ITmedia NEWS >

第170回 自分らしい紅葉写真と一工夫の関係今日から始めるデジカメ撮影術(3/3 ページ)

» 2013年11月14日 10時32分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

夜の紅葉を撮る

 夜桜はすっかりポピュラーになったけれども、最近は紅葉もライトアップされるのである。夜紅葉である。とある庭園が数日だけ夜間限定でライトアップすると知り、三脚を持って撮りに行ってみたのだ。

 日没直後でまだ空も暗くなりきってないけど、全体としてはこんな感じ。地面にライトが設置され、それぞれが紅葉した木を狙って照らしている。紅葉とは関係ない松はもちろんスルー。おかげで、紅葉がひきたつのだ。

photo

 庭園を夜紅葉目当ての人たちと一緒にブラブラ散歩しながらいいスポットを探すのである。難しいのは、スポットライトが部分的にガンガンに照らしてるので、明暗差が極端だということ。

 こんな感じである。

photo

 わざとスポットライトを一緒に構図に入れて、照らされ方が分かるようにしてみた。スポットで葉が照らされるのでどうしてもそこが白飛びしやすい。

 そこでぐっとマイナスの補正をかけ、ライトアップされた箇所にギリギリ色が残る感じで調節し、水面ごしに狙ってみた。

 ライトが直接構図に入るときは、できるだけ絞り込むべし。撮像素子サイズによりけりだけど、絞り開放で撮ると白くほわっとなるライトも、絞り込むと四方八方に光芒が出てカッコよくなるのだ。絞り込むので、必然的にシャッタースピードが遅くなるので要三脚。

 もう冬に片足突っ込んでる季節なわけで、風がけっこう強いことも多い。だからシャッタースピードが遅すぎるとどうしても葉が揺れてしまう。風が弱まったタイミングで撮るべし。

 するとこんな感じに。

photo 絞り込んでライトの光芒を出してみた

 同じ場所からさらに派手な写真を狙ってみた。逆にプラスの補正をかけ、長時間露光である。そうすると光が強く出た迫力のある夜紅葉写真になる。シャッタースピードは8秒。

photo 夜ならではの明るさを出して見た

 暗部を黒く締めて暗さを見せるか、逆に思い切り明るく撮るか、それはお好みで。

 今回、水面絡みが多くて恐縮なんだが、ここの庭園、片隅にあった池の水面がものすごく静かで鏡のようにきれいに反射していたのだ。これは撮るでしょうってことで、撮ったのがこちら。

photo 水面と一緒に縦位置で。絞りは開いて手前を少しボカしてみた

 下から照らされた紅葉が水面にすごくきれいに写ってたのだ。ピントは水面の紅葉に合わせるべし。

 もう1枚、水面に寄った写真を。シャッタースピードをぐっと落としたので少し揺れてるけれども、静かな水面と夜紅葉はなかなかお勧め。

photo 水面に集中して撮影。水面が揺れないのできれいに撮れた

 あと2枚。

 庭園を歩きながらふと見つけたアングル。下に笹、上に紅葉で、その向こうにライトアップの光跡がすーっと伸びてる。なかなかいい感じである。上下のバランスを考えてギリギリの低い位置にカメラをセットし、風が止んだ瞬間を狙って撮影。

 ちなみにこのあたりの写真はホワイトバランスを太陽光にしてる。照明の赤い感じを出したかったから。ライトアップは暖かく撮りたい。

photo 太陽光モードで暖かくライトアップを

 明るめにした写真が続いたので最後は夜っぽく背景が真っ暗な写真を。庭園の端っこで背景が真っ暗な枝を見つけたのだ。-2の補正をかけ、光が当たってる1本だけにフォーカスして、「和」っぽい感じを狙ってみた。真っ黒な漆にモミジが描かれている図柄を想像しつつ。

photo 漆黒の背景に赤いモミジという構図が「和」っぽい

 モミジのライトアップは桜とはまた違って色がつややかで暖かみがあって、なかなかよいのである。機会があったら、防寒をしっかりしてお出かけあれ。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.