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タッチパネルとWi-Fiで新提案――キヤノン「PowerShot S110」(2/3 ページ)

» 2012年10月11日 11時00分 公開
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Wi-Fi機能は便利に使えるか

photo Wi-Fi接続時には本体上部のLEDが青く光る

 Wi-Fi機能で使用できるのは、キヤノン製のWi-Fi対応カメラへの画像送信、スマートフォンへの画像送信、パソコンへの画像送信、そしてキヤノンのオンラインフォトサービス「CANON iMAGE GATEWAY」への画像アップロードとCANON iMAGE GATEWAYを通じたSNSやメールへの通知共有機能だ。

 身近な機能はスマートフォンへの画像送信だろう。iPhoneやAndroid端末であれば、S110で撮った画像を専用アプリ「Canon CameraWindow」を使用して端末へ保存できる。Wi-Fi接続には、S110がWi-Fiのアクセスポイントとなりそこへスマートフォンを接続するか、ルータ経由かのいずれかとなる。スマートフォン側でS110のSSIDを確認し暗号化キーを入力してWi-Fi接続するが、一度接続してしまえば設定はスマートフォン側に保存されるため、2回目以降の接続手順は少しだけシンプルになる。

photophoto 再生画面で方向キーの上を押すとWi-Fi関連のアイコンが表示される(写真=左)。S110をWi-Fiアクセスポイントとして使用する場合は、スマートフォンで表示のSSIDを探して暗号化キーを入力する(写真=右)

 スマートフォンアプリ「CameraWindow」でできることは画像の閲覧と保存、SNSやメールでの共有だ。転送される画像サイズはS110で指定したS/M2/リサイズなしの3種類で、スマートフォンを画像のバックアップ的に使うのであればリサイズなし、メールやブログ、SNSに共有するのであればSやM2サイズにしておくと転送時間が短縮できる。

 閲覧や転送前に直接、共有メニューが選べるなど、S110がスマートフォンの記録メディアになったかのような使い勝手の良さがある反面、ダイレクト接続時だと毎回必要なWi-Fi接続設定とCameraWindowの起動時間(決して遅い訳ではないが、起動するまで一瞬、間が空く)はマイナスに感じた。

photophoto CameraWindowの画面(写真=左)。カメラ内の画像は一覧表示の他、1枚1枚見ることもできる(写真=右)

 PCへのWi-Fi画像転送は、ケーブルレスで行えるため自宅はもちろん、外出先でもすぐに画像を取り込めて便利な機能だ。ただし、OSやセキュリティソフトの設定によっては、簡単に接続できないことがある。取扱説明書にもWindows 7のファイアウォールの設定などが記載されており、こうした設定に慣れていないユーザには少しハードルが高いように思える。

 ファイアウォールやセキュリティソフトの設定をクリアし、デバイスドライバがインストールできれば、Wi-Fiアクセスポイントを経由してパソコンとS110が同じネットワークで繋がる。S110で撮影した画像は付属のPC用ソフト(「CameraWindow」)でパソコンへ転送できるほか、S110はドライブとして認識されるのでフォルダから直接、エクスプローラー経由にてファイルをコピーすることも可能だ。

photophoto 各種設定が完了すれば新しいデバイスとしてS110が認識される(写真=左)。CameraWindowでの転送以外に通常のファイル操作を行うことも可能だ(写真=右)

 ファイルの転送速度が気になったので、カメラ内のカードに記録されている約500MバイトのデータをPC(Windows 7 64bit Corei7-2600 メインメモリ16Gバイト)へ、Wi-Fi(ルーターNEC製「Aterm WR8370M」経由)、USB 2.0接続、USB 3.0接続でどれだけの違いがある転送してみた。使用したカードはTranscendのSDHCメモリーカード(Class10 8Gバイト)だ。

 Wi-Fi接続による転送時間は約4分22秒、USB 2.0接続によるカメラからの転送は約33秒、USB3.0接続のカードリーダーでは約23秒となった。結果を見ると、Wi-Fiによる転送時間の遅さが気になる。これはあくまでも筆者のテスト環境下でのものだが、USB経由に比べると転送速度は早くない。Wi-Fi転送は丸ごとバックアップ的な使い方ではなく、任意のファイルだけを転送するという使い方が実用的であるようだ。

 Wi-Fi機能のもうひとつの機能が、スマートフォンのGPS機能を利用した画像への位置情報付加だ。使い方は至ってシンプルで、CameraWindowの「位置情報のログ 開始」ボタンをタップして記録を開始し、カメラに転送する前にログ記録を終了させる。あとは、カメラにWi-Fiで接続して位置情報を送るだけで、該当する撮影画像ファイルのExifに位置情報が付加される仕組みとなっている。

 スマートフォンがGPSレシーバーとなるため、GPSの測位待ちをすることなく、カメラのバッテリーも撮影のみに使用できるというメリットがある。なお、本機能の搭載に伴い、S100では搭載されていた本体GPSは非搭載となってる。

photophoto CameraWindowから位置情報を転送するとS110の再生画面でも位置情報が確認できる(写真=左)。位置情報を認識するソフトにジオタグ付きファイルを読み込ませれば地図とのオーバーレイ表示も可能だ(写真=右)

 PowerShot S110は、S100に比べると劇的な変化とはいいにくいが、タッチパネルを採用することで既存シリーズ製品の利用時、時折感じていた「かゆいところ」に手が届くようになったという印象だ。タッチパネル及びWi-Fi機能に関しては、シリーズ初搭載ということもあって、ユーザー側の使いこなしについてまだまだ未知数の部分もあるものの、「こんなシーンですごく便利」というハマりところがどこなのかにも興味がある。

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