コンデジはハイエンドに限る、と思ってるわけである。何しろ普及型コンデジ(1/2.3型くらいの撮像素子を使ったコンデジと思っていい)とは画質が違う。明らかに違う。
ハイエンド機(1/1.7型以上のサイズの撮像素子を使ったコンデジ)で撮ったものなら、デジタル一眼のサブ機としても使えるし、ハイエンド機だとそれなりに使い勝手も考慮されてるから快適だし、スマホ(ぶっちゃけていえばiPhone)の画質が上がって手近なものを撮るくらいならコンデジとさして変わらなくなってるのだけど、ハイエンド機になるとスマホとはひと味違う写りになるので一緒に持ち歩く意味が出てくる。
そんなことを感じてるのはわたしだけでもないようで、普及型コンデジはiPhoneに食われて売り上げが落ちているにもかかわらず(他にも要因はあると思うけれど)、ハイエンドコンデジはどんどんラインナップが充実して楽しくなってきたのだ。
そして2013年、ニコンも動き出したのである。
今まで1/2.3型の普及型センサーを使ってきた「COOLPIX P3xx」シリーズの撮像素子が1/1.7型に大きくなり「COOLPIX P330」となり、さらに、新しい大型センサー搭載のコンパクトを投入したのである。
「COOLPIX A」だ。Aのあとに数字も何もないところに新シリーズだぞ、という気概を感じる。その上、APS-Cサイズの、つまり一眼レフと同じ撮像素子を入れてきたのだ。期待がもてるではないか。
COOLPIX AはAPS-Cサイズのセンサーを搭載した、28ミリ相当単焦点コンデジである。コンデジと呼んで何ら違和感のないボディに、このサイズからは想像できない高画質を実現してきた。
とりあえず手元にあった28ミリ相当単焦点コンデジと一緒に並べてみた。
手前にあるGR DIGITALは手元に初代機しかないので古いモデル。後ろにあるDP1 Merrillはレンズが沈胴式じゃないのでその分飛び出てくる。十分小型である、ってことが分かると思う。今のところ、APS-Cサイズセンサーを使ったレンズ固定式カメラ、という観点でくくれば、フジのX100系とシグマのDP系、ライカのX2に次ぐ製品ということになる。
フジやシグマやライカとCOOLPIX Aが違うのはどこか、というと、一番には「コンパクトさ」だと思う。APS-Cクラスのセンサーを搭載するとどうしても重厚長大なしっかりしたボディになりがちだが、COOLPIX Aは撮影時重量も約299グラム。デザインや質感もCOOLPIX P3xxシリーズを連想させる、コンパクトの名にふさわしいカメラだ。
レンズは沈胴式で18.5ミリ(35ミリ換算28ミリ相当)。明るさはF2.8。
撮像素子は1616万画素のCMOSセンサーで、ローパスフィルターレス。よってディテールの描写力は高くてキリッとした絵が撮れる。画質面ではもうさすがローパスフィルターレスのAPS-Cセンサーの一体型単焦点レンズ、って感じで四隅までけっこうキリッと解像してくれるのがいい。
シャッタースピードは最高で1/2000秒。ISO感度は100から6400で、それ以上は拡張ISO感度として最大ISO25600まで使える。確かにISO6400を越えるとノイズが目立ち始めるが、不自然さはあまりないしノイズリダクションをかけ過ぎて細部がつぶれるわけでもないので、拡張ISO感度だからといって遠慮せず、あげちゃっていい。
ただ、あまり暗い場所だとピントが合いづらくなる。
COOLPIX Aを使ってみて一番不満に感じたのはAF速度なのだ。近距離時に特に目立つ。被写界深度が浅い分精度が必要なのだろうけど、もうちょっと速いとうれしい。一眼レフのライブビューモードよりは速く、速めのミラーレス機よりは遅い。
マクロモード時の最短撮影距離ははレンズから10センチ、標準モード時は50センチとなっていて、マクロモードでも無限遠までピントは合うが、AF速度を考えるとマメにマクロと通常AFを切り替えたい。AF/マクロ/MFの切り替えスイッチはボディ側面にある。両手でちゃんと構えて撮るようデザインされているので左側面のスイッチもさっと手がいくのだ。
AF時でも半押しでフォーカスを合わせた後にフォーカスリングを回してマニュアルで微調整できるのはいい。+ボタンを押すと拡大表示になる。
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