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富士フイルム「X100S」「X20」が目指す高画質の秘密、回折現象を低減する「点像復元」とは2013 Internationa CES(2/2 ページ)

» 2013年01月10日 11時57分 公開
[小山安博,ITmedia]
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デザインは変えずに操作性を向上

 X20は光学ファインダーを改善し、ファインダー内に液晶を配置することで、光学ファインダーながら撮影情報やAFポイントの表示に対応。アイセンサーも備えることで、必要なときだけ動作するようにした。新たに「Q」(クイックメニュー)ボタンを設置し、撮影機能を素早く呼び出せるようにしたほか、メニュー画面をタブ表示にし、設定にアクセスしやすいようにしている。

 X100Sでは、光学ファインダーと電子ビューファインダー(EVF)を切り替えて使うハイブリッドビューファインダーを従来通り搭載。EVF側は236万画素と高精細になり、より使いやすく、見やすくなった。

photophotophoto X20では光学ファインダーの一部に液晶を配置することで、撮影情報の表示が可能に(写真=左、中)、X100SのハイブリッドビューファインダーはEVFが236万画素に高画素化した(写真=右)

 X100Sにて新搭載したのが「デジタルスプリットイメージ」によるMF機能。これは、MF時にセンサーの位相差AF画素を画像表示に利用。ピントが合っていない場合、帯状の画像が左右にずれた状態で並び、MFを合わせると次第にこのズレが一致していく、という仕組み。従来の「ボケ」を利用したMFに比べてより正確なピント合わせが可能になるという。特にボケ量が多い近接撮影に有効だという。

photophoto 位相差AF用画素を使ったデジタルスプリットイメージでMFを行える。位相差AFの原理を用い、左右にずれた画像を一致させる
photophoto デジタルスプリットイメージの利用例
photophoto 通常のMFよりもピントが合う割合が多かったという(写真=左)。なお、X100Sではフォーカスリングを改善し、よりMFがしやすくなっている(写真=右)

 同社ではXシリーズに対してインターネット調査を行い、ユーザーの声を集めた。当初想定していたユーザー層は、「カメラの撮影や操作がよく分かった人」だったが、X100では7割の人が「カメラや撮影方法がよく分からない人」だったという。女性比率も高く、購入理由として高品位なデザインで長く使えそう、といった声が多く、これを受けて、デザインは変更せず、ユーザーの要望に応じて操作性を改善する、という方針で開発した。

photophoto
photophoto Xシリーズの購入者へのインターネット調査の結果。デザイン性や日本製であることなどが大きな要因になっていた
photophoto X100S、X20ともにQボタン、タブ化などでの操作性改善が行われた

 そのためデザインの変更点はわずかだが、操作性を改善するような変更を行った。デザインを変更しなかったことにより、ケースなどの既存のアクセサリーがそのまま使えるというメリットもある。

photophoto X100Sのデザイン変更点。シャッタースピードダイヤルはA(オート)とマニュアルの間の幅をわずかに広げ、露出補正ダイヤルはわずかに固くして、誤操作を防止するようにした
photophoto X100のフィードバックから、X100Sでは操作しやすいような変更が加えられている。ボタンの入れ替えも行われた
photophoto X20の変更点。細かいデザインの変更が中心。なお、レンズは従来通り

 X100S、X20は、外観はほとんど変更がないものの、内部の進化を重視した製品で、さらなる高画質の追求で差別化を図っていきたい考えだ。

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