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ステップアップはボディとレンズで――キヤノンに聞く「フルサイズ」(後編)(1/2 ページ)

» 2012年12月18日 11時00分 公開
[ITmedia]
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 2012年3月に「EOS 5D Mark III」し、6月にはプロ仕様の「EOS-1D X」、そして11月30日には「EOS 6D」を登場させ35ミリフルサイズ機のラインアップを強化したキヤノン。最後発のEOS 6Dは「小型軽量なフルサイズ」へのニーズを満たすために生まれたが、EF-Sレンズは利用できず、EOS 60DやKissシリーズからの移行には障壁となる。

 キヤノンの考えるデジタル一眼ラインアップの展開、シリーズ製品の特徴について、前編に引き続き、商品企画担当の阿部歩氏(キヤノンマーケティングジャパン カメラマーケティング部 チーフ)に話を聞く。

レンズにもステップアップに見合う魅力ある製品を

━━6DでEF-Sレンズを利用することはできません。60DやKissシリーズからのステップアップを考える際、障壁になってしまうと思いますが、この点についてはどうお考えなのでしょうか。

阿部氏: カメラはレンズから光を受ける道具でもあるので、「ステップアップ」はカメラとレンズの双方でして頂きたいと思っています。エントリー機の「EOS Kiss」には「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS II」が付属しますが、これを他のレンズに変えると絵はがらりと変わります。

 カメラといえばボディに目がいきがちで、お客様にもその傾向はあります。ですが、高性能なレンズをお試しいただき、もっと写真を良いものに、もっと写真を楽しんで頂きたいと考えています。

photo 新レンズ「EF24-70mm F4L IS USM」はいわゆる標準ズームレンズながら、マクロ撮影機能も搭載している

 今回は6Dに合わせて「EF24-70mm F4L IS USM」というレンズを投入しています。6Dは軽量コンパクトがウリですので、こちらのレンズは「標準域でコンパクトに軽量に」を目標に全長93ミリ、約600グラムと小型軽量に仕上げてあります。フルサイズ用の標準ズームレンズとして小型軽量ですが、光学的なところも妥協せずに作り上げたLレンズ(同社高級レンズシリーズ)です。

 先ほど「撮影領域の拡大」という言葉を出しました。そのひとつの具体例として、このレンズは標準ズームレンズながらマクロ撮影機能を搭載しています。手ブレ補正を備えた標準ズームレンズなので軽快なスナップ撮影を楽しめますし、マクロ機能を利用すれば0.7倍という本格的なマクロ撮影も楽しめます。いろいろ楽しめる「面白い」レンズができたと思っています。

 これだと「引いてもよし、寄せてもよし」なので、そういったところに魅力を感じてくれるといいなと思います。あと、女性の方にも持っていただけるとうれしいなという思いが裏にはありますね。街中をスナップ撮影したり、おしゃれなカフェでケーキなどを寄って撮るとか。

 キヤノンはこれからも魅力的なレンズを取りそろえていきたいですし、そのレンズが写真を撮りたいというモチベーションにつながればうれしいですね。

EOSシリーズ、選択のポイントは

━━せっかく目の前にEOSシリーズが並んでいるので、ユーザーが選択する上での参考のためにもそれぞれのカメラの特徴を聞かせていただいてもよろしいでしょうか。

photo 5D Mark III、6D、7D、60Dと並ぶEOSシリーズ

阿部氏: 「EOS 60D」は、かんたんにキレイな写真が撮れるカメラ。エントリーの方が使っていただいても質感的にも写真的にも満足して頂ける製品になっています。バリアングル液晶も搭載しているというのもありますし、クリエイティブフィルターも搭載しているので、写真を楽しむということからエントリーの方に提案できる、ミドルクラスカメラの入り口といったところですね。

 「EOS 7D」はみなさんイメージしやすいと思うのですが、“機動性”ですね。AF性能、連写性能、APS-Cによる1.6倍で望遠に強いので、60DやKissよりは動きのある被写体――お子さんの運動会だったり、野鳥や飛行機、それ鉄道など――を撮りたいといった時に選んでいただきたいカメラになっています。

 「EOS 5D Mark III」はフィルムで写真を楽しまれた方にも、手にしてほしいカメラです。フルサイズなので当然、フィルムと同じ感覚でレンズを選択頂けますし、多重露光などフィルムでの楽しみをそのままデジタルでも楽しめます。視野率100%の光学ファインダー、秒間6コマの連写速度、さらにプラスして高感度にも強く、多様な撮影に対応できる万能性の高いカメラといえます。ですので、いろいろな方に使ってもらえるカメラだと思っています。動画性能も高いので、映像業界の方にとっても使いやすいカメラではないでしょうか。

 そして「EOS 6D」ですけれど、“持ち運びしやすいフルサイズ”というのが一番の使命なのかなと思っています。小さくしたい、軽くしたい、といのうが念頭にありましたのでバリアングル液晶もつけず、内蔵ストロボもあえて非搭載としました。スペック的に見れば「EOS 5D Mark II」の焼き直しに見えるかもしれませんが、完全な新設計になります。小さくするということは、一個一個の部品すべてを見直さなくてはいけないので、中のモーターなども小さくするために新しく設計しています。

 ファインダーも注目して頂きたい部分です。視野率100%ではありませんが(約97%)、新しいマットを入れたのでピントの山が見やすく、ファインダーをのぞいてMFしやすいようにしてあります。ファインダーをのぞきながら撮る楽しみを受け継ぎながら、小型軽量化を進めたことで、携帯性のよいフルサイズカメラに仕上がりました。

 Wi-Fiを搭載しているので、スマートフォンなどからコントロールできる「EOS Remote」を使って、撮った写真をスマートフォンにコピーして、そこから写真を配布できる、GPS機能で写真に位置情報を付加できるなど、撮ったあともいろいろ楽しめるような自由度の高いカメラでもありますね。

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