、最近のカメラはISO感度の自動設定で最高設定値も自分で決められる機種もあります。こちらもチェックして使いやすくしておくとよいでしょう。
加えて注意したいのが、レンズの取り扱いです。高倍率ズームレンズは構造上、望遠側にズームリングを回すと、かなり鏡胴が伸びます。ほとんどの人は撮影が終わったら広角側に戻してコンパクトにすると思いますが、時には忘れてしまい、長さが災いしてぶつけてしまう事もあるかもしれません。
また、今回試用したレンズでは起こりませんでしたが、ズームリングが自重で勝手に回って望遠側に伸びてしまうということも起こりえます。そのため、各社ともレンズの根本付近に「ロックスイッチ」を設けていますので、撮影が終わって移動する際などは広角側に戻してロックスイッチで固定しておくクセをつけておくと安全です。
せっかく1本でなんでもできるレンズなので、それを壊した時の落ち込み度合は計り知れません。レンズ破損と写真が撮れないストレスのダブルパンチを避けるためにも、ぜひとも習慣づけておきましょう。
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