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「GX7はスナップカメラの最高峰を目指した」 パナソニック北尾氏に聞く(前編) 

» 2013年08月28日 07時00分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 ミラーレスカメラはもはや珍しい存在ではなく、手軽なエントリー向けからプロの使用に耐えるハイエンドまで多種多彩な製品が各社より投入されている。パナソニックが新たに販売開始する「DMC-GX7」は“ミラーレス最高級画質”をうたい、新型センサーや新エンジン、色再現にこだわり有機ELではなくあえて液晶を採用したチルト式EVFなど見どころの多い製品だ。

 新製品の狙いや新製品の投入によって再編されたLUMIX Gシリーズの将来像について、同社AVCネットワーク社 DSC事業部 事業部長の北尾一朗氏に話を聞いた。

photo 新製品「DMC-GX7」を手にする同社AVCネットワーク社 DSC事業部 事業部長の北尾一朗氏

GX7の目標は「ミラーレスのポテンシャルを引き上げること」

――さっそくですが、新たに投入する「DMC-GX7」(以下GX7)の特徴とその企画意図、「DMC-GH3」との住み分けについて教えてください。

北尾氏: 前モデルにあたる「DMC-GX1」から約2年、次のGXはどうするべきかを考えてきましたが、そこで行き着いたのが「ミラーレスのポテンシャルを引き上げていくこと」でした。

 新センサーや新エンジン、色再現性に優れたEVFなど、GX7はフラットタイプボディカメラの最高峰を目指して開発を行いました。ボディのスタイルからいえば、日常のスナップを撮るカメラの最高峰と言い替えてもいいのかもしれません。GH3とGX7でどちらが上という上下関係ではなく、被写体や状況によって選択して頂ければというのがわたしたちの考えです。

photo 「DMC-GX7」 レンズはレンズキットに含まれる「LUMIX G 20mm/F1.7 ASPH」(H-H020)

 GX1からの大きな変更点にファインダーの搭載があります。ただ、GXであることの位置づけとファインダーの搭載は必然的関係ではありません。GXはあくまでもフラットタイプボディで日常を撮るスナップカメラです。スナップというと軽い印象にもなってしまいますが、ファインダーがあればスナップ撮影時のアングルも意識できますし、ファインダー搭載は要望が多かった要素でもあります。

――ファインダーはチルト機構を採用しました。背面液晶もチルト式ですね。

北尾氏: フレーミングの自由度を考えると、ファインダーと背面液晶、いずれにもチルト機構はあった方がいいという結論に至りました。もっとも、チルト機構を搭載しながらボディを小型化するには相当な苦労がありましたし、初期段階の試作機はとてもお見せできるような大きさではありませんでした。

 EVFにDMC-GH3で採用した有機ELではなく液晶としたのは、より色再現性に優れるという液晶のメリットを生かすためです(GX7のEVFはAdobe RGB100%の色域を持つ)。一方、GH3で有機ELを採用したのはよりレスポンスに優れるというメリットを生かすためです。

photo EVFは276万画素相当の液晶パネルを搭載しており、Adobe RGB100%の色域を持つ

 ちなみにGX7はGXシリーズとして2代目のカメラですが、外観も中身もかなりの変化・進化を果たしたという自負もありましたので「GX2」ではない名称にしたいと思ったのです。そこでLUMIXとして初めて世に出したカメラ「DMC-F7」(2001年発表。同時に「DMC-L5」も投入されている)にもあやかり、「7」の数字を入れて「GX7」としました。

――いま話題がGH3に及びましたが、GH3はその高い動画性能から動画撮影により適した製品というイメージがあります。動画のGH3、静止画のGX7という位置づけになるのでしょうか。また、LUMIX Gシリーズは以前より他社のレンズ交換式カメラに比べて動画撮影を重視している印象がありますが、シリーズのスタートから10年が経過し、ユーザー側の動画に対する接し方の変化は見られるのでしょうか。

北尾氏: わたしたちで「動画がGH、静止画がGX」という区分はしていません。それはカメラを手にする方が判断することです。GH3はもちろん、GX7でも高いクオリティの動画を撮影できますが、GX7は動画のプロフェッショナルの利用は想定していません。そうした違いはあります。

 動画への接し方という意味では、最近、GoProなどアクションカムの人気が高まっているほか、静止画投稿サービスとして開始されたInstagramが動画対応するなど、「動画」がより身近な存在になっています。

 ボディの形状や成り立ち、持ち出す撮影環境などを勘案すると、カメラで動画を撮るとビデオカメラとは異なり、数秒や10数秒といった、短い映像を撮る機会が増します。ビデオカメラとは違う動画の撮り方、使われ方が今後、顕著になってくるのではと思います。

(後編に続く)

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