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高級コンパクト「S」はどこまできたのか 「Powershot S120」を試す(2/4 ページ)

» 2013年10月25日 18時45分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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小さいけれど快適な操作系

 S120のボディは薄くてコンパクトだが、造型がシンプルで高級感があり、かなりカッコいい。ボディは小さいながら、背面には3型/約92万画素のタッチパネル液晶を搭載し、その右に置かれたボタンもひとつひとつが大きくて分かりやすいのは立派だ。

 さらに、Sシリーズ(具体的には2009年のS90)が流行らせたといって過言ではないレンズ周りのコントロールリングも健在。「RING FUNC」ボタンを押してリングに割り当てる機能をいつでも変えられるし、リングをカチカチと回すだけで、設定に応じて絞り値やISO感度などをコントロールできるのだ。

photo 上面は電源、モードダイヤル、シャッターと非常にシンプル。レンズ周りはコントローラーリングでクリック付の回転式となっている
photophoto モードダイヤルを回すと連動して画面上にも表示される(写真=左)、RING FUNC.ボタンでコントローラーリングに割り当てる機能を変更できる。「STD」は標準を表し撮影モードによって機能が変わる(写真=右)
photophoto FUNCキーを押すと出てくるメニュー。この内容もカスタマイズできる(写真=左)、タッチAFができるのは便利。任意の場所にさっとフォーカスを合わせられる(写真=右)

 細かい設定は背面「FUNC」ボタンを押して行うのだが、そのときに表示されるメニュー内容も選べる。コンパクトでオートでさっと撮るのに向いたカメラであるけれども、細かいセッティングもしやすいのである。

 さらに、S120がG16に比べて優れているのは、タッチパネルを搭載していること。基本操作はボタンやダイヤルで行うが、AFはタッチパネルが便利。感圧式ではなく静電容量式なので反応もよい。

photo 背面。ボディが小さいためモニタ右側のスペースは少ないが、親指を置くスペースをちゃんと確保し、大きなボタンにして操作が分かりやすくなっているのはよい

 右手でボディを持ち、左手の指でさっと撮りたいところにタッチするだけで目的の場所にピントがあう。オートでは目的とはちょっと違うところにピントを合わせることがあるので、そういうときはタッチAFでさっと触ってやればよい。AUTOモード時は自動追尾AFに切り替わるので、その被写体をそれなりに追ってくれる。

 G16では顔検出AFを選ぶと、顔がないときのAFポイント選択ができなくて不便だったが、S120ならタッチAFが使えるので問題ないのだ。

 撮影機能の強化はG16と同じと思ってよいだろう。電子水準器はついているし、シーンモードには「星空」機能も搭載。星空軌跡モードも使える。クリエイティブフィルタには絵画調やグラフィック帳など仕上がりを5種類から選べるHDRや、フォーカスを変えて2枚撮影して合成することで背景をぼかす「背景ぼかし」が追加されている。

photophoto 通常撮影(写真=左)と背景ぼかし「強」(写真=右)。近距離でエッジがくっきりした被写体に向いている。背景のボケが確かに違う

 もちろんWi-Fi機能も搭載。スマホなどとダイレクトにつなぐモードの他、アクセスポイントを介した接続もサポートされているのがすばらしい。


 というわけで、Powershot S120はかなりよい。かつてキヤノンの主力コンデジは「IXY」シリーズだったが、時代が変わり、今は「Powershot S」シリーズなのではないかと思わせてくれるデキだ。

 特に個性的な機能はないけれども、薄くてコンパクトで高画質で、オートのままでもハズれることがほとんどない安定感で、安心して使えて、価格的にもハイエンド機としては手ごろ。日常的に持ち歩いてスナップを撮りたい人には一番安心して勧められる。

 普及型コンデジがスマホの影響もあって厳しくなっている中、今後の主力はこのジャンルになるのだろうなというのがよく分かる。このクラス(薄型軽量のハイエンドコンデジ)を狙って各社が製品を投入しているので(先日発表された富士フイルムの「FUJIFILM XQ1」などはまさにそうだ)、にぎやかで面白い。

photo ハロウィンですな、ということでお菓子をマクロで 24mm相当 1/160秒 F1.8 ISO400

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