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» 2013年10月10日 10時53分 UPDATE

今日から始めるデジカメ撮影術:第169回 スポーツ写真とアングル、シャッターチャンスの関係 (1/3)

秋である。食欲やら読書やらいろいろあるが、写真的にはスポーツ写真といえよう。ダイナミックな動きが魅力の馬術競技を題材に、スポーツ写真とシャッターチャンス、アングルの関係をみてみよう。

[荻窪圭,ITmedia]

スポーツの秋なので馬術競技を撮る

 スポーツの秋である。暑すぎず寒すぎず台風がこなければ陽射しもしっかりしてて、撮影してても楽しい季節。

 今回選んだスポーツは「馬術競技」。ひとくちに馬術競技といってもいろいろあるけれども、今回撮影したのは「総合馬術競技」。馬場で調教審査を行う馬場馬術、アウトドアのコースで行うクロスカントリー、そして障害飛越競技の3種類を行うもので、今回はその競技会を撮影させてもらった。

photo

 走る馬の動きがカッコいいし、スピード感もあるのでいろんな撮影を楽しめるし、簡単なようでいて難しくてちょうどいい競技なのだ。

 場所は世田谷区にある馬事公苑。もともと1940年の東京オリンピック(ちなみに戦争のため、開催されなかった)のために開設され、1964年の東京オリンピックでは馬術競技の競技会場としても使われた施設なのだ。普段は一般公開されていて、近所の人が散策に訪れたり子どもが遊んだりしてる。

フォーカスをどうするかが大事

 馬場馬術は調教審査を行うもので、あらかじめ決められたコースを、決められた通りに馬をコントロールする競技。どこからどこまではこういう歩法で、と指定されていてその通りに歩いたり走ったりしなければならない。

 スポーツを撮るときの一番大事なポイントはひとつ。細かいセッティングのポイントは3つ。

 一番大事なのは「自分のカメラの力を知ること」だ。

 どんなレンズを持ってる? 望遠はどのくらいまである? そのレンズでAF速度はどのくらい? 使うカメラとレンズ、それに被写体との距離でどう撮るかがある程度決まるわけだ(望遠が足りないときはあとからトリミングして切り出してやればいいのだけど)。

 連写速度はどのくらい? 一般にミラーレス一眼の方が連写は速い。でももうひとつ「何枚まで連写できる?」という問題がある。連写速度だけが速ければいいってもんじゃない。一般に、RAWで撮るよりJPEGで撮った方がたくさん連写できる。

 AF性能は? カメラのAFにはおおまかにいって2種類ある。ひとつは「位相差AF」。AF専用の位相差センサーというセンサーを持ってて、それでピントを合わせる方法。一眼レフで光学ファインダーをのぞいて撮るときにこれが使われる。もうひとつは「コントラスト検出AF」。こちらは撮像素子の画像を解析してピントを合わせる方式で、一眼レフのライブビュー時やミラーレス一眼で使われる。

 で、止まったものを撮るときはどちらでもいいんだけど、動くものに常時ピントを合わせ続けて連写したいときは、圧倒的に「位相差AF」が強い。

 だがしかし、最近は「像面位相差AF」という技術が出てきて、それを使った機種ならミラーレス一眼や一眼レフのライブビュー時でも動体を追い続けるAFが実用的になった……でも新しい技術なので像面位相差AFを搭載しているからといって、動きものに強いというわけではなく、ややこしくて申し訳ないが、自分のカメラのAF性能がどんなものなのか、いろいろ試して把握しておいてねとしかいいようがないのである。

 では具体的なセッティングだ。

 ひとつは連写をオンにする。

 相手は馬である。騎手も乗ってる。馬の姿勢がよくて騎手もいい表情をした写真を撮りたいけど、一発勝負でそれを撮るのは無理。ってことで、連写をオンにする。

 2番目はAF。

 AFにはシャッターボタン半押し時にピントをあわせる「シングルAF」(S-AF)と、常時ピントをあわせ続ける「コンティニアスAF」(C-AF)がある。位相差AFを搭載している……つまり動体を追尾しながら撮ることに向いたカメラなら、C-AFにしておくべし。比較的新しい、位相差AFを搭載した一眼レフで、AFが高速なレンズを使っていれば向こうからこっちに向かってくる馬でも気持ちよく撮れる。

photophoto 連写しっぱなしでもC-AFにしておき、ファインダーできちんと被写体を捉えていればAFが追いかけてくれるのが位相差AFを使える一眼レフの良さ

 C-AFが苦手な機種、一眼レフでもレンズが古くてAFが遅かったり、コントラスト検出式AFのミラーレス一眼などでは無理にC-AFを使うより、S-AFで撮るのが無難。ただ、望遠時にはピントの合う範囲が狭いのでピントがずれやすい。

photophoto S-AFで撮った例。1枚目は人にピントが合ってるけど、2枚目はどちらにも微妙にあってない

 ではS-AFで撮るときはどうするか。

 基本は「置きピン」といわれる撮り方をする。あらかじめ「このあたりにきたら撮影する」と決めておいてその場所にピントを合わせておき、馬がそこに近づいたらおもむろに連写するのだ。後述するけど、障害競技のように「ここで撮る!」ってポイントが決まってるときに有効だ。

 もうひとつ、馬を正面から撮ろうとするから悩むのであって、走る馬を横から撮るのであれば、カメラと馬との距離はあまり変わらないのでS-AFでも大して困らない。

photo 横から撮る。馬にニラまれてしまった(いや、にらんだってことはないと思うけど)。逆光でふわっと撮ってみた

 ゆっくり歩いているところを1/640秒で撮っているので止まって見えるけれども、実際には動いております。

 まあシャッタースピードを上げれば止まって見える。

 馬場馬術はゆっくり歩いたり速く歩いたりするのだけれども、やはりスポーツの秋であるから、動きを出したい。

 そういうときはシャッタースピードを落として流し撮りである。

 ただ、馬は自動車や自転車と違って上下の動きが加わるので難しい。

photo 1/80秒で流し撮り……を狙うも顔が上下に動いてしまった

 そういうときはもう連写。カメラを構えたら上半身は動かさず、馬の速度に合わせ、腰を回しながら連写する。腰で撮るのがポイント。そして顔が上下にブレてないカットがあれば成功。

photo 1/125秒で流し撮り。今度は顔が静止した瞬間を撮れた

 流し撮りをすると背景が流れるので馬の足下が見えなくても動きが出るし、背景からメインの被写体が浮かび上がって写真として見映えもするのである。

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