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第167回 夏山と渓流下り、昆虫の関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2013年08月09日 10時52分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

川下りを楽しむ

 山から下りたら今度は川。この日は晴れてたので、こんな場所でちょいと川下りを楽しんでみた。

photo

 絞りはやや絞り気味で、マイクロフォーサーズだとF5.6〜F8くらい、APS-CだとF8前後くらいが目安。風景を撮るにはそのくらいの方がくっきりと写るし、たいていのレンズは開放よりちょっと絞ったくらいが一番よく写るから。

 さっそく船に乗る。

 こういう場所でも露出は少し抑え気味がいい。その方が色がしっかり出る。ただ、今回は真夏なので、逆に少しプラスにしてわざと明るくして、盛夏のまぶしい感じを出すのも悪くない。

photophoto 露出補正を少しマイナス目で青や緑をくっきりと(写真=左)、少しプラス目で夏のまぶしさを(写真=右)

 どっちがいいかはどんな雰囲気の写真にしたいかによるんだけど、今回はほんのちょっとマイナス目な感じでいきます。

 そうそう、炎天下では液晶モニタの表示はあまりアテにならないので、ヒストグラムを表示させるか、ときどき日陰で再生させてチェックするのをお勧め。

 さて、船の先頭は面白いけど水に濡れます。ここのライン下りは容赦なく濡れるので注意。レンズフードとレンズ保護フィルタは欠かせません。できれば防水に配慮したカメラとレンズの組み合わせで臨みたい。

 水しぶきをピシッと止めて撮りたかったのでシャッタースピードを1/2000秒に。晴れてればそれでも余裕の明るさ。むしろ、明るすぎて絞り開放で撮るのは無理というくらい。

photo 激流が近づいてきた
photo 水は容赦なく船内へ
photo これが一番きれいに水を撮れてた

 水遊びを撮るポイントは高速シャッターと連写。水は一瞬のうちにいくつも表情を変えるので、連写してあとから一番いいしぶきっぷりを選ぶべしである。なかなか狙って撮れるもんじゃない。

 写真の左手に見えてるビニールは乗客が自分で水しぶき防止のため持ち上げるもの。おれは濡れても平気、といってサボると他の乗客の迷惑になるので、左手にビニール右手にカメラという体勢で。

 で、こんな風に水を浴びると、次の写真がこうなります。

photophoto 水滴が思い切りカメラに!(写真=左)、あ、水滴がレンズについたままだった(写真=右)

 だから保護フィルタは欠かせないし、濡れたらすぐに拭き取ること。

 波がおだやかならシャッタースピードを落として撮ってみるのもいい。シャッタースピードを遅くすると、細かい水しぶきや水面の光が流れるので、水面がすごくおだやかに撮れる

photophoto シャッタースピードを変えながら。1/2000秒(写真=左)、1/20秒(写真=右)

 シャッタースピードを遅くするとどうしても微妙にブレるので(何しろこんな木造の船の上である)キリッとはならないが、水面の表情が全然違うのが分かると思う。水はシャッタースピードで表情を変えるのだ。

 というところで、水の写真といえば欠かせない、シャッタースピード別作例といこう。岩場を水が流れている場所を見つけたので、シャッタースピードを変えながら撮ってみた。

photo 1/2000秒。水が完全に止まって固体に見える
photo 1/250秒。水は流れてるんだけど、ちょっと中途半端な感じ

photo 1/30秒。ずいぶん水の流れっぽくなってきた
photo 1/15秒。F18。そろそろ限界

と、1/2000秒から1/15秒まで撮り比べてみた。同じ場所とは思えないくらい表情が変わるのが面白いところ。水を止めて撮るのか、流して撮るのか、天候との兼ね合いもあるけれども、そこを意識して、シャッタースピード優先で撮ると楽しいかと思う。

 で、先ほど、船の上で水しぶきがばしゃっとかかる瞬間の写真をお見せしたわけだが、あの場所を河岸の岩の上から取ってみたのだ。どんな風に水がかかってたか見たくて。

photophoto 川沿いに歩いてさかのぼって到達。ここです。単なる濁流の川の写真(写真=左)、同じ場所でも遠くに船が入っていると雰囲気がかなり変わる。それも写真の面白さ(写真=右)

 こんな風に船が突っ込んでくるのである。

 そしてこうなるのであった。

photo 思い切り水をかぶってます

 そら、びしょ濡れにもなるわ。濡れたい人は先頭に座らせてもらうのがお勧めです。

 ちなみに、舳先が丸いゴムボートだともっと楽しそうなのでありました。こういう写真は水しぶきのあがりっぷりがいい写真を撮りたいので、連写は欠かせない。ほんの一瞬で水の表情は変わるから。川や渓流や滝は表情をいくつも持っているので、気に入った瞬間をじっくり(熱中症にかからないよう注意しつつ)狙うのが楽しいのだ。

photo 水に飛び込む瞬間を連写でとらえた中で、一番しぶきが派手だった写真をセレクト

 でも何カ所かある激流を除けば穏やかでのんびりした川下りを楽しめます。こんな感じに。わざと低い位置にカメラを置き、手前の草をぼかして入れてみた。低い位置だと川をすごく近く感じて臨場感が出るのである。

photo 青空と緑と岩と水面と船と。いろんな要素を1枚におさめてみた

 平和で幸せな風景であります。

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