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小さくて取り回しに優れた快適フルサイズ一眼――ニコン「D600」(2/3 ページ)

» 2012年10月31日 10時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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心地よいレリーズ感と秒5.5コマのスムーズな連写

 そのほかの機能としては、一定の間隔で撮影した静止画をつなぎ、動画として記録する微速度撮影や、2コマの合成によって広階調の画像を生成するHDR機能、ミラーの動作音を抑える静音撮影モード、内蔵ストロボによる外部ストロボのワイヤレス制御、カメラ内RAW現像、動画編集などを搭載する。

 試用して個人的に気に入ったのは、レリーズ時の音と振動がD800よりも小さく抑えられていること。D600のシャッター音は低めで控えめながら小気味がよく、レリーズした瞬間のレスポンスも素早い。

 連写は、最高で約5.5コマ/秒に対応。D800の4コマ/秒(FXフォーマット時)に比べて体感的にかなりスピーディに感じられ、控えめのシャッター音と相まって、連写の感覚は心地よい。RAWで16〜27コマ、JPEG/FINEで57〜100コマという連続撮影可能コマ数も実用十分なレベルといえる。

 逆に気になった点は、露出補正を設定した際、ボディ天面の表示パネルに、(露出補正ボタンを押したとき以外は)補正値が表示されないこと。D7000などの他のモデルでも同じ仕様なので、慣れれば問題ないとは思うが、せっかく天面に表示パネルを備えるのだから、補正を示すマークだけでなく補正値も常時表示して欲しかった。

 また、ボディ背面のISOボタンと画質モードボタンの並び順が、D7000やD90の配置とは上下が入れ替わっている点も当初は戸惑った。ただ、新しい機種になるごとに、ボタン配置やメニューの構成が少しずつ変化していくのは仕方ないとも思う。

photophoto 撮影メニューでは、ヴィネットコントロールやノイズ低減、多重露出、インターバルタイマーなどを設定できる(写真=左)、オートホワイトバランスは、標準的な「AUTO1」と電球色を残した「AUTO2」を選べる(写真=右)
photophoto セットアップメニューでは、オプションのGPSアクセサリーの設定やレンズごとのAF微調整などが行える(写真=左)、画像編集メニューでは、魚眼効果や塗り絵、ミニチュア効果などのエフェクトの適用や、カメラ内RAW現像ができる(写真=右)

フルサイズセンサーによる高解像と高感度が魅力

 撮像素子には、35ミリフルサイズの有効2426万画素CMOSセンサーを搭載する。画像処理エンジンは、D4やD800と同一の「EXPEED 3」で、感度はISO50〜25600に対応。高感度の画質は優秀で、ISO1600くらいまではざらつきが目立たない。解像感も非常に高く、遠景のディテールまでをきっちりと再現できる。

 D800と比べた場合、スペック上の画素数には大きな差があるが、一般的な用途ではD600の2426万画素で不足を感じることはないだろう。画像の扱いやすさという点では、むしろ2426万画素のほうが有利だ。D600は、高画質と使い勝手のバランスの取れた製品といっていい。

photo 撮影モード:絞り優先オート 絞り:F8 シャッター速度:1/800秒 感度:ISO100 WB:晴天 レンズ:「AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」

 D7000などAPS-Cセンサーを採用した製品と比べた場合は、やはり精細感や高感度の面でワンランク上の画質がD600の大きな魅力になる。その上、フルサイズならではのボケの表現力も楽しめる。

 ただし、D600はニコンFXフォーマット(35ミリフルサイズセンサー)のモデルでは最小・最軽量とはいっても、DXフォーマット(APS-Cセンサー)のモデルよりは大きくて重く、かさばることは覚悟しなければならない。ボディだけを比較すると大差なくても、交換レンズを合わせると、当然ながら全体の体積や重量はそれなりにアップする。購入の際は、自分にとって必要な交換レンズ一式のサイズと重さも含めて検討するといいだろう。

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photophoto ISO感度別の作例。左上から順にISO50/100/200/400/800/1600/3200/6400/12800/25600で撮影。撮影モード:絞り優先オート 絞り:F16 WB:オート レンズ:「AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」

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