付加的な機能としては、フィルム交換の感覚で発色傾向を切り替える「フィルムシミュレーションモード」や、100〜400%の範囲で階調の再現域を広げる「ダイナミックレンジ設定」、カメラを動かしながら撮影するだけで自動的にパノラマ画像を作成できる「ぐるっとパノラマ」、電子水準器、多重露出撮影、カメラ内RAW現像などを搭載する。連写は最高約6コマ/秒に、動画は1920×1080ピクセルのフルHD記録にそれぞれ対応する。
AFには、ミラーレスカメラで一般的なコントラスト検出方式を採用する。AFスピードは超高速とはいえないが、スナップなどの一般用途では大きなストレスを感じないレベル。AFに作動中にライブビュー表示に遅延が生じるのは少々気になる。また、AF測距点を移動するために、AFボタンを押してから十字キーを押す操作はやや手間取る。
個人的に気に入ったのは、マニュアルフォーカスの機能と操作性だ。ボディ前面のフォーカスモード切換レバーを「M」の位置にセットすると、フォーカスリングの回転によるマニュアルフォーカスが可能になる。リングの回転には適度なトルクがあり、感触は心地よい。
マニュアルフォーカスの選択中にコマンドダイヤルの中央を押すと、ライブビュー表示が部分の拡大表示となり、厳密なピント合わせがスムーズに行える。「AE-L/AF-L」ボタンを押して、一時的にAFを作動させることも可能だ。また、ライブビューの下部に撮影距離を示すインジケーターが表示され、選択中の絞り値に応じた被写界深度の範囲が確認できる点も便利だ。
撮像素子には、X-Pro1と同じく独自のカラーフィルター配列によってローパスフィルターレスを実現した「X-Trans CMOSセンサー」を搭載する。センサーサイズはAPS-C相当で、有効画素数は1630万画素となる。画像処理エンジンについても、引き続き「EXRプロセッサーPro」を採用し、感度はISO100〜25600に対応する。
画像の精細感は非常に高く、遠景のディテールまでをシャープに再現可能だ。高感度の性能も優秀で、ISO1600くらいまではほとんどノイズが目立たない。シーンによってはISO3200や6400でも実用的といえる。
トータルとしては、フィルムカメラ風のデザインをX-Pro1から継承しながら、よりコンパクトで取り回しに優れたカメラに仕上がっている。ハイブリッドマルチビューファインダーがなくなったことで、ギミック的な面白さは薄れてしまったが、ボタンやダイヤルによるアナログ感覚の操作性は健在だ。パソコンやスマホといった電子機器の感覚ではなく、カメラという光学機器を操作している実感が味わえることは、Xシリーズ共通の魅力といっていい。操作をカスタマイズする自由度があまり高くないのが惜しい。
画質の精細感やレンズの光学性能にこだわって、風景撮影やスナップ撮影を楽しみたい人にお勧めしたい。ほかのミラーレスカメラに比べて交換レンズの種類はまだ豊富とはいえないが、「XF18mmF2 R」「XF35mmF1.4 R」「XF60mmF2.4 R Macro」など、開放F値が明るく、高品位なデザインのレンズがラインアップされている。
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