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「EOS 70D」の「デュアルピクセルCMOS AF」を理解し、試す(2/2 ページ)

» 2013年07月19日 11時13分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 EOS 70Dでライブビュー撮影を行うに際しては、背面ファインダー接眼部右に用意されているライブビュー撮影開始ボタンを押す。このボタンと一体化しているレバーを左に倒してからボタンを押すと動画撮影になる。

photo ライブビュー撮影/動画撮影スイッチ

 キットレンズとして設定されている「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」と組み合わせてのライブビュー撮影では、ほぼ接眼しながらのファインダー撮影と変わらない感覚での撮影を楽しめる。さすがに高速さに定評のあるミラーレス機(オリンパス「OM-D」やソニー「NEX-5R」など)に比べると若干(本当に若干)の遅さを感じる瞬間はあるものの、EOS 60Dのライブビュー撮影に比べると同じシリーズの製品とは思えないほどに高速だ。液晶画面タッチによるAFポイント指定も可能であり、操作感という意味では、ミラーレスカメラと同等に思っていい。

 ライブビュー撮影時のAF方式は人物の顔を検知し、また、顔以外のものであっても液晶画面タッチで指定するとその被写体を追尾し続ける「顔検出+追尾優先」、どこに測距点をあわせるかをカメラが判断する「ライブ多点」、画面タッチした1点にピントを合わせる「ライブ1点」を利用できる。加えて、一時的にライブビュー撮影を中断し、別搭載の位相差AFセンサーでAFを行う「クイック」も用意されている。

photo 「ライブ多点」でのショット。カメラは手前のノボリにピントを合わせた
photo こちらは「ライブ1点」。画面タッチで、奥のキツネさんにピントをあわせてみた

 ちなみにライブ多点とライブ1点を比較すると、ほんのわずかではあるがライブ1点の方がAFが速いという印象を受ける(EOS Kiss X6iの「ハイブリッド CMOS AF」でもライブ1点の方が速いという同様の傾向があった)。ただ、述べたようにほんのわずかな差であって、交互に使い分けるときが付くレベル。実用に際して気になるほどではなかった。

photo

 なお、ファインダーに接眼しての撮影(別途搭載する位相差AFセンサー利用)と比較しての使用感だが、これは「被写体の動き」に左右される印象を得た。対象の動きが少ない(ゆっくり)であればファインダーとライブビュー、いずれの撮影でもあまりAF速度の感覚に変化はないが、通りすぎる車を撮るといった状況ではファインダー撮影のAFのほうが“食いつき”といった部分も含めて分がある。上位機種「EOS 7D」とほぼ同等のオールクロス19点AFセンサーを搭載しているので、差があるのは当然といえば当然だが、動体の撮影ならばファインダーでの撮影を推奨したい。

 AFの「動作」については、ライブビュー撮影を選択した時点で自動的にワンショットAFに切り替わり、動体へピントを合わせ続けるAIサーボAFやAIフォーカスAF(ワンショットAFとAIサーボAFをカメラが判断して自動的に切り替える)は選択できない。ただし、初期設定ではコンティニアスAFが「する」に設定されており、実質的にはAIサーボAF/AIフォーカスAFを選択できなくとも問題ないともいえる。

photophotophoto 「顔検出+追尾優先」での撮影。迫る電車にピントを合わせてくれた

 ここでレンズを交換。お手ごろ単焦点として人気の「EF50mm F1.8 II」とちょっと古い(「EOS 20D」のキットレンズとして登場した)ズームレンズ「EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM」を組み合わせた。

 EF50mm F1.8 IIはUSM(超音波モーター)を搭載していない古いレンズなので動作時に“ギュギュッ”という音がするものの、ライブビュー撮影でのAFは高速。十分に実用に耐える速度といえる。EF-S17-85mm F4-5.6 IS USMでも同様、少々動作音はするが、速度は十分に実用的だ。ちなみにライブビュー撮影時には連写速度が低下するものの、「静音撮影」の設定をすることで、シャッター音を押さえての撮影もできる。シチュエーションによっては活用できるだろう。

photo 「EF50mm F1.8 II」でのライブビュー撮影 バリアングル液晶が搭載されているのでローアングルも快適
photo 「EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM」でのライブビュー撮影

 デュアルピクセルCMOS AFの恩恵を受けるもうひとつのシチュエーションが動画撮影。ミラーアップ状態でのAFが高速化されたことに加えて、画面タッチでAFポイントを移動できるので、「構図や被写体はそのままにピント位置が移動する」という、本格的な映像表現を気軽に楽しむことができる。動画撮影時のAF方式は静止画のライブビュー撮影と同じく、「顔検出+追尾優先」「ライブ多点」「ライブ1点」が利用できる。

幅,高さ,「構図や被写体はそのままにピント位置が移動する」という表現も気軽に楽しめる(レンズは「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」)

 本体にステレオマイクを搭載しており、録音レベルはマニュアル調整も可能。ただ、「動画サーボAF」はデフォルトでONとなっており、レンズによってはAF動作音を拾ってしまう。今回用意したレンズでは、EF50mm F1.8 IIと組み合わせた際にAF動作音が記録されていた(ただ、記録された音量は非常に小さく、被写体が会話をしていれば気が付かないかもしれないというレベル)。音にもこだわるならば、ステッピングモーター搭載レンズを利用する、外部マイクを導入するなどの対応が必要となるだろう。

上と同じシチュエーションでレンズを「EF50mm F1.8 II」に交換。わずかにAF動作音が記録されている
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