キヤノンの「EF40mm F2.8 STM」はいわゆるパンケーキレンズだ。22.8mmという薄さで非常にコンパクト。重量も約130グラムなので、ボディキャップ代わりに常に装着しておくのも悪くない。明るさもF2.8とキットレンズに較べると明るく、フルサイズ対応レンズなので、軽量なフルサイズ機である「EOS 6D」に装着して気軽に撮影を楽しんでみるのもいいだろう。
レンズは極限まで薄く仕上げられている。マニュアルフォーカスのためのピントリングがわずかに残されているのと、AFとMFの切替スイッチが外観上の特長だろうか。レンズフードは付属しないので、画質にこだわる人は購入して装着するべきだろう。
40ミリ、という焦点距離は中途半端な長さに感じる人が多いのではないか。35ミリの広角でもないし50ミリの標準でもない。しかし撮影者の扱い方によってはどちらの効果も出すことができる面白い長さである。生かすも殺すもフォトグラファー次第なのだ。
とあるホールのスロープ。歩く人物を画面左端に配して、右側には鈍い光を放つ手すりをフレーミング。こうやってスペースをいかした撮影をすると超ワイドレンズで撮影したかのような効果を出すことができる。ハイライトからシャドウまで開放ながら確かな描写で頼もしい印象だ。
駅前のニューススタンドをスナップ。ラックにささった新聞の見出しもしっかりと確認できる。背景のレンガやシートのディテールもなかなかの写りだ。色味は若干コッテリしている感じを受けるが悪くはない。レンズ装着時もスリムなので、「!」と思った時に素早くカメラバッグから出しやすいのでスナップにはいい。
秋葉原で橋を渡っていると船が下を通過した。シャッター優先AEで通り過ぎる様を連続で撮影。USMと違ってオートフォーカス速度には期待していなかったが、船の移動速度程度ならばSTMでも問題なく合焦して撮影することができた。
木に登ったモデルにグッと寄って撮影。このように撮影すると、40ミリでも中望遠で撮ったかのような印象を受けるだろう。絞り優先AEで開放よりチョイ絞りでシャッターを切った。合焦した瞳から顔全体の肌部分の描写はナチュラルだ。頭頂部や腕にかけてのボケ具合も穏やかでいい感じ。木漏れ日のボケ描写もまずまずか。
前カットを位置とポーズを変えて撮影。若干離れて撮影することでワイド感を演出した。40ミリという単焦点レンズでも、モデルと撮影者の距離の取り方で、これだけ違った写真になるのだ。レンズキットの標準ズームだけでなく、携帯性もよくて安価で買いやすいパンケーキレンズを活用して撮影を楽しんでみてはいかがだろうか。
(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭としているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)
(モデル:加田穂乃華 オスカープロモーション)
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