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インタビュー
» 2012年11月05日 11時00分 公開

「写真すること」――写真家 瀬尾浩司と女優 今宿麻美の場合 (2/2)

[渡邊宏,ITmedia]
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大きさが写真の力を引き出す

――今宿さんは今回、1月に開催された関係者向けイベントで展示されたFUJIFILM X100を使ったセルフポートレートを出展されていますが、テーマの設定されていない写真展でこの作品を選んだ理由はなんでしょうか。また、今回はセルフポートレートですが、もし再度、写真展の機会があるとしたら何を撮りたいですか?

今宿さん: ポートレートを出展したのは、自分が自分を見つめるという行為が面白いかな、と。それに仕事柄、写真を撮られることは多いですが、セルフポートレートを撮る機会はめったにないですからね。(大きくプリントされたセルフポートレートを見て)まずは驚きが先立ちました。大きくすることでまた違ったように見えました。

photo 1月に開催された関係者向けイベント「X-Night」にて展示された、今宿さんのセルフポートレート。横幅1メートルにも及ぶ大判プリントとなっている

瀬尾さん: 大きくすると“違う”んですよね。あのサイズにまですると、写真の力みたいなモノが出てくる。

今宿さん: ロケなどで出かけるとよく写真を撮るのですが、気が付くと空の写真を多く撮っているんです。もし写真展に出すような機会があれば、風景を撮りたいです。でも「何を撮りたい」という気持ちより、「あ、いま」みたいな直感で撮ってます。

瀬尾さん: カメラを持って歩くと、持っていないときより力が増す感じがするんです。「いいな」と思った瞬間はその瞬間しかない訳ですし、その「いいな」という気付きが自分を成長させているように感じます。そうした力を増してくれるのが、FUJIFILM Xシリーズというカメラだと思います。

――カメラを手にするようになって、「感じる」機会は増えましたか?

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今宿さん: さっきの「空」じゃないですけれど、当たり前のことが毎日違うんだなって。当たり前のことが当たり前じゃないし、毎日忙しくしているとそうした変化があることを忘れがちになってしまうのですけれど、瞬間瞬間、一日一日を大事にしたいなということをカメラに教わりましたね。物事は目に映るものだけじゃないですし、見過ごしていることもあるかもしれない。いろいろな発見がありますね。

 今度の写真展で展示している作品はX100で撮影したものですが、実はX10も私物で持っています。X10はズームの動作が面白いですよね。パノラマも撮っていて面白いです。

写真すること、残すこと

――今回の写真展のもうひとつの特徴として、「言葉」があります。今宿さんの出展作品には「撮られる私と撮る私」、瀬尾さんの作品には<TIME>とそれぞれ言葉が添えられています。そして写真展のタイトルも特定のモノ、被写体を指さない「写真すること」です。

瀬尾さん: 写真だけをストイックに見せるのもいいけれど、言葉があれば、また、何かを伝えることができます。そうした何かを大切にしたいのです。今回集まってくれたメンバーとその写真では、言葉があった方が面白いと思ったのです。伝えたかったのは、「写真を撮ること」「撮り続けること」の面白さなんです。

――デジタルカメラの普及で写真を撮ることはとても身近になりましたが、プリントしたり、みんなで見るといった広がりはあまり生まれていないように思いますが……

瀬尾さん: 日本は「写真」を文化のひとつとして、まだ上手に組み込めていないような感じがします。いまの日本でシャッターを押したことがない人はいない、そんな国は世界を見渡してもないと思うのですが、東京都写真美術館はその存在すら知らない人がいます。「写真」に対して親しむ環境が日本にはまだできていないのかな、という気がします。普及しているのに文化のひとつとして組み込まれていない――、そうした写真のギャップを解消していくのが、僕たちの世代の役目なのかもしれないですね。

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 例えば新しい家に引っ越したとします。そのリビングに写真を飾りたいな、そう思う人がたくさんいるような文化レベルになってくると、写真を取り巻く環境も変わってくるのではないでしょうか。写真を撮って、残して、飾っておく――それが自然なことになれば、さっきのギャップも埋まっていくのではないでしょうか。

 今回の写真展にしても、写真が好きな人だけではなく、参加してくれた人のファンであってもいいんです、なにかしらの興味からでも、さまざまな方に写真に触れてもらいたい、という気持ちがあります。

 あと、デジタル主体となった写真の今後を占う意味も込めて、「大きくプリントできること」が大きな意味を持つように感じています。写真がPCやネットで完結するのではなく、展示会という形で結実したことは僕としてはとてもうれしいことなんです。撮った写真を大きくプリントして、飾ることが素敵なこと――今回参加してくれた若い仲間たちがそう感じてくれて、「写真すること」から、「残すこと」「楽しむこと」まで広まっていけばいいことだなと思います。

Xシリーズで綴る写真展「写真すること」

それぞれ違うジャンルで活躍する18人のアーティストが、富士フイルムのXシリーズ デジタルカメラを使い撮りおろした作品を展示。一人一人がそれぞれ出会った、風景/人物/日常などを言葉と写真で綴っていて、それぞれの作品から、「写真すること」の素晴らしさやカメラと日常を過ごすことの楽しさを感じる写真展。開催期間は11月9日(金)〜11月15日(木)、会場は六本木 富士フイルムフォトサロン スペース1。開館時間は10時〜19時(最終日は16時まで)。入場は無料。http://www.fujifilm.co.jp/photosalon/tokyo/s1/12110901.html


今宿 麻美 いまじゅくあさみ(モデル/女優)

 1996年、ananの出演でモデルデビュー。 カリスマモデルとして多くのファッション誌で活躍。 2002年には初めての写真集「A.IMAJUKU」を発表。2007年には自叙伝「ストリートモデル」を、2010年には自らもプロデュースに関わったフォトエッセイ「HEART BALANCE」 を発表する。 女優としては2001年の「blue」を皮切りに、「ナイン・ソウルズ」、「空中庭園」など映画を中心に活躍。 2006年の「LOVE MY LIFE」では主演を努めた。また2012年10月からJ-WAVE「HAPPINESS」(毎週日曜日9:00〜13:00生放送)のナビゲーターを務め、新たなジャンルにも活躍の場を広げている。 http://spacecraft.co.jp/imajuku_asami/


瀬尾浩司 せおひろし(写真家)

 1968年、広島生まれ。1994年から写真家、植田正治氏に師事。2000年からはフリーの写真家として、音楽CDや写真集(福山雅治、つるの剛士、佐藤健、三浦春馬、AKB48など)、ファッション(TAKEO KIKUCHIやユナイテッドアローズ、BEAMS、SOPHNET、Johnbull、40ct&525、JINS眼鏡など)、雑誌、広告、TV、写真展などのさまざまな分野で作品を発表し続けている。http://www.seohiroshi.com/


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