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第170回 自分らしい紅葉写真と一工夫の関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)

» 2013年11月14日 10時32分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

秋を撮る

 秋の写真といえば紅葉。春の桜、秋の紅葉。桜が散るといよいよ暖かくなるなあ、紅葉が見ごろになるといよいよ寒くなるなあという区切りでもあるわけで、寒くなるのはつらいけれども、それにも負けず紅葉を撮る話である。

 紅葉をきれいに撮るにはどうすればいいか。

 一番簡単な答えは「よく晴れた日の朝早くから紅葉の名所にいって、きれいな紅葉をデジカメを紅葉モードにして撮る」なんだけれども、それをいってはミモフタもないので、身近な紅葉をその特徴を生かしつつ、いろいろ工夫して自分ならではの紅葉を撮ろうという話にしたいなと思っております。

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紅葉は光が大事

 秋になると雑木林が楽しい。赤く色づく木、茶色になる気、黄色い気、緑のままの木、いろんな色がふわっと重なる感じ。それが秋だなあというわけである。

 山間部や近所の里山へ行けばそういう風景を見られるけれども、都内でもちょっと自然な豊かな公園に行けばこの通り。水面の反射もちょっと入れてみた。でかい湖でもなんでもなくて、都内の池。それでもこれだけいろんな色を見せてくれるのが楽しいのだ。

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 ちょっと離れて広角で撮ると、いろんな色を楽しめる。

 で、雑木林に入っていくと、ちらほらと紅葉した木が現れる。全部が赤くなくてもいいのだ。きれいなモミジを見つけたら、葉っぱの形がぐっとわかるくらい近づいてその色を楽しもう。

 まずは同じ木を2枚撮り比べ。違いは背景である。見ると分かるとおり、モミジの赤さをぐっと引き立てたいなら、背景は黒い方がいい。黒に赤は映えるのだ。もうひとつ、黒を背景にして色を濃く出すなら露出は抑えめに。2枚目の黒い幹をバックにした写真は-1の補正をかけてある。その方が赤がきれいに出るのだ。

photophoto 赤さを引き立てるなら背景は黒めに

 逆に、背景を同系色にまとめると、全体に赤みがあふれた写真になり、暖かい雰囲気になる。そのときは、背景をきちんとボカすこと。主役となる葉っぱと背景の距離をとり、絞り優先モードで絞りを思い切り開く。明るい単焦点レンズだとなおよい。

 面白いので、F2とF8で撮り比べた2枚をどうぞ。レンズの焦点距離や撮像素子の大きさ、被写体との距離でボケ具合は変わるのだけど、同じ場所で絞り値だけを変えて撮った写真がこれだけ違うのだ。絞りは大事である。

 F8で撮った方は主役であるべき葉が背景に溶け込んじゃって目立たないけど、F2で撮った方は背景も同じ色なんだけど、大きくぼけているから背景から浮いてみえる。ぐっと寄って撮るのなら、背景から浮いてくれた方がいい。

photophoto 同じ場所から絞り値を変えて撮影。左がF8、右がF2

 もうひとつ、きれいに色づいたモミジにぐっと寄って撮るときに気をつけたいのは、モミジを表から撮るか裏から撮るかだ。

 表から撮るとこんな感じ。-1の補正をかけてぐっと背景の黒を締めてみた。まあ普通のモミジだ。

photo 反射光のモミジ。黒に赤が映えている。反射光っぽい

 では同じ木のモミジを今度は裏から撮ってみる。葉を裏から撮るってことは背景が空になるってことであり、それはすなわち逆光である。逆光だと光が透けて見える。これがきれいなのだ。

 表から撮ったモミジの赤は反射光、裏から撮ったモミジの赤は透過光という感じで、透過光ならではの透明感が出て色も明るく爽やかにでる。

photo 逆光のモミジ。透過光っぽい透明感がきれい

 どっちで撮るかは好みなのだけど、同じ木でも光の使い方で雰囲気がまったく変わるのが面白いのである。

 みっつめのポイントはホワイトバランス。

 イチョウのカーペットを低い位置から撮ってみた2枚を見て欲しい。ひとつはオートホワイトバランス、もうひとつはホワイトバランスを「日陰」にセットしたもの。

photophoto 左がホワイトバランス「オート」、右がホワイトバランス「日陰」

 オートで撮った方はちょっと青みが強くて寒々しい。

 実は、背景が黄色とか緑とかそんな色ばかりだとカメラのオートホワイトバランスが困っちゃって色がズレやすいのだ。よって、紅葉を撮りたいときはホワイトバランスをオートではなく太陽光や日陰に合わせるべし。どちらがいいかはシチュエーションによって違うのでその場で何パターンか撮ってチェックするといい。

 特に背景が地面だったり地面に落ちたモミジを主役にするときは大事だ。散ったモミジというのもなかなか乙なものなので、狙ってみるといい。

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