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コンパクトデジカメで楽しむ秋の紅葉撮影テクニック(1/2 ページ)

» 2012年11月13日 11時25分 公開
[永山昌克,ITmedia]

 色鮮やかで美しい紅葉に出会い、夢中になってカメラを向けても、撮った写真を見てみると意外とつまらない。そんな経験はないでしょうか。どんなに高性能なカメラを使っても、ただ何となく写しただけでは見栄えのする紅葉写真にはなりません。紅葉を見て感動したり、驚いたりする気持ちは大切ですが、それとは別に、少し冷めた目で被写体を観察することが写真を撮る際には欠かせません。

photo 絞り優先AE(F4 1/1000秒) 露出補正:-0.7 ISO100 WB:晴天

 例えば、太陽の光がどこから当たっているのか、どの角度から眺めると紅葉が美しく映えるか、どこからどこまでを画面として切り取ると面白いか、といった視点を持つことです。また、紅葉を引き立たせるための脇役的な被写体を探すことを心がければ、写真にバリエーションを与えることができます。

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 機材については、紅葉撮影用に絶対に必要なものは特にありません。カメラは、一眼レフでも、ミラーレスでも、コンパクトデジカメでも構いません。レンズ交換式のほうが表現の自由度が高いといえますが、たくさんのレンズを持ちすぎると、重さが負担になって行動範囲が狭くなることがあるので要注意です。

 今回はポケットに入れて気軽に持ち歩けるコンパクトデジカメとして、オリンパス「STYLUS XZ-2」(レビュー)を用意しました。ワイド側だけでなくテレ側も明るい大口径の光学4倍ズームを搭載し、最短1センチのマクロ撮影や、リング回転によるマニュアルフォーカス、液晶のチルト可動などに対応した高機能機です。あえてこの1台のみを使って、フットワークを生かしながら紅葉撮影を楽しんでみました。

太陽の「光」を意識しながら撮る

 撮影場所に着いたらまずチェックしたいのは、太陽の位置です。これから撮ろうとする紅葉に対して、太陽がどの角度から当たっているかを意識しながら、撮影のポジションとアングルを決めていきましょう。特に晴天の日は、太陽の光を見極めることが写真の見栄えを左右する重要なポイントになります。

 下の写真は、撮影者が太陽を背にして、被写体に対して正面から光が当たった「順光」の状態でとらえたものです。順光では、紅葉の赤や黄色がくっきりと再現され、空の青さも際立ちます。素直でストレートな写真になりやすい光線状態といえます。

photo 絞り優先AE(F4 1/640秒) 露出補正:-0.3 ISO100 WB:晴天

 ただし、順光では画面全体に均一に光が当たるため、写真が平坦な印象になることがあります。奥行きのある表現を狙うなら、被写体の横から太陽が当たる「サイド光」や、被写体の後ろから太陽が当たる「逆光」での撮影がオススメです。下の写真は、横からの強い日差しによって中央の木の半分は影になり、それによって立体的な描写になりました。

photo 絞り優先AE(F5.6 1/80秒) 露出補正:-1.7 ISO100 WB:晴天

 次の2枚は逆光でとらえたもの。どちらもマイナスの露出補正を加えた上で、さらにコントラストをプラスに設定し、あえて暗いローキーなトーンで撮影しています。こうした逆光の条件では、光によって葉が輝き、透き通るようなクリアな色を表現できます。ドラマチックで印象の強いイメージを求めるなら、逆光が狙い目といえます。

photo 絞り優先AE(F4 1/2000秒) 露出補正:-1 ISO100 WB:晴天
photo 絞り優先AE(F4 1/640秒) 露出補正:-0.7 ISO200 WB:晴天

 一方で曇天や雨天の場合は、太陽が隠れて光が拡散しているので、あまり順光や逆光を意識する必要はありません。ソフトな光線によって、しっとりとした雰囲気の写真を撮ることができます。注意点は、画面の中にできるだけ空を入れないこと。曇天や雨天の空は真っ白く写り、あまり見栄えがいいとはいえないからです。

photo 絞り優先AE(F5.6 1/125秒) 露出補正:-1.3 ISO100 WB:晴天
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