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photokina2012を読み解く3つのキーワードphotokina 2012(3/4 ページ)

» 2012年10月01日 12時10分 公開
[小山安博,ITmedia]

「カメラならでは」でスマホ向き合う

 ソニーは、コンパクトデジカメの生きる道として「高級コンパクト」と「高倍率ズーム機」という2つのジャンルをあげる。スマートフォンのカメラは、手軽に撮影してすぐに送信できるというメリットがあるが、レンズ、撮像素子、画像処理エンジンなど、専門のカメラに及ばない部分は多い。

 iPhoneをはじめとして、スマートフォンカメラの画質も向上しているが、それを上回る画質を実現する高級コンパクトは、シェアも伸びている。高級コンパクトでは、レンズも高性能化しやすく、ソニーは1型センサー搭載の高級機「DSC-RX100」に続いて、フルサイズセンサーの「DSC-RX1」も用意し、画質を重視した高級コンパクトで差別化を図りたい考えだ。

photophoto ソニーの狙う高級コンパクトと高倍率ズーム(写真=左)、キヤノン「PowerShot SX50 HS」(写真=右)

 もう1つのジャンルが高倍率ズーム機で、今回のphotokinaでは、最大50倍ズーム機(キヤノン「PowerShot SX50HS」)まで登場したが、これは現在のスマートフォンでは実現できないレベルだ。ソニーでは同ジャンルを「トラベルカメラ」としているが、広角から望遠まで、1台でまかなえる使い勝手は、スマートフォンにはなかなか実現できない。スマートフォンのカメラを使って撮影していると、満足いく、または撮りたいシーンを撮影できない場合がある。こうしたニーズを狙っていく、という考え方だ。

「取り込み」でスマホへ向き合う

 もう1つの方向性を具現化した製品として挙げられるのがニコン「COOLPIX S800c」だ。OSにモバイルデバイス用のAndroidを搭載し、無線LANを内蔵することでスマートフォンと同様に写真を撮ってSNSなどに投稿できる。使い勝手は普通のスマートフォンと変わらない。

photophoto Androidを搭載したCOOLPIX S800c。OSとしてはAndroid 2.3と旧世代なのが残念だが、デジカメとして違和感なく利用できるように仕上がっている
photophoto ニコンのアピールする使い方。遠くの被写体を撮るのに、スマートフォンでは満足できない、というシーンなどを紹介

 ニコンは「デジカメはSNSやWebへのアクセス性を改善する必要がある」という考えに基づき、Androidを採用した。NIKKORレンズや高速な画像処理、強力な撮影機能を投入して高画質化を狙うとともに、高倍率ズームを搭載して遠くの被写体もカバーし、高速連写や高度な写真機能でチャンスを逃さない撮影を可能にしようとしている。

 同じようなスタンスだが、デジカメというよりもスマートフォンからスタートしているのがSamsung Electronicsの「GALAXY Camera」だ。photokina直前にドイツ・ベルリンで開催された家電見本市「IFA 2012」で発表されたカメラだが、IFAに比べて来場者の反応が異なるというのがphotokinaらしいところ。いずれにしてもAndroidスマートフォンとして世界で人気のGALAXYシリーズのカメラをさらに強化したモデルとして位置づけられる。

photophoto 「GALAXY Camera」。ちょっと大きめのサムスン製カメラというデザイン
photophoto 背面は全面液晶になっており、ちょっと大きさに驚く。OSは最新のAndroid 4.1を搭載しており、スマートフォンとしての完成度も高い

 GALAXY Cameraは携帯回線の利用にも対応し(COOLPIX S800cは無線LANのみ)、OSもAndroid 4.0を搭載することで、よりスマートフォンとしての使い勝手は高い。携帯回線による音声通話はできないが、スマートフォンのようにデータ通信を使い、撮影時はレンズが繰り出し、カメラのように使える点を強調している。Androidを搭載したことで、どちらもInstagramを始めとした豊富なAndroidアプリを利用できるのもメリットで、より幅広いシーンで使えてインターネット経由の画像共有もできる。

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