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軽快さを高めた明るいレンズの多機能コンパクト――キヤノン「PowerShot G15」(2/3 ページ)

» 2012年10月04日 21時06分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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快適な高速AF

 撮影モードダイヤルからは、オートやP/A/S/M、シーンセレクトのほか、静止画撮影前後の動画も記録する「ムービーダイジェスト」、HDR撮影やデジタルフィルターなどを含む「クリエイティブフィルター」などを選択できる。このHDRは三脚利用を前提としたダイナミックレンジ拡大モードで、いわゆる連写合成系の手持ち夜景撮影はシーンセレクトの中に用意されている。ただ、シーンセレクトの手持ち夜景は利用時にやや画角が狭くなる。

 AFはAF枠を移動できる「アクティブ」、顔を検出してピント合わせを行う「顔優先」。中央の被写体を追尾する「キャッチ」の3種類とG12と同一だが、ワイド端で約0.17秒(公称値)という高速合焦を実現している。試用してみると確かに高速で、AFについてストレスを覚えることはなかった。テレ端やデジタルズーム利用時にも、速度に関して極端な低下は見られなかった。

photo F2.8 1/250秒 ISO200 デジタルズーム併用

 撮像素子は1/1.7型 有効1210万画素 高感度型CMOSセンサー(G12は1/1.7型 有効1000万画素 高感度CCD)で、画像処理エンジンは「DiGiC 5」を搭載しており、ISO感度は常用範囲でも最高ISO12800(下限はISO80)となる。実際の撮影画像を見てみると、さすがにISO12800ではノイジーだが、ISOオートの上限値でもあるISO1600までは常用に耐える印象を受けた。ISO3200でも小判プリントやブレを抑えたいシーンで役立つだろう。さすがに1.5型の大型センサーを搭載するG1 Xには及ばないものの、このサイズの撮像素子から出力される事を考えれば相当に優秀と言える。

photophoto オートISO設定では上限値と上がり方が選択できる(写真=左)、マルチアスペクト対応だが、フル画素での記録は4:3のみ。1:1ならば約9M相当となる(写真=右)
photo F2.8 1/25秒 ISO1600

 光学5倍ズームレンズの焦点距離は35ミリ換算28〜140ミリ相当とG12に変わりないが、F値はG12のF2.8-F4.5から、F1.8-F2.8へと非常に明るくなった。特にテレ端でF2.8は、ありがたく感じた局面が多かった。JPEG撮影での発色は同社製品に共通するナチュラルなもので、特に、歴代Gシリーズの利用者からすれば何ら違和感を覚えることはないだろう。

 マルチアスペクト撮影にも対応しており、16:9/4:3/3:2/1:1/4:5の各アスペクト比を選択できる。ただし、フル画素記録となるのは4:3(4000×3000ピクセル)時のみで、それ以外のアスペクト比では縦もしくは横のピクセルがカットされる。RAW撮影にも対応するがカメラ内現像機能は持たないため、現像に際しては付属ソフト「Digital Photo Professional」などが必要となる。

480,動画はもちろんフルハイビジョン撮影対応で、1920×1080ピクセル時には24fpsとなる

 本製品と同日、同様の1/1.7型 有効1210万画素 高感度型CMOSセンサーを搭載した「PowerShot S110」が発売される。いずれもマニュアル撮影を得意とするユーザーインタフェースを搭載するという意味では共通のキャラクターを持つものの、S110が無線LANによる撮影後の楽しみを付加したのに対し、G15は28〜140ミリ相当/F1.8-F2.8というテレ端まで非常に明るいレンズを搭載してきたことが決定的に異なる(S110は24〜120ミリ相当/F2.0-F5.9)。明るいレンズやダイヤルによる直感的な操作を備えるG15は、よりストイックに「カメラ」を求める層に向けた製品といえる。

 最後に同じGシリーズであるG1 Xとの違いについて。同じシリーズ名を関するだけあって、ダイヤルを主とした操作性や質実剛健さを感じさせるスタイルなど共通点も多いが、決定的に撮像素子のサイズが違う。G1 Xが一眼レフ的な存在に近い画質追求機であるとすれば、G15は携帯性と画質、それに操作性という複数要素のハイレベルな融合を目指したPowerShot Gの伝統を受け継ぐ存在だ。そしてそれは成功していると思う。歴代Gシリーズが好きな人ならばぜひとも手に取ってみて欲しい。

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