欲しいし買えないこともないけれど、気軽に買える値段でもない……。そんな10万円前後のレンズをプロカメラマンがピックアップする本企画。第2弾はニコンの広角ズームとお値打ち中望遠単焦点、DXユーザーにお勧めのマクロレンズと3本をご紹介します。
手に取ったときの第一印象は“意外とずっしり“だった。
ニコンの超広角ズームレンズとしては中間グレードに当たる全域F4というスペックだが、大きさ、重さ、そして質感ともに、しっかり密度を感じる造りになっている。しかし、一度カメラに装着してしまえば、手にしっくりとくるほどよいホールド感。撮影時にレンズを上に振ろうが下に振ろうが、撮り手にあまり重さを気にさせないバランスのよさが素晴らしい。
16ミリからのダイナミックでワイドな画は、とてもシャープで気持ちいい。また、F値が変動しない通しレンズであるためズーミングした際に露出の変化がないのもポイント。写真撮影だけでなく、動画ユーザーにも最適だ。
手ブレ補正の効き目も良好で、さまざまな環境でフットワークの軽い撮影が可能だ。
撮影ポジションが限られる場所や、一瞬のスナップなど、いろいろなシチュエーションで活躍すること間違いナシの1本。広角フリークもそうでない人にも注目してもらいたい製品。
ネイチャー、ポートレート、スナップ、etc……。中望遠レンズの中でも一番応用範囲が広いとされる85ミリ。ただそれだけに、求められるレンズ性能は高く、購入時の選択が肝心だ。ニコンでは同レンジのレンズにこのほか、F1.4の「AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G」をラインアップしているが、こちらは20万円近い製品。今回のオススメの趣旨から外れてしまうので、このF1.8のレンズを選んでみた。
まずレンズの質感は、重過ぎず軽過ぎず、適度な鏡胴の太さと相まってとても撮影しやすい。オートフォーカスもそれなりに機敏で、子どもやペットなど、動きがある被写体にも対応できそうだ。また、レンズ性能も上々で、上位モデルのF1.4と比べてもまったく遜色ないと言っていいくらいシャープで素晴らしい画を出す。そして、ナチュラルで嫌味がないボケ味も、このレンズのオールマイティーさに華を添えている。
フルサイズカメラをお使いで初めての単焦点レンズを検討しているなら、良い選択肢のひとつになるだろう。
今回紹介する中で唯一のAPS-Cサイズ専用のDXレンズ。フルサイズ換算で、約128ミリといったところで、マクロレンズ(ニコンの呼び名はマイクロレンズ)として一番使いでのあるレンジだろう。
全域でF3.5とあまり明るいとは言えないが、その分軽く、携行性に優れている。普段使いのマクロレンズとしては、この点は非常に重要だ。また、3段分の効果がある手ブレ補正機構も付いており、撮影可能領域の広さも魅力だ。ただし、被写体に近接して拡大するマクロ域では手ブレ補正の効果があるからといって過信してはいけない。手持ちでの近接撮影には注意が必要だ。
レンズ性能は良好で、きわめてシャープ、それでいて透明感が感じられる写りだ。ボケ味もナチュラルな感じで嫌味なく、とても美しい。本格マクロの入門レンズとしても、気軽な旅のおともとしてもオススメできる頼もしいレンズだ。
門谷 優(かどたに まさる)
1982年生まれの関西出身。ヒマラヤからジャングルまで、“人の在る風景”をテーマに、もっぱら辺境地を飛び回るドキュメンタリーフォトグラファー/映像カメラマン。
オフィシャルサイト http://nepalpix.namaste.jp
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