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「女子が欲しいデジカメがなかった」――“メカっぽさ”を徹底排除した「JE10」ができるまで(1/2 ページ)

» 2012年09月26日 11時00分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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画像 まるでアクセサリーのようなコンセプトモック

 キラキラ光るゴールドチェーンの先に、ブラックシルバーの小さな箱。開くと、ZIPPOのような四角いゴールドのボディがでてくる。「女子がほしいデジカメがない」。そう感じたカシオ計算機の20代女性デザイナーが2年ほど前に作った、コンパクトデジカメのコンセプトモックだ。


画像 EXILIM EX-JE10のホワイトモデルを持つ前田さん

 そのアイデアは、今秋の新製品「EXILIM EX-JE10」として結実した。大きさはコンセプトモックの倍ほどになり、よりカメラっぽい見た目に変わったが、コスメケースのようなデザインや、ストラップとカバーを付けてアクセサリー感覚で身に着けられる機能は引き継いだ。

 「徹底的に女性がほしいカメラがあってもいいんんじゃないか」――企画推進を担当した、同社営業本部の前田麻友子さんは、そんな発想が出発点だったと話す。

「なんじゃこりゃ?」 斬新なコンセプトモデル

 デジカメメーカー各社が女性をターゲットにした商品を投入し始めたのは2000年代後半ごろ。07年には、デジタル一眼レフの女性ユーザー向け雑誌「女子カメラ」が創刊され、「カメラ女子」というワードも一般化していった。09年には「オリンパス PEN」(「OLYMPUS PEN E-P1」)が誕生。本格的な撮影に対応しながら軽量コンパクトなミラーレス一眼が、カメラ女子を引きつけた。

 だが、女性の誰もが一眼レフやミラーレス一眼に魅力を感じるわけではない。「カメラが趣味ではなく、5〜6万円もするミラーレス一眼には手が出ないが、旅行に行く時や結婚式はデジカメで撮りたいという人もいる」(前田さん)。そんな女性向けに同社は、得意のコンパクトデジカメで女性市場に切り込んできた。08年、「女子カメ」をキャッチフレーズに、「EXILIM EX-Z80」を発売して以来、女性が好むカラーバリエーションを用意したり、ボディに丸みを持たせたるなどした女性向け製品を投入してきた。

 「コンパクトデジカメのエントリーモデルはコモディティ化し、どこに行っても似たようなカメラが並んでいる。エントリーでも、差別化されたモデルが必要と考えていた」(前田さん)。新製品の「EX-JE10」は、これまでの女子カメからさらに飛躍。メカっぽさを徹底的に削り、アクセサリーに近い感覚のデザインに仕上げた。

 ベースとなったコンセプトモックを発案した女性デザイナーは、普段はユーザーインタフェース担当。カメラは畑違いだったが、だからこそ「自分がほしい、本当にかわいいカメラ」を自由な発想で提案できた。


画像画像

 「とても衝撃的だった」。前田さんはコンセプトモックを最初に見た感想を振り返る。「カメラを担当しているメンバーからすると、『なんじゃこりゃ?』みたいな。カメラを普段作っている人が発想するものではなかった」

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