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第161回 山の雪景色と雪の街角の関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2013年02月14日 20時18分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

山の雪景色をスキー場で

 そんなわけで、唐突だけど冬の山です。

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 太陽は出てないし雪も降ってないし……まあ一番地味な天候だ。場所は新潟県の湯沢高原。スキー客じゃなくてもロープウエイで上まで上がれるのでそれなりに撮れるかなと思って、行ってみたのである。

 山からの風景って眺望が開けてる分、撮り方ひとつで雰囲気がぐっと変わるのが面白い。

 個人的には手前に雪原と木を1本入れるのが好き。単に向こうの山を写すだけよりも、その場の雰囲気や距離感を込められる。

 かといって木が主役になってもいけないので、端っこにいれて広角気味にして低い位置から手前の雪原もいれる。手前の雪原は白飛びしてもOKなので気にせず。

 雪がへばりついた木が入るだけですごく冬っぽくなるし、アクセントになる。手前の雪原がまた寂寥(せきりょう)感を醸し出してくれる。

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 雪の高原らしくなってきた。

 さらに同じ山に望遠で迫ってみた。望遠だと遠近感がなくなるのですごく迫力が出る。このアングルは山の上からじゃないと撮れないので(ふもとからだと、見上げる感じになっちゃうし)、お勧め。

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 でも今ひとつ山の高い感じが出ない。どうするか。縦位置にして両側をカットしてみるのだ。

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 そうすると前後に連なった、山頂のおいしいところだけを撮れるのでよけい山の急峻さが目立つ。こういうちょっとした工夫が面白い。すごいところから撮ったみたいだし。こうしてみると雪山って壮絶だよな。こういうところに登る人がいるってのもすごい。

 ちなみに雲が少し晴れてきたので、彩度を上げて無理矢理空を青くしてみました。

 同じ山でも手前に木を入れると遠近感が出てくる。

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 で、この写真は+0.3の露出補正。最初+1の補正で撮ってみたら、ちょいと白っぽくなりすぎたから。ここでは爽やかさより厳しさが欲しい感じなので、ちょっと落としたのである。

 雪景色はどのくらいの露出で撮るといいのか、ケースバイケースな上に、液晶モニタでの確認もしづらいので、この構図で撮る、と決めたら最初は細かく露出をチェックするのがいい。EVFだと確認しやすいのでEVF付ミラーレス一眼が便利かも。

 もうひとつ色の問題がある。上の写真はホワイトバランスを「曇天」にした。雪をオートで撮ると実際の印象より青白く写ることが多い(カメラによりけりですが)。だから少し調整してやるのである。逆にわざとホワイトバランスをずらして幻想的な感じにするという手もある。

 ホワイトバランスを「蛍光灯」にしてわざと青みがかった写真にしてみた。より寒々とした感じになる。実際に寒かったし。ちょっと青っぽくした方が雪のまぶしい感じも出るし。

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 もともと色味が少ないだけに白黒にしちゃうのも似合う。RAWで撮ったものをハイコントラストのモノクロ写真にしてみた。曇天なら下手に色を載せるよりこうした方が、雰囲気が出たりするのだ。

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 面白いものである。ほぼ同じ山を角度や色や焦点距離を変えながら延々と撮ってるだけなのだけど、ちょっとしたことで印象は変わるのだ。

 木の替わりに人を入れるのもいい。せっかくのスキー場なのでちょっと入れてみた。望遠で下っていく人を後ろから望遠で撮ると、ものすごい斜面に消えていくようで面白い。ちょっと下って身体が少し見えなくなったところで撮るべし。

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 スキーやスノボのウエアはカラフルなので、無彩色で真っ白な風景にぽつんと入るといいアクセントにもなる。こんな感じに。スキー場なので人工物が写りやすいので、人工物がなく人がいる、的なアングルと焦点距離を探してみた。

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 人を入れるか入れないか、人工建造物を入れるか入れないかで同じ場所でも雰囲気が変わるのでマメに歩きながらどの方向をどう撮るか決めたい。

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