次はキャリブレーションセンサーを用いて、CS230の表示を細かく調べていこう。まずはColorNavigatorに用意された3つの調整目標である「Web向けコンテンツ作成用」「印刷用」「写真用」でキャリブレーションを行ったところ、いずれも目標値に近い優秀な結果が得られた。輝度の誤差は0.1〜0.3カンデラ/平方メートル、色温度の誤差は6〜7Kと、自動調整で高精度なハードウェアキャリブレーションが可能なColorEdgeのアドバンテージを見せつけている。
それぞれの調整結果をColorNavigatorの検証機能で調べたところ、ほぼすべての色で目標値とのズレが小さい良好な結果となった。目標値に対する色のズレ(色差)を示すΔE(dE ab)の値は、Web向けコンテンツ作成用で最大2.74、平均1.11、白0.58、印刷用で最大5.43、平均1.27、白0.15、写真用で最大3.88、平均1.08、白0.42だ。
一般にΔEが3以下であれば、カラーマネジメント環境として問題ないといわれているので、平均値では合格点といえる(ΔEが1のときに、50%の人が色の違いを知覚できるレベル)。色差の最大値は、いずれも黒や黒に近い暗いグレーを計測したケースであり、それ以外は誤差がかなり抑えられているので、よほど黒っぽい暗部階調ばかりのデータを扱わない限り、高精度な色環境で作業できる。
ColorNavigatorで作成した3つのICCプロファイルを、Mac OS XのColorSyncユーティリティで読み込み、色域の設定を確認してみた。いずれもグレーで下に重ねて示したsRGB規格の色域に比べて、緑から黄色、赤にかけての色域が少し広いが、sRGBをほぼ完全にカバーしている。sRGBプロファイルが設定された画像データをカラーマネジメント対応のソフトウェア(Adobe Photoshop CS/Elementsなど)で見る場合、ほぼ正しいsRGBの発色が得られるはずだ。
CS230はAdobe RGBに近い色域を持つ上位モデルとは異なり、色域変換機能が備わっていないため、キャリブレーションではすべてディスプレイ自体の色域にセットされる。3つの調整結果で色域が少しずつ違うのは、色温度の目標値が500Kずつ違っているからだ。色を扱う作業において、プロファイルが設定されていない画像データは、sRGB規格に比べて緑や黄色が少し鮮やかに出ることを覚えておきたい。
初期設定のsRGBモードとUser 1モードについては、エックスライトのキャリブレーションセンサー「i1Pro」とプロファイル作成ツール「i1Profiler」でソフトウェアキャリブレーションを実施し、ガンマ特性を調べてみた。sRGBモードは輝度80カンデラ/平方メートル、User 1モードは輝度120カンデラ/平方メートルに設定し、後は初期状態のまま調整していない。
結果はかなりハイレベルだ。これまでの検証結果と同様、黒にごく近い暗部では階調の乱れが見られるものの、濃いグレーから中間階調、明部まではRGBの各ガンマが入力と出力で1:1の直線を描いており、正確なグレーバランスを実現している。
ここで作成したICCプロファイルもColorSyncユーティリティで表示してみたが、ColorNavigatorと少し傾向が異なり、sRGBモードはsRGB規格よりわずかに狭いがそれに近い色域、User 1モードはsRGB規格より少しズレた色域となった。sRGBモードは、sRGB規格の発色を手軽に確認する簡易ビュワーとしてまずまず使えそうだ。
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