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解像感と近代的なボケを両立した大口径単焦点――ソニー「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」交換レンズ百景

» 2014年02月28日 00時00分 公開
[三井公一,ITmedia]

 フルサイズ対応のソニーFEレンズで、「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」に次ぐ単焦点レンズの第2弾がこの「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」(SEL55F18Z)。55ミリで開放F値1.8の標準レンズとなる。ツァイス伝統のT*(ティースター)コーティングを施された一本だ。

 デザインは見ただけでツァイスのそれと分かるたたずまい。グッとせり出した花形のレンズフードを装着すると、α7Rが引き締まって見える。鏡筒サイドのツァイスバッジとマウントのシナバーリングがまぶしい。フロントヘビーになって持ちにくくなるかと思われたが、逆にいい案配の重量配分になった。

photo 「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」と「α7R」
photo F8、1/500秒、ISO100、絞り優先オート、WBオート、-1.3EV

 お城の門を斜めから撮影。F8に絞ったので力強くシャープな像を得られた。白壁のディテールや瓦の立体感、岩壁のリアリティが素晴らしい。コントラストも高いしヌケもいい。

photo F1.8、1/1600秒、ISO100、絞り優先オート、WBオート

 海辺の植物を絞り開放でシューティング。ツァイスらしい雰囲気満点の写真になった。フォーカスした植物の解像感はとてもよく、とても開放とは思えない写りである。周辺光量の低下はいい味だと思う。美しいボケだが一部うるさい部分も感じる。

photo F1.8、1/500秒、ISO100、絞り優先オート、WBオート

 歴史を感じさせる農耕機具。最短撮影距離の50センチ付近まで寄ってボケを強調したカットにしてみた。とろけるようでもなく渦巻くようでもなく、とても現代的なスーッと消えゆくような上質なボケを得ることが楽しめた。思い切りボケを感じたいのなら、絞りを開けて被写体にグッと寄り、フォーカスを最前面に合わせてみよう。

photo F1.8、1/200秒、ISO100、絞り優先オート、WBオート、-1.3EV

 苔むした岩の間を流れる清流。絞り開放ながらこのレンズは実に切れのいいシャープな写真を撮らせてくれた。湿気を帯びた藻類と乾いた枯れ葉、そして音を立てて流れる清水の描写は申し分ない。色味そして質感、ともにイメージ通りの画となった。

photo F1.8、1/100秒、ISO80、絞り優先オート、WBオート

 シャープだがボケ味が素晴らしいこのレンズはポートレート撮影にもってこいだ。これは客車内でiPhoneを操作するモデルを撮ったカットだが、絞りF1.8開放で瞳にフォーカスしたもの。キレのある両目部分から穏やかにボケていく感じが自然で好感が持てる。肌の質感、背景の整ったボケもいい感じではないだろうか。

photo F2.8、1/125秒、ISO64、絞り優先オート、WBオート、+1EV

 こちらはF2.8まで絞ったカットだが、繊細な写りがとてもいい印象だ。特に肩周辺の髪の毛のディテールが素晴らしい。また背景中央付近のボケも円形に近く、暖かくなりつつある日差しのイメージを演出してくれた。

photo F1.8、1/15秒、ISO64、絞り優先オート、WBオート、+1.7EV

 逆光気味になるようモデルに座ってもらい、うつろう表情を追いかけてみた。こういう部分では顔認識や瞳認識に頼って撮影できればいいのだが思い通りになることは少ない。なのでフレキシブルスポットAF、マニュアルフォーカスで撮影をした。肌の描写とボケはとてもいい印象である。

photo F1.8、1/1250秒、ISO400、絞り優先オート、WBオート、-0.7EV

 太陽の光がめまぐるしく変わる中、モデルに横になってもらい撮影。フォーカスした瞳からボディにかけてのボケかたが秀逸だ。通常ポートレートというと85ミリ前後が多用されるが、55ミリの本レンズでモデルとの距離感を詰めて、コミュニケーションを楽しみながら撮影するのもいいだろう。オススメだ。

(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭としているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)

(モデル:木谷有里 オスカープロモーション)

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