FUJIFILM X-E1の撮像素子には、「FUJIFILM X-Pro1」と同じ有効画素数1630万画素のX-Trans CMOSセンサーが搭載されている。このセンサーは光学ローパスフィルター非搭載ではあるものの、非同期性を高めたカラーフィルターを採用することでモアレや偽色の発生を抑えているという。
細部まで再現されているが、もっとメリハリのある写真を撮ってみたいと思ったらQメニューからフィルムシミュレーションで「V(ベルビア)」を選びシャープネス設定を調整するなどして、簡単に好みの絵作りもできる点がX-E1の良さでもある。この解像感の強弱を、被写体に応じて上手く使い分けてみたいと思った。
撮影した写真を見ていくと、解像感はあるもののなにかメリハリがないように感じた。写真には輝度としての解像感はあるものの色としての解像感がなく、全体的にくすんだように見えてしまうカ所がある。
上の例ではISO400なのでノイズリダクションが働いているのかと思い、RAWデータをAdobe Lightroomで開きカラーノイズリダクションを0にしてみると、葉のない木の幹と針葉樹など、緑の境界がわかるようになった。
この色再現に関しては、以前X-Pro1とMマウントアダプターを試用した際にも気になっており、X-Trans CMOSセンサーを搭載したカメラは、カラーノイズを除去して滑らかな画質となるような絵作りをしているのだろうかと思っていたのだ。
次は最低ISO感度であるISO200の写真をチェックしてみよう。
JPEGでは葉と建物の境界がもやっとしてあやふやだが、カラーノイズリダクションを0にしたRAWデータの方は境界が分かりやすくなったように思う。発色に関しては、フィルムシミュレーションやカラー設定で調整できるが、輝度の解像感はあるだけにこのメリハリのなさは少し残念に思う。
上に掲載したISO200やISO400の写真は、カラーノイズリダクションを0にしてもそれほどカラーノイズは出ていないのだが、なぜここまでカラーノイズリダクションをかける必要があるのだろうか。そんなことを考えつつ撮影した写真を確認していると、少し興味深い写真が見つかった。
太陽が厚い雲に隠れ、色彩がほとんどない状態で撮影したこの写真、木の枝の先まで細かい部分まで詳細に記録されており、さすがX-Trans CMOSセンサーといった画質だ。
この写真のRAWデータをカラーノイズリダクションを0にして現像してみると、画面中段の左側の植え込みの色解像度が増してメリハリがつき、画面上部の枝が1ピクセル単位でさらに解像するようなメリハリが出たが、同時に偽色が発生した。
そこで、カラーノイズリダクションをLightroom最大となる100に設定したところ偽色を押さえることができた。あくまで私見だが、X-E1のカラーノイズリダクションはセンサーノイズを消すのではなく、ローパスフィルターレスによる偽色の発生を抑えるために機能しているのではないかと思う。
とはいえ、これで結論とするには情報が少なすぎる。あくまでカメラ本体とLightroomでのRAW現像方法の違いによるものもあり、LightroomでのRAW現像時のノウハウとしてとらえた方が良いだろう。この推測をふまえたうえで、偽色の発生具合と色の解像感を見極めてカラーノイズリダクションを調整すると、満足の行く仕上がりにできた。ささやかだがRAW現像派の参考となれば幸いだ。
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