D610から搭載された静音連写機能だが、選択するとシャッター音の甲高い音が押さえられマイルドな音で連写ができる。少し距離を置いて聞けば静音の効果が感じらる。さて、静音撮影の機会というと動物の撮影や発表会などの用途などが考えられるが、加えて、公共の場での記念撮影や、料理の撮影が好きな人などマナーモード的にこのモードが活用できるのではないかと思う。
そのほか、オートホワイトバランス設定は標準の「AUTO1」のほか、電球色を残す「AUTO2」がある。最近のニコン機には用意されている設定だが、写真のイメージ作りに役立つ面白い機能だ。
D610の39点のAFエリアはやや中央よりでD700に比べると狭く感じるものの、動体にも追従し、ダイナミックAFや3DトラッキングAFも使える本格的な物だ。さらにクロスセンサーは中央の9点、中央1点とその左右に2点ずつ、上下に1点ずつのフォーカスポイントがF/8のマスターレンズに対応する。
気になったのはファインダー内表示が消えている際のフォーカスポイントの移動で、シャッターボタンを半押しするなどして一度「目覚め」させる必要がある。D700では設定の「マルチセレクターの半押し起動」をオンにすることで、ファインダー内表示が消えている状態でも、すぐにマルチセレクターですぐフォーカスポイントの移動ができていただけに、ここはもどかしく感じた。
ライブビューのオートフォーカスは、さすがにD700と比べものにならないほど速い。さすがに動体の撮影には厳しいが、静物撮影なら十分実用的だと感じた。なにより、シャッターボタン半押しでオートフォーカスが作動する点はD700より使い勝手が良い。
さて、肝心の画質だが突出したところはないものの、平均点の高い絵作りという印象を受けた。個人的にD610へ期待したのは一枚の写真に詰まった情報量なのだが、使用したレンズが標準ズームである「AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」だったためなのか、描写が甘く感じられ、2400万画素クラスならではと言う感覚は味わえなかった。
とはいうものの、ノイズのざらつきや塗りつぶしたようなベタつき感はない。解像感に関しては様々なレンズや被写体、RAWからの現像など様々な角度から検証してみる必要がありそうだ。
解像感とは逆に高感度に関しては予想を裏切る結果となった。画素数が多いことから高感度は厳しいものと考えていたのだが、ISO6400まで文句なしの画質でISO12800でも十分実用的だ。ISO25600もカラーノイズが増えることなく綺麗な色再現がされており、こちらも特に不満はない。
D610は価格と性能のバランスが取れた良いポジションのカメラで、フルサイズデジタル一眼レフへのステップアップをしたいと考えている人にはオススメだ。これまでD700をメインとしてきた筆者の場合も、仕事柄ステージの撮影や人物撮影も多いので、高感度に強い点と画素数が多い点が魅力的に思えた。
これ以上を望むならば「D800/E」「D4」となるが、ニコン製フルサイズ機のなかでボディサイズや連写速度を含めた「軽快さ」を重視するならばD610が良い選択肢といえそう。D610を使ってみて、もっとライブビューの活用方や、動画撮影にも取り組んでみたいと思うほどの可能性を感じた。
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