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第23回 Snapseedで写真を派手に!荻窪圭のiPhoneカメラ講座

» 2013年08月06日 10時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 今回はフォトレタッチアプリ「Snapseed」(AppStore)の後編。

 基本レタッチ編は前編(荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第22回 SnapSeedで学ぶ、iPhone写真レタッチの基本)を見ていただくとして、ここではまず「Snapseed」がその名を(一部に)とどろかせることになったフィルタから見ていくのだ。

 それは「ドラマ」である。もうこれで遊ぶため、このアプリを常用しはじめたといって過言ではないくらいのデキなのだ。

「DRAMA」フィルタで世紀末っぽく

 オリンパスが同社のPENシリーズに「アートフィルタ」というデジタルフィルタをかけながら撮影するモードを搭載して話題になったはもう何年も前だが、その第2弾だか第3弾だかで「ドラマチックトーン」というフィルタが追加されたのである。

 平和な風景が一瞬にしてドラマティックに……空から恐怖の大王でも降りてきそうな重たい雰囲気に一変するそのフィルタは一部で大人気となったのだ。ああいうフィルタがあったら面白いだろうな、というところにSnapSeedが登場したのである。

 これを使うと何が起きるか。とりあえず、わかりやすい海辺の風景で見てみる。

photo

 元の写真を開いたところ。なんてことない海辺。薄く雲がかかってて、今ひとつ暑さが足りない。で、基本的なレタッチを施したら「DRAMA」を実行する。するとこうなる。

photo 「ドラマ1」をかけた。いきなりちょっと不気味な感じに

 ★印をタップすると、6種類の「ドラマ」が用意される。ドラマ1と2は標準的なドラマフィルタ。あとは明るめ2つ、暗め2つといった感じで、2の方が強くかかるのだ。

 で「ドラマ2」をかけてみる。

 普通のなんてことない青空だったのに「もうすぐゲリラ豪雨がくるぞー、逃げろー」的な感じに。

photo ちょっと不気味で何か事件が起きそうなビーチに様変わり

 こういった各フィルタに対して「強度」と「彩度」をコントロールできる。コントロールの仕方はSnapSeedの作法そのままで、画面上で指を上下に動かして項目を選んで左右に動かして強さを選ぶ。

 ここで彩度をめいっぱい上げてみた。

photo 彩度を最強にすると思い切りコテコテな写真に

 彩度を落として色味を弱くすると不気味な感じになり、彩度を上げるとこってりコテコテになるわけだ。より不気味に「よからぬことが起きそうな雰囲気」にするには暗め(濃い1か濃い2)のフィルタにするといい。

photo 暗めのドラマフィルタをかけてみた。夏はとっくに終わりました感

 こうなったらさっさと家に帰るがよしって感じですな。

 一般にドラマフィルタは「空」に対して派手に効果がでる。

 遠くにぼんやり見えたゲリラ豪雨の様子もドラマフィルタをかけると、空からどしゃっとバケツをひっくり返した感じが強調されておそろしいことに。

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 ドラマフィルタのくっきりさせる作用をうまく使えば、ゲリラ豪雨のあと、遠くにぼんやり見えた虹もこってりくっきりになる。ちなみにドラマフィルタをかけてはじめて虹が二重だったことに気づいた次第です。

photophoto

 分かりやすいので空ネタを連発したけど、もちろん日常的な写真にかけてもOK。印象的な写真に仕上げることができる。でも料理写真にはかけない方がいいかな。とりあえず美味しそうにはなりません。

ヴィンテージとグランジとレトロ

 お次のフィルタはレトロ系というかヴィンテージ系というか、そういう系統。

 ややこしいことに「VINTAGE」(ヴィンテージ)、「RETROLUX」(レトロ)、「GRUNGE」(グランジ)と似ような印象を与えるフィルタが3種類ある。どれも古い昔風の写真にするのだが、テイストがちょっと異なる。

 同じ写真をそれぞれのフィルタにかけてみる。

photo 元の写真。普通にくっきりした猫写真だ

 まずはヴィンテージフィルタをかけてみる。

 年代物の写真風に仕上げてくれる。手順はこんな感じ。

photophotophoto 「ヴィンテージ」フィルタにも多数のスタイルがあるので、任意のスタイルを決める。色あせ方をどうするかがポイント(写真=左)、テクスチャを決める(写真=中)、それぞれの調整をコントロール(写真=右)

 続いてレトロフィルタ。

 ヴィンテージは文字通り「年代物」であって、何10年も前にきちんと撮ってきちんと保管されてた写真が発掘されましたというちょっと上品な感じ。レトロはもうちょっと無造作に、昔撮ったまま無造作に保管されててそれが見つかったという感じ。漏れ光効果がポイントか。よく見ると表面にひっかき傷もあるなど妙にリアル。

photophotophoto こちらは「レトロ」フィルタ。手順としてはヴィンテージと同じで、スタイル、テクスチャ(漏れ光)、微調整と適用していく

 最後はグランジ。グランジは汚れを追加するもの。これが一番、発掘感あふれる写真になる。

photophoto 「グランジ」フィルタ。スタイルを選び、次に汚すためのテクスチャを変更する

 汚すときのテクスチャのバリエーションがすごく多いので、指で左右にスライドしながらリアルタイムで効果をチェックして、これよさそう、ってのを選ぶといい。上の例では分かりやすいよう、テクスチャを強めにかけてみた。

 では結果を見比べてみる。なるべくシンプルな構図の写真にかけたほうが効果的かと思う。

photophotophoto 左からヴィンテージ、レトロ、グランジ

チルトシフトでジオラマ写真

 チルトシフトより「ミニチュア効果」や「ジオラマ効果」の方が知られているかも。風景をミニチュア風にしちゃうフィルタで、それ専用のアプリもあるし、この機能を持つデジカメも多い。

 Snapseedも「TILT-SHIFT」という名前でこの機能を持っている。これはシンプルで面白いのでさっそく使ってみる。簡単にいえば、一部をくっきりさせそこから離れるに従ってボカすことで、ミニチュア写真のように見せるという技。

photophoto TILT-SHIFTを選んでから、指で効果をかける場所、その幅、ぼかす速さを指定する
photo 結果がこれ。街がミニチュアっぽくなった。彩度を高めにするとよりミニチュアぽくなる

 他にもフレームをつける、ヴィネットをかける、様々なモノクロ写真にするなどSnapseedは多くのエフェクト機能を持っているんだけれども、ここでは代表的なものだけをあげてみた。

 夏休みに出かけたはいいけど天気が悪かった……思い切りドラマチックにしちゃえ、薄曇りで今ひとつ夏っぽくなかった……思い切りコッテコテの空にしちゃえ、夏休みが終わったら会社かぁ行きたくないなあ……レトロ調の遠い思い出にしちゃえ、てな感じで夏の終わりをSnapseedのエフェクトで締めくくるのも一興かと思います。

 ともあれ、イチオシのフォトレタッチアプリなのは間違いないのであります。

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