「XF14mmF2.8 R」は、35ミリ換算で21ミリ相当の焦点距離を持つ超広角レンズだ。旅先の広々とした風景の全体を捉えたり、被写体の遠近を強調してダイナミックな構図で撮るのに役立つ。
下の写真は展望台の階段に立ち、背後の海や崖を見下ろすアングルで撮影したもの。広がりのある構図を狙いながら、顔の形がゆがまないように、人物を画面中央に配置している。
「XF18mmF2 R」は、35ミリ換算で27ミリ相当の焦点距離を持つ広角レンズだ。レンズの全長は33.7ミリで、重量はわずか116グラム。現在のXFレンズの中で最も薄く軽いレンズである。取り回しに優れ、スナップから風景、ポートレートまで幅広い用途に活躍する。
次の2枚は「XF14mmF2.8 R」で写したもの。1枚目は、あえて逆光になるアングルにカメラを構えた上で、マイナスの露出補正を加えて、人物をシルエットとして表現した。2枚目は、中国建築様式の赤い柱を背景にして撮影したもの。このカットだけを見ると中国で撮ったようにもみえるが、実際は国内の公園である。
「XF35mmF1.4 R」は、35ミリ換算で53ミリ相当の焦点距離を持つ標準レンズだ。開放値は、現在のXFレンズの中で最も明るいF1.4に対応。この明るさを生かして、薄暗いシーンでのノンフラッシュ撮影や、背景のボケを生かした撮影などに重宝する。個人的には、今回試用した4本の中で最も気に入ったレンズだ。特に魅力に感じたのは描写性能の高さ。合焦部分は開放値から切れ味の鋭い描写となり、その一方で滑らかなボケの表現も美しい。
下の写真は、開放値のF1.4で撮影したもの。ややゴチャゴチャした背景がボケて整理され、人物のみが浮かび上がるように強調されている。
開放値の明るさは、暗所撮影でも有利になる。下のカットは、観光地の洞窟内にてローソクの明かりを利用して撮影したもの。太陽光やフラッシュ光で撮る場合とは雰囲気が異なり、柔らかい印象の写真となった。最後のカットも、やはり開放値のF1.4を使って、日が暮れかかった時間に撮ったもの。こうしたソフトで弱々しい光線状態のときは、影が目立たず、しっとりとしたイメージが得られる。
以上、約半日の短い旅だったが、単焦点XFレンズの魅力を十分に楽しむことができた。旅の撮影といえば、機動力を重視してズームレンズを選ぶのが一般的だが、画質と明るさ、ボケにこだわるなら単焦点レンズのほうが一歩上である。そんなことを改めて感じた旅だった。
モデル:佐藤愛美(オスカープロモーション)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR