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カシオの“ある意味、9眼”「EX-10」で遊ぼう(1/2 ページ)

» 2013年11月28日 11時29分 公開
[ITmedia]

 カシオ計算機のEXILIMシリーズといえば、デジタル技術を前面に押し出した製品作りが特徴で、具体的にはそうした取り組みが「ハイスピード録画」や「HDRアート」などの機能となって製品に搭載されてきた。しかしながら、こうした機能は確かに面白いものの撮影者の意図が入り込む余地はあまりなく、“ユニークな機能”にとどまっていた感がある。

 新製品「EX-10」は1/1.7型の裏面照射型センサーにF1.8からの明るいレンズを搭載と、この部分だけを抜き出せばいわゆる高級コンパクトに属する製品と思いがちだが、高級コンパクトにありがちなマニュアル操作性重視&クラシカル路線ではなく、「こんな写真を撮りたい」と考える撮影者のアシストをデジタル技術で行うというアプローチが行われている。

photo “EXILIM”「EX-10」

 そのアシスト機能して搭載されたのが、従来より定評のあった動作の高速性とブラケティング撮影を複合した「プレミアムブラケティング」だ。この撮影モードでは「ホワイトバランス×明るさ」など2つのパラメータを変化させながら、1シャッターで最大9枚の写真を撮影する。

 ブラケティング撮影そのものは特殊な機能ではないが、1シャッターで最大9枚の仕上がりの異なる写真を撮影することから、カメラの知識が少なくても、絞りやシャッタースピード、露出といった、カメラ的なニュアンスが異なる複数の写真を同時に撮って楽しめる。なお、以下写真についてはすべてサンプル機による撮影であることをお断りしておく。

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photophotophoto 「ホワイトバランス×明るさ」でのブラケティング撮影例。中心の1枚がオート撮影的な適正値で、左右がホワイトバランス、上下が明るさをそれぞれ変化させた写真となる

 「プレミアムブラケティング」は本体上部の撮影モードダイヤルに用意されている。値の変化をカメラ任せにするオートとして「フォーカス×絞り」「ホワイトバランス×明るさ」「コントラスト×彩度」「シャッタースピード」の4つが用意されているほか、「フォーカス×絞り」「ホワイトバランス×絞り」「コントラスト×彩度」「彩度×明るさ」「コントラスト×明るさ」についてはそれぞれの値の変化幅を設定することもできる。

 また、明るさ/ホワイトバランス/フォーカス/絞り/シャッタースピード/ISO感度/彩度/コントラストの各値については、それぞれ単一パラーメタだけを変化させる、一般的なブラケティング撮影も可能だ。

 画像処理エンジンが「EXILIMエンジンHS3 ADVANCE」に強化されたこともあり、最大9枚となるブラケティング撮影でも快適さは維持されており、メモリカードへの書き込みも含めてストレスを感じることはない。ただ、1枚の写真を加工するわけではなく、1シャッターで最大9回の連写を行うという仕組み上、周囲が暗かったり被写体の動きが激しいと手ブレもしくは被写体ブレを起こしてしまうこともある。

 各パラメータについて増減は、±1〜3というカタチで表現される。ホワイトバランスやフォーカスなどの値変化について±といわれてもちょっとピンとこないかもしれないが、2軸ブラケットという機能の特性上、すべての値について±で表現した方が混乱が少ないというのも理解できるし、高画質ではなく「好画質」を手軽にという趣旨からすれば、このアプローチで正解だと思う。

photophotophoto シャッタースピードだけは他の値と複合させてのブラケット撮影が用意されていないので、撮影枚数は最大3枚となる。オートでのシャッタースピードブラケットを夜間試したところ、上の例ではそれぞれ1/2秒、1/15秒、1/125秒となった
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photophotophoto 「フォーカス×絞り」でのブラケット撮影。フォーカス位置については手前/中央/奥の3パターンを撮影する。上の例では、絞り値はF1.8、F4、F8の3パターン

 一通りのブラケット撮影を試してみたが、「ホワイトバランス×明るさ」や「コントラスト×彩度」など明るさや色調についてのブラケット撮影が面白い。9枚撮ると中には、これじゃないだろうという1枚もあるが、こういった組み合わせもありだと思わせる1枚が撮れたりもする。意図しなかった色調に出会えるという意味ではクロスプロセスに近い楽しみがあるともいえる。

photophoto 「ホワイトバランス×明るさ」で撮影した2枚より。左が調整なし、右がホワイトバランス+、明るさ−0.7の1枚
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