ポラリエをセットしたら動かさない。当たり前だけど、動かさない。三脚の場所を移動したらもう一度セッティングをやり直す(というか再度調整)。
で、最後にカメラをつける。カメラは北だろうが南だろうが撮りたい星空の方向に向ければOKだ。
とりあえず、液晶モニタが動くカメラが超お勧め。そうしないと首が疲れます。真上を撮るときなんかもう大変です。デジタル一眼レフならニコン「D5200」とかキヤノン「EOS 60D」「EOS Kiss X6i」とか。ミラーレスならOM-DとかDMC-G5とかNEX-5Rとか。
レンズは適当に。ポラリエ自体は広角系のレンズで星空を気軽に撮ろうというメカなので、広角系がいい。望遠だと微妙なセッティングのズレが問題になるので、望遠レンズでポイントをしぼって撮りたいときは……まあ、ちゃんとした赤道儀をつけた天体望遠鏡にカメラを装着するのがよいかと思う。
今回は18〜120ミリ相当の範囲で試してみた。
大事なのは、肉眼で星が見えていること。当たり前ですな。で、カメラをMFモードにし、一番明るい目立つ星にレンズを向けて、マニュアルフォーカスでピントを合わせる。一眼レフの場合でもライブビューで拡大表示しながら合わせるのが確実。無限遠にピントを合わせたら、もう触らない。
あとはカメラのセッティングをし、ポラリエを作動させればOKだ。ポラリエの説明書には、サンプルとしてISO400・F2.8で露光時間10分というセッティングがのっていた。
さてここからが大変。
上記のセッティングは空が十分に晴れ渡っていて、肉眼でも満天の星空を楽しめるような田舎での話。東京でこれをやると、「真っ白」になります。
都市圏では大気中のチリやら何やらに地上の光が反射して、空が明るいから、奇跡的に空が澄んだ日じゃないとこんなことになるのだ。特に今年の冬は湿度がけっこうあって風が少ないのが原因かなと思う。
普通に「晴れてるな」って日ではダメ。今回はだいたい「肉眼でオリオン座がなんとかみえるくらい」の状況で撮ってる。
かといって空に合わせて露出を落としてやるとなんか物足りない。
どうするか、ためしに最初に撮った「真っ白の夜空」の写真をレタッチしてみた。 レベル補正機能を使い、ハイライト部はそのままに、シャドウ部をぐーーっと落として背景の空だけを頑張って暗くしてみたのだ。そしたらかなり写っておりました。
かなり無理矢理感があるけど、肉眼では全然見えなかった星の光もかろうじて届いてはいるのだなあ。
で、以降の写真はどれも上の例ほどではないけど、レベル補正をかけてあります。東京の空は地平線に近いほど地上の光の影響を受けるので空も明るい。自宅(世田谷区)の場合北の空なんか明るすぎて北極星なんて見えたことない。でも無理矢理撮るのである。
レタッチしたらかろうじて北斗七星(右端)とカシオペア座(左上)が出て参りました。北極星は雲の中かな。
で、星空を見慣れてないとあれがどの星座か、なんてよく分からない。レタッチして星がたくさん出てきたらもう何がなんだか。そこでiPhoneの出番である。iPhone用の星座アプリを使えば、iPhoneを向けた方向の星の様子を教えてくれるのだ。これがめちゃありがたい。
そうすると中央下あたりにオリオン座があり、その左下に白く光ってるのがシリウスで、右上にひときわ明るいのが木星ってことがわかる。木星の右上には実はすばる(プレアデス星団)も写ってる。
ここまで18ミリ相当の広角で撮ってるので、レンズを交換しよう。120ミリ相当の中望遠で木星方向を撮ってみた。
ひときわ明るく光っているのが木星。その右の端、ちょっと上あたりに星が固まってるのが分かるけど、それがプレアデス星団(すばる)、左下にひとつ明るい星があって、あれがアルデバラン。
シリウスとかアルデバランとか、子供のころに宇宙SFを読んでて知った名前だなあ。懐かしい。
というわけで、セッティングから照明がわり、星座チェックまで、星空撮影にスマホがあるとめちゃ便利なのだ。
なお、レンズを望遠にすればするほどポラリエのセッティングが難しくなる。広角なら仰角や方角が多少アバウトでも影響は出ないが、望遠だとわずかな動きのずれで星が流れてしまうのだ。
トライアンドエラーで微調整するのは大変なので(何しろ1枚撮るのに時間がかかるのだ)、ISO感度を上げてシャッタースピードを少し速くするとかした方が現実的だ。
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