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» 2012年09月25日 11時00分 UPDATE

山形豪・自然写真撮影紀:ニコン「D4」でアフリカの野生動物を撮る

久しぶりのアフリカ長期滞在に備えて、ニコン「D4」を導入した。約2カ月に渡って、フィールドワークのともにD4を携行した感想を述べてみたい。

[山形豪,ITmedia]

 7月12日から2カ月の間、南部アフリカに滞在し、主に野生動物の撮影を行った。約1年半振りのアフリカだ。そしてこのフィールドワークでのメインボディとして携えたのが、今年発売となったニコンの最新フラッグシップ機「D4」である。

photo 今回のフィールドのメインボディ、ニコン「D4」。南アフリカ、リヒタースフェルト国立公園にて。ニコンD7000、AF-S 17-35mm f2.8、1/250、f11、ISO640、SB-800、SC-29

 今回は自分が南アフリカで最も頻繁に通っているカラハリ・トランスフロンティア・パークでの撮影を中心にしながらも、クルーガー国立公園や、世界遺産にもなっているリヒタースフェルト国立公園、ボツワナのマシャトゥ動物保護区などを訪れた。

 アフリカでの撮影でこれまで最も多用してきたのは同じくニコンの「D700」だが、AF起動速度の遅さや、100%ではないファインダー視野率などに悩まされることも多く、撮影に際してかなりフラストレーションを感じていた。しかもかなり酷使してきたため、いささかガタがきており、今回のアフリカ行きが決まった時点でD4を購入する決心をした。

 この判断に関しては、間違ってはいなかったと感じている。そこで、この2カ月間、アフリカでD4を使いまくった個人的な感想を述べてみたいと思う。

外観のデザインと使いやすさ

 基本的なボディのデザインやボタンレイアウトはD3シリーズと大差ないので、説明書を読まなくても容易に操作が可能だった(動画機能は別として)。これまでの機種との一番大きな違いはフォーカスエリアセレクター(ラバー製のジョグダイヤル)が2個追加されたことだろう。

 これにより、AF使用時の操作性が格段に向上している。横位置、縦位置のそれぞれで構えた時に、親指のすぐそばに配置されているので、非常に素早くフォーカスエリアの選択ができるようになったのだ。頻繁に動きまわる野生動物を撮影する時や、同じ場面を幾つもの構図で撮るような場合、これは大変にありがたい改善点だ。

photo カラスに追われるソウゲンワシ。こういう瞬間は素早い合焦が不可欠だ。南アフリカ、カラハリ・トランスフロンティア・パークにて。ニコンD4、AF-S 500mm f4 II、1/4000、f9、ISO1000

とにかく頑丈で、酷使にも耐える作り

 言わずもがな、昔からニコンの最上級機種は耐久性に関しては定評があり、D4もご多分に漏れず、実に頑丈にできている。握った瞬間からボディ剛性の高さは明らかだし、バッテリーカバーやメモリースロットカバーなどもかっちりしている。またボタン等、可動部分のシーリングも厳重で、砂ぼこりが舞うアフリカの現場で酷使しても壊れないだろうという安心感がある。

 私はカメラの扱いがとても荒く、砂漠の砂の上に直に置いたり、直射日光に長時間さらしたりすることも珍しくない。また、今回のリヒタースフェルトでの撮影のように、肩から下げたまま岩山を登ることもしばしばだし、車の助手席に置いたまま悪路を走行するので、カメラを落とす、ぶつけるは日常茶飯事だ。当然メインで使うボディにはかなりの耐久性/耐衝撃性が必要となるわけで、この点D4は実に頼もしい。

とにかくすべてが高速・高性能

 やはり最新フラッグシップ機だけあって、とにかくすべてが速い。例えば、AFの合焦速度はD700とは雲泥の差である(比較すること自体が間違いかも知れないが)。AF ONボタンを押してから、AFが起動、合焦するまで時間がとにかく短いのだ。また、D3sと比べても確実に速度が上がっているように思う(もっとも、私はD3sを機材レンタル以外で使ったことがなく、フィールドでの比較テストを行ったわけではないことをお断りしておく)。

 いずれにしても、被写体をファインダー内に捕らえてから、シャッターを切るまでの時間は短ければ短いほど理想的だ。フォーカシングにもたつくと、あっという間に機を逃してしまうからだ。

photo スプリングボックを追い、疾走するチーター。秒間10コマの威力が発揮された場面。南アフリカ、カラハリ・トランスフロンティア・パークにて。ニコンD44、AF-S 500mm f4、1/3200、f8、ISO1600

 合焦スピードと同じくらい重要なのが連射速度だ。D4は1秒間に最高11コマの連写速度を誇る。AF-Cモード(動体予測モード)を使っても秒間10コマの高速撮影が可能だ。飛んでいる鳥や、走る動物などを撮影する際、その被写体が一番綺麗に見える瞬間、あるいは格好よく見える瞬間をより高い確率で捕らえてゆくのに、このスピードはとてもありがたい。

 もちろん、いくら1秒間に10コマ撮影できたとしても、すぐにバッファが一杯になってしまうのでは意味がないが、この点、D4は書き込み速度の遅いカードを使っても5秒以上シャッターを切り続けられる。これは驚異的な数字だ。高速で獲物を追うチーターの一連の動きを追う時などに、これは非常に重要な要素となる。

 いくら同じ場所に何度通っても、同じ瞬間は二度とやってはこない。そんな貴重な機会を逃さず写真として残すために我々は活動を続けている。D4はまさしくそんな願いを実現してくれるカメラだが、それだけに撮影者の技量がより試されるようになったのではと、そんなことを感じた次第だ。

 次回はD4のその他の性能、そして個人的に感じた問題点などについて書いてみようと思う。

著者プロフィール

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山形豪(やまがた ごう) 1974年、群馬県生まれ。少年時代を中米グアテマラ、西アフリカのブルキナファソ、トーゴで過ごす。国際基督教大学高校を卒業後、東アフリカのタンザニアに渡り自然写真を撮り始める。イギリス、イーストアングリア大学開発学部卒業。帰国後、フリーの写真家となる。以来、南部アフリカやインドで野生動物、風景、人物など多彩な被写体を追い続けながら、サファリツアーの撮影ガイドとしても活動している。オフィシャルサイトはGoYamagata.comこちら

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