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» 2014年02月28日 16時00分 UPDATE

本格的な使い勝手と画質、小さなOM-D「OLYMPUS OM-D E-M10」 (1/5)

オリンパスOM-D三兄弟の末弟、それが「OM-D E-M10」。上位機が備える防じん防滴は省かれたけれど、それを除けば、コンパクトで携帯性は高く、手ブレ補正の効きもいい。良くできたカメラで、“一眼レフ”を買おうとしている人も候補にした方がいい。

[荻窪圭,ITmedia]

 オリンパスの春の新製品は、毎年登場するPENシリーズではなく、OM-Dの新モデル「OM-D E-M10」だった。めでたく、OM-D三兄弟のそろい踏みである。

photo 「OM-D E-M5」
photo 手前から、E-M10、E-M5、E-M1。似てるけれども微妙に違う

 いやめでたいのかどうか分からないけれど、今この時期に出してきたのが、エントリー向けのPENでも、初代OM-DであるE-M5の後継機でもなく、E-M5の下位にあたるE-M10である、というのが重要なのだ。

 ミラーレス機へのEVF標準搭載の流れである。

 ちょっと前まで、ミラーレス機の代名詞といえばオリンパスのPENやソニーのNEXで、どちらも背面モニタがメインの小型軽量なモデルだった。EVFはハイエンド機には搭載されていたけれど、ミドルレンジとなるとパナソニックのGシリーズ、ソニーのNEX-6ぐらいだった。

 それがここ1〜2年でミドルレンジ以上のミラーレス機が続々とEVFを搭載しはじめ、もはやそれが当たり前となった。従来のミラーレスはコンデジからのステップアップを重視してたのに対し、EVF搭載ミラーレスは一眼レフ市場を狙い始めたのである。EVFとAF性能が上がったことでそれが現実的になってきたのだ。

 面白いことに、この1年で登場したEVF搭載ミラーレス機は、高性能なEVF+チルト式モニタという共通点を持っている。EVFを使えば一眼レフ的にしっかり構えて集中して撮れるし、背面モニタを使えばコンデジ的にラフに撮れるしローアングルへの対応も容易で、両者をスムーズに切り替えて使える。その柔軟さが、一眼レフに対する大きなメリットだ。

E-M10はE-M5の後継機ではなく弟分

 E-M10はE-M5と非常によく似た、フィルム一眼レフ風デザインのEVF搭載ミラーレス一眼だ。カメラの大きさ、特に厚みは往年にMF一眼レフカメラに近く、分厚くなってしまった一眼レフよりもフィルム時代の一眼レフに似てるくらい。

photo 左がE-M10。右がE-M5(私物なのでけっこう傷があったり汚れてますご勘弁)。基本的には同じだが、頭が少し低く丸くなり、ボディも低くなり、全体に小ぶりになっているのが分かる。前ダイヤルやシャッター周りのデザインも変わった

 妙に一眼レフくさいとんがり頭のデザインにしたのはオリンパスの趣味だろうが、背面モニタの真上にEVFをつけるとどうしても中央部が盛り上がるのは仕方なく、それなりに理にかなった形状。構えた感じもほどよいサイズで使いやすい。

 E-M5と比較されやすいのだが、E-M10はE-M5の後継機ではなく、その下位モデルと言いたい。その操作系はE-M5をまるっと継承しており、2つの電子ダイヤルを持ち、マニュアル系の操作も軽快に行える。背面モニタはチルト式でタッチパネルを採用。背面モニタで撮影するときのタッチAFは非常にレスポンスもよくて便利だ。

photo 2つのダイヤルの位置が少し高くなり、シャッターボタンも大きくなったなどE-M5とは違いがある。Fn2キーはマルチファンクション機能で、複数の機能を割り当てられる。Fn1はAE/AFロック機能がデフォルト
photo 上面から。左肩に撮影モードダイヤル、右肩にダイヤルやボタン類という構成はE-M5と同じだ
photo 背面モニタはチルトするが、90度までは行かないのがちょっと微妙。またこうしてローアングル撮影する際、アイピースのでっぱりで少し上部中央がケラれるのはよくない

 撮像素子はローパスフィルターレスになった以外はE-M5と同等のマイクロフォーサーズの1600万画素だし、基本デザインや操作系も基本的には一緒。だから遠目には見分けは付かないが、いくつか下位モデルらしい差異がある。

 まずペンタ部(ペンタミラーもペンタプリズムも入ってないが便宜上そう呼びます)が少し低くなり、さらにストロボが内蔵された。OM-Dでは初のストロボ内蔵だ。ペンタ部のとんがり頭が少し低く滑らかになったのは、ストロボ内蔵にともなってアクセサリシューの下にあったAP2端子が省かれたのが大きい。

photo OM-Dシリーズとして初めて、ストロボが内蔵された

 AP2端子は外付けEVFやBluetooth通信ユニット「ペンパル」の装着、E-M5やE-M1などでは専用ミニストロボへの電源供給などに使われていたが、E-M10はEVFもストロボもWi-Fiも内蔵してるので不要なのだ。おかげで無駄なとんがりがなくなった。

 E-M1/E-M5で共通だったバッテリーは、一回りサイズが小さいもの(BLS-5)に変更された。シリーズ製品と異なるバッテリーというのは筋が悪そうだが、実は、E-PL6など、E-P5以外のPENシリーズやSTYLUS 1がこのバッテリーを採用しており、これはむしろE-M5の買い換えや買い足しより、PEN LiteやPEN Miniシリーズからのステップアップユーザーを考えた仕様だと思っていい。

photo バッテリーはPENシリーズと同じBLS-5。さらにSDカードスロットがバッテリーのすぐ横にある。三脚穴がちゃんと光軸の真下にある点にも注目(E-M1とM5は光軸から少しズレていた)

 E-M5/M1のウリのひとつ、防じん防滴仕様は省かれた。E-M10はそこまでヘビーな利用を想定しないということで、一般的なユーザーにはその分だけ低価格になったことや、防じん防滴を考えなくて良くなった分、各種ボタン類の感触がよくなった方がいいだろう。

photo 奥がE-M5、手前がE-M10。操作系は同じだが、ダイヤルの高さ、ボタンの形状が異なる。E-M10の方が押しやすい

 もうひとつ大きな違いは手ブレ補正。E-M1/M5とE-P5は5軸手ブレ補正、PEN Mini E-PM2や、PEN Lite E-PL6は2軸手ブレ補正(こっちの方が一般的だ)を採用していたが、E-M10は新開発の3軸手ブレ補正を搭載。上下左右の2軸に加え、光軸回転ぶれにも対応している。5から3と聞くと減ったようだが、むしろ、2から3に増えていると思った方がよく、試用したところ、十二分の性能を発揮してくれた。

photo 絞り優先AEでISO800に固定し、夜景を撮ってみた。1/10秒でも手ブレなし。なかなか優秀だ F3.5 1/10秒 ISO800

 このように、E-M10はE-M5の後継機ではなく、PEN LiteやMiniからのステップアップ機、EVF搭載ミラーレス一眼のエントリーモデル(エントリーというにはちょいとレベルが高いが)なのだ。

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