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“2013年型 DXフォーマット機”として進化したミドルクラス――ニコン「D7100」(1/5 ページ)

» 2013年03月11日 11時41分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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 ニコンが誇るミドルレンジ一眼レフの名機、「D7000」(レビュー)の登場が2010年の9月。それ以来2年半。そろそろ次だよね、ってところで登場したのがD7100だ。

photo 「D7100 16-85 VRレンズキット」 レンズは「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」が付属する

 D7000の良さは出し惜しみしない高性能にあった。堅牢性や信頼感、ペンタプリズムやミラーボックスといったメカ部のクオリティはハイエンド機にかなわないけれども、幅広いニーズに答える汎用性や使い勝手の良さは特筆すべきもので、このクラスでファインダーの視野率が100%だとかSDカードを2枚差しできるというのもとても便利だったのである。今買っても普通に不満なく使えるレベル。

 D7100はそのコンセプトをしっかり受け継ぎ、すべてをブラッシュアップしての登場である。当然、画像処理エンジンなどデジタル部はしっかり2年半分の進化をしているけれども、それ以上に大きく変わったのが2点。

 ひとつはイメージセンサー。APS-Cサイズでは最多クラスの有効2410万画素となったのみならず、ローパスフィルターレスにした。もうひとつはAF。もともと39点AFでこのクラスとしては多かったのだが、それが51点に増えた。

 その辺を踏まえ、D7000と比較したりしつつ見ていくのだ。

2410万画素+ローパスフィルターレスの威力は大きかった

 まずは撮像素子の話。D7100はローパスフィルターをつけてない有効2410万画素のCMOSセンサーを採用している。ローパスフィルターがないとモアレは出やすくなるが、ディテールの描写力がぐっと上がる。

photo 正面から。マウントの左にあるボタンは、上がプレビューボタン、下がFn(ファンクション)ボタン。どちらもカスタマイズ可能だ。右手でグリップしたまま押せる位置にあるのがよい

 モアレは画素ピッチが細かくなればなるほど出なくなっていくわけで、D7100でローパスフィルターを外せたのは画素数がぐっと増えたからといってもいいのだろう。

 D7000の有効1620万画素&ローパスフィルターからD7100の有効2410万画素&ローパスフィルターレスへ。これでどのくらい変わったか。同じレンズで撮り比べてみるのが一番手っ取り早い。

 D7100のレンズキットである「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」(35ミリ換算で24〜120ミリ相当になる、極めて利便性が高くて写りがいいレンズであり、わたしも以前から愛用している)を双方に取り付けて、撮り比べた結果がこちら。まんま貼り付けてもアレなので、両者とも等倍表示にして、その一部を並べてある。両者とも等倍にするとD7100の方が画素数が多い分デカくなるけど、そこはまあ割り引いて見てやってください。

photo 左がD7000、右がD7100。

 正直なところ、想像以上に差が出ててびっくり。

 ディテールの描写力を重視したいけどフルサイズの一眼レフを買うほどの予算はない、あるいはカメラは少しでもコンパクトに収めたいという人には超魅力的である。いいレンズを使うとそれだけ解像感を楽しめそう。今回作例を撮った限りではモアレが出るようなシーンもなかった。

 ただし、このディテール描写力を楽しむなら、F5.6〜8くらいで使うこと。いわゆる「小絞りボケ(回折現象)」の問題が出てくるからだ。画素数が増えると(画素ピッチが細かくなるほど)、絞り込めば絞り込むほど逆にディテールが甘くなる現象として知られていて、今までは大して気にしなくてもよかったのだけれども、D7100はもともとの解像感が高い分、ちょっと目立つのだ。D7100を手にしたら「やっぱローパスフィルターレスは違うぜ」といいたくなると思われるわけで、そんな時はF8以下に抑えておくといいですよと。

 試しに50mmF1.8を装着し、F8とF16で撮り比べたもの等倍表示比較を載せておきます。

photo 左がF8、右がF16

 F8よりF16の方がちょっとディテールがもやっとしてるのが分かると思う。これはどのカメラにも言えるのだけど、D7100は元々の解像感が高い分、目立ちやすいのだろう。でもまぁ、もともと2400万画素もあるわけで、多少小絞りボケが出たからと行って実用上の問題はなく、神経質になる必要はないけど、普段はF8以下を目安にする、というくらいでいいかと思います。

 画素数が上がると、もうひとつ気になるのは高感度時の画質。

 標準ISO感度はISO100〜6400、さらにISO25600まで上げられるのはD7000と同じだが、ISO6400くらいでD7000と見比べると、ちょっとざらつきが増えてる。まあ、画素数が多い分等倍で見ると不利なのは否めないわけで、普通のAPS-Cサイズ一眼レフのレベルと思っていいだろう。

 AFも強化されている。AF測距点がD7000の39点から51点に増えたことと、中央の一点がF8対応になった(開放絞り値がF8までの……つまり暗いレンズに対応。例えばF5.6のレンズにテレコンをつけてF8になった場合など)こと。

 ファインダー内を見るとぐっと増えたのが分かる。

photo AFエリアを切り替えると対応するAF測距点が赤く表示される。その瞬間を撮ってみた。51点あると、中央部はまんべんなく網羅される。

 AFモードは従来と変わらず、AF-A/AF-S/AF-Cで、測距点はオートと51点から任意に選べる、11点から任意に選べる(少ない方が素早く選べるので)、さらに自動追尾を行う3Dトラッキングモードなどが用意されている。

photo 3Dトラッキングを選ぶと、一瞬、3Dと表示してくれるのがちょっと楽しい。動体を追いかけるときに使う

 ファインダーはD7000と同様、視野率100%で0.94倍。グリッドラインの表示もしてくれる。ファインダー内の撮影情報表示は有機ELになり、白くてくっきりした表示となって視認性がぐっと上がった。総じて使い勝手が上がってるといえよう。

photo 黒い小さな四角がAF測拠点で十字キーで移動できる
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