カシオ計算機の“EXILIM”といえば、ブランド初代機「EX-S1」(2002年6月)から10年を迎えた、デジタルカメラの老舗ブランド。一貫して“デジタルのカメラ”であることにこだわり続けており、現在でも“サクサク感”“軽快さ”を前面に出した「EX-ZR200」や「EX-ZR300」がロングヒットを続けている。
そのカシオ計算機の最新品、EXILIMのシリーズフラグシップとして用意された「EX-ZR1000」を試用した。レンズやセンサーなど基本的なコンポーネントに関してはEX-ZR200/300に共通する部分も多いが、いろいろとギミックも多く、楽しめるカメラだ。
外観で目を引くのが、鏡胴に設けられたファンクションリングと背面のチルト式液晶。まずは前者から解説していこう。最近、高級コンパクトクラスでは採用例の多いこのファンクションリングは、撮影モードに応じた各種パラメータ調整に用い、どのパラメータを割り当てるかは背面の「RING」ボタンから呼び出し、決定できる。
割り当てられている機能は、撮影モードが絞り優先モードならば、絞り、露出補正、ISO感度、ホワイトバランス、ステップズーム、マニュアルフォーカスとなっており、撮影モードダイヤルがフルオートの撮影モード「プレミアムおまかせオートPRO」でもファンクションリングは有効。この状態ではステップズーム、露出補正、ホワイトバランス、メイクアップレベルのいずれかをファンクションリングから操作できる。
背面のホイールにも任意のパラメータを割り振ることも可能なので(割り当てないこともできる)、「ファンクションリングにはステップズーム、背面ホイールには露出補正」など、それぞれに利用頻度の高い機能を割り当てるといいだろう。ただ、絞りはNDフィルターによる制御なので、2段階しか変化しない(レンズがワイド端ならばF3.0とF7.9)ので、絞りをファンクションリングに割り当てるのはちょっともったいないかもしれない。
撮影モードがどの状態であっても背面「SET」ボタンを押せば、液晶画面にドライブモードやISO感度、ホワイトバランス、測光モードなどの撮影設定項目がオーバーレイ表示で呼び出される。こちらとシャッターボタン一体のズームレバーを併用すれば、ファンクションリングを使わずに本製品の各種設定が行える。ファンクションリングを使わないというは極端な例えだが、撮影設定については、ファンクションリング経由でも、メニュー画面経由でも設定できるので、基本的には利用頻度の高い設定はファンクションリングから、そのほかはメニュー画面から設定し、撮影していく事になるだろう。
電源投入から起動、そして各種操作に至るまで動作は軽快。液晶画面に撮影項目をオーバーレイ表示させながらパラメータを変化させた際の画面追従も十分な速度で、EX-ZR200/300同様の快適さが保たれている。ちなみに「MENU」を押すとファイルサイズや操作音などを設定する画面に遷移するが、その際にもライブビューで表示がなされる。写りに直接関係しない項目を設定なので、ライブビューの意味がないといえばないのだが、本製品のうたう「タイムラグゼロ」の思想がかいま見えて面白い。
3型/46万画素の背面液晶は、自分撮り可能な180度まで跳ね上げることのできるチルト式だが、跳ね上げるためには一度手前に引く構造となっており、少しスムーズさに欠ける印象を受ける。チルト式自体はエントリークラスのミラーレスカメラでも採用が見られる機構だが、ユニークなのは動体を検知して自動的にシャッターを切るモーションシャッターを備えることしていることだ。
モーションシャッターは標準設定時、液晶を180度跳ね上げると自動的に起動するようになっており、シャッターボタンを押して撮影開始とした後、画面端に動くものがあると、2秒のセルフタイマーが動いて自動的に撮影する。1枚を撮影して終了ではなく、基本的には動きを関知すれば、その都度、撮影が行われる。
モーションシャッターは昨年春の「EX-TR100」にも採用されていたが、TR100は回転2軸というユニークなスタイルもあり国内では大きなヒットとなることなく、後継モデルも1モデルしか投入されなかったのだが(しかも後継モデルは発売前に販売終了)、モーションシャッターはチルト液晶搭載の本モデルにて復活した格好だ。
さてのこのモーションシャッター、カメラをおいておけば自動的にシャッターが切れる、というのは実際に体験してみると予想以上に楽しいもので、周囲からも注目される。集合写真や自分撮りのほか、パーティーの会場などでも活躍する機能だろう。
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